僕と無意味なコト
約2週間ぶりの更新です!
遅くなりました!
鎖によって、壁と磔られているられている青年は、ただ淡々と事の成り行きを見守っていた。
既に、青年がここに磔されてどれだけの時間がたったのか分からないほどの時間が経過していた。
実際にはそれほどの時間はたっていない。しかし、何もない空間。裸電球はぶら下がるだけのこの空間において時間を計ることは難しい。つまりは、時間の感覚がないのだ。
「ねぇー?いい加減ここにいるのも暇になってきたんだけどー?」
周りをくるくると回る精霊がそう愚痴る。それには青年も同意する。ただ何をするわけでもなく、この場所にいる無意味さ。
今の今まで、何をされるかだけを考えていた成年にとって馬鹿なことをしているな、ということを考えてしまうと、今更ながらだが憤りが募ってきてしまった。
”…そうだね。これ以上ここにいても仕方がないしそろそろ-”
「よお!待たせたなぁ!」
鉄製のドアが大きな音を立てて一人の男が入ってくる。
その男は顔を鉄製の仮面で覆い隠されておりその素性は分からない。上半身は何も着ておらず裸である。でっぷりと肥え太ったその男は嫌らしい笑い声を上げこちらを見ている。
「ヒャハハハハ!。お前が、そうなんだなあ?馬鹿だなぁ、ボルフェッサ様の統治するこの国に身分を証明するものが何もないなんてなぁ。これは重罪なんだぜ?さぁーてっと」
男は手に持っていた大きな袋のような物の中身を青年の目の前でぶちまける。大きな袋に反し、中身のものは少ない。革製の鞭と何やら鞘に入った鉄製の何か、そして最後に大きな鎚の様な物だった。本来なら平らなものなのだろう。しかしこの男のものは特別製化何かで、潰す目的ではなく身体に穴を開けながら潰すのが目的のもののようだ。
「でも?そんなボルフェッサ様のおかげで?俺様はこんな面白可笑しな仕事が貰えてるんだから?感謝しねぇとなぁ!ヒャハハハハッハ!!」
まずは手始めなのだろう。男は革製の鞭を手に持つ。
「さて、と。まずは小手調べだぞ、馬鹿で哀れなお坊ちゃん!」
ピシッ!それほど大きくはないが小さくもない音が狭い室内に響く。
それが何度も何度もと、皮製の鞭で青年の身体を傷つける。それに青年は痛そうに顔をしかめる。
”っ!…っ!!”
「おらおらぁ!泣き叫んでもいいんだぜぇ!?といっても、ここには誰も来やしねぇがよぉ!ハハハハハハハハ!」
男は、青年を拷問する。別にこれといって聞くべき事はない。男にとってこの青年から聞き出すべき情報なんてものはない。ただ楽しい。この男にとってはそれだけだ。全く見知らない人間を自分の好きなまま自由気ままに支配し、暴力という暴力で埋め尽くす。
生殺与奪。
相手の生き死にを自分の気分次第で自由にできるこの仕事が男は大好きだった。
誰もが泣き叫び自分に疑問を持ち、最後には泣いて許しを請う。そんな光景ばかりを見てきた。
何度も何度も叩く。どんなに顔を痛みに歪めようとも、そしてどれだけの許しを請うとも。
故に、男にとってこの青年はやはりというか何と言うか異常だったのだ。
確かに痛みに顔は歪めている。ただそれだけだ。
それの痛みは身体に響いているのだろう。痕となり身体に残っている。ただそれだけだ。
全身を鞭で打たれて痛いのだろう。顔が既に涙でぐしゃぐしゃだ。
皮膚が破れ、血が滲み穿いている衣服ですらボロボロになり、全身は赤く染まっている。しかし、それだけなのだ。
その青年からは、悲鳴が聞こえない。このたった一つの違いが男の恐怖心を煽る。
確かに涙を流して泣いてはいる。しかし、悲鳴が聞こえない。
鞭というものは、見た目に反し信じられないほどの痛みを伴う。もちろんだが、特殊な性癖でもない限り普通に暮らしていく場合、関わる事はない。
それ故だったのだ。青年が悲鳴を上げなかった理由は。
痛みには慣れている。どのような痛みかも想像はできる。
しかし、逆に言うならば、体験のしたことのない痛みは想像しかできないのだ。
-君は鞭で打たれたことはあるか?私はない-
つまりは青年は、我慢をしすぎた為に男に怖がられていた。
「ふぅーふぅー、ふぅー!」
大きく息を吸い、吐く。深呼吸したところで男は鞭を床に投げ捨て、鉄の鞘に入った何かを取り出す。
「へへへへ、さすがにこれには堪えるだろ?」
それは、平べったい形をしており一見すると、トイレのスッポン(ラバーカップ)に見える。だが、残念なことにその丸の部分が真っ赤になっていなければの話しだが…。
「これは説明するまでもないよなぁー!」
男はそれを何の躊躇いもなしに躊躇なく青年に押し付ける。
ジュウウウウウウウウウウウウウウウウッ!
”ギャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!??”
大きく悲鳴を上げる青年。しかし、今度は身体全体を揺らし、必死にソレから逃げようと試みる。ただの一撃で肩で息をするほど体力を消耗し、目には涙と怯えが入り混じっている。
男はニヤリと笑う。これは有効だと。そこからは、大小様々な焼き鏝を青年の身体のありとあらゆる場所へと押し付けた。
泣き叫ぼうが、意識を失おうが悲鳴は聞こえる。それを何度となく繰り返し、男は満足した。
「よかったな、これで終わりだぜぇ?」
男は鎚を振りかぶる。脳天から股下へと向けて。
グシャッ!
身体はミンチ状というべきか引き裂かれたというべきか、ブチブチと嫌な音を立てて青年の身体は千切られた。
満足した男はそのまま部屋から出る。辺りには青年の血が狭い部屋全体に飛び散り、咽返るような匂いが充満していた…。
意味のない拷問なんてうまくは書けませんよ…