悪夢を忘れたくて(続)
食事が済んでしまえば、もう本は一文字も読まない。携帯でSNSのタイムラインを見て席を立つ。
席を立って店を出たはいいものの、どこに行こうかと迷う。しばらく、あてもなくぶらぶらと散策する。今まで買い物をしていたのは、アーケードが長く伸びるショッピングストリートのメイン通り。ふと思いついて、メイン通りの一本隣の筋に入ってみる。メイン通りに比べて道幅は格段に狭いし、店の奥行もメイン通りの店の半分くらいだし、小奇麗な感じでもない。店員も、どこにいるのかわからない店もちらほらあるくらいだ。正直、誰が買うのだろうと思うような、やたらと露出の多い服や、世界の全ての光を反射したがっているような靴やバッグなどの商品も並んでいる。それでも何故か懐かしいような気持ちになる。
そこそこに長い通りを歩き進んでいくと、そのうち通りも終わりを迎えた。道を逸れて、メイン通りを挟んだもう片方の通りに行ってみる。今通ってきた通りよりは綺麗だし明るいが、雑貨店などは少なく、ほとんどが飲食店――居酒屋や丼屋やイタリアンバルなど――だった。
この通りには、特にめぼしい店はなかった。民家の間に立つ商店街といった感じだ。
手荷物が重いなと感じつつ、またしばらく歩いてメイン通りに戻ってくる。やはりこっちの通りは賑やかだ。歩いている人も皆おしゃれをしている。メイン通りの両側にあるビルをきょろきょろと見渡すが、どのビルに何が入っているのかわからなかたので、適当に入ってみる。
このビルには用はなさそう。ちょっとギャルすぎる。
早々にビルを出て、この後はどこに行こうかと迷う。思いついて映画の上映案内を携帯で見るが、ロマンを追い求めすぎているような恋愛映画かアクション映画しかやっていなくて、興味の惹かれる映画は見つからなかった。
漫画でも買おうかと、大きな荷物を持ったまま本屋へ入り、読みやすそうなファンタジー漫画を買う。
またさらに荷物が重くなったことに若干後悔しながらも、まだ帰る気になれなかった。メイン通りを出て、少し歩いたところにあるファッションビルに向かう。地下一回から四階までがアパレルで、それより上の階が高級飲食店のフロアかオフィス。このビルのアパレルは非常に気に入った。バッグや財布などの革製品もやや高いが置いてあるし、アクセサリーや様々なテイストの服が何店舗もある。
アクセサリーは、普段着用の安いネックレスを買い、スニーカーも近くの店で買った。
こうやって一人ででもぶらぶらしたり買い物したりしていると、尚のこと、例の夢とテレビの一致は、もしかしたら「同じ人物」だと思い込んだだけなのではないか。
そうだ。なにも気に病むことはない。だって、こうやって普段の生活は充分に楽しめるのだから。




