仮タイトル アレ 手詰
「どこも異常はないんですけどねぇ」
「じゃなんで動かないんだ」
「それが分からないんです」
「分からないって・・・」
「なんかおかしぃんですよ・・見てくださいよ」
作業員が修理依頼者を別の大きな倉庫に連れていった。
「たくさん在庫抱えて・・まさかこれに買い換えろって話じゃないだろう?」
「それならいいんですけどね!でもコレ全部原因不明で動かなくなったやつです」
「全部って・・そんなこと・・メーカーはなんて言ってんの」
「「ただいま原因調査中しばらくお待ちください」の一点張りですよぉ」
「他の機械は大丈夫なのかぁ?」
「まぁうちはこちらのメーカーしか扱って無いので詳しくは分からないんですけど・・ただ噂じゃ似た症状が他のメーカーでも出てるって事ですよ」
「あと3mで貫通なんだぞ!」
「はいでも動かないんです」
「油圧も上がらないし・・発動機も全く動かない・・・全ての動力が止まってしまってます」
地下トンネル工事も原因不明の機械の故障で、工事がストップしていた。
「左右田さん・・・いや真佑ちゃん!真佑ちゃんとこの工事は着工前だったから、しかもアレの近くでの工事だから無期限延期になってるけど、ほかの地域は今ほぼ全ての地下工事が原因不明の機械の故障で止まってしまってるんだよ」
「どういう事!渡部・・」
「・・・」
「まさか・・・」
「多分アレの影響だと思うんだ」
「黄色い煙が終わったら今度は機械の故障・・」
「なんか影響が酷くなってない?」
「そうなんだよ!黄色煙の時はエリアが限定されてたけど、今度は地下工事全般だからね」
「で。どうすんの」
「わからないよ。どうすることもできないし綾乃さんからも連絡ないし」
「・・・アレからの問いかけもないし・・・」
「渡部はアレの夢は見たの?」
「まったく・・・」
「・・・・」
真佑は渡部にアレが体の中に入ってきた事や綾乃が語りかけてきたを話していない。渡部へのアレからのなんらかの反応がなければ話してはダメなような気がしたからだ。
「多分このままだともっと悪いことが起きてしまう・・・気がする」
「でもどうする事も出来ないし」
「やっぱりアレのところに行ってみないと」
「でも真佑ちゃん」
「わかっているって・・・」
渡部と別れた次の日曜日真佑は一人アレのある封鎖エリアにいた。
「ここまでは誰も文句を言わないけど・・ここからどうするかだよ」
スマホを取り出しカメラモードで最大倍率でアレを確認しようとしていた。
「こんな所で何をしている!ここは立入禁止だぞ」
「そんなまだ大丈夫でしょ!」
肩に置かれた手を払いながら後ろを振り向くと渡部がニヤつきながら真佑を観ていた。
「渡部!あんた何してんの?こんな所で・・」
「真佑ちゃんこそ何してんの!こんな所で」
「わたしは・・・ちょっと散歩・・そう散歩してただけ!」
「あっ!奇遇だなぁ。オレも散歩してんだ!」
「奇遇だね・・・」
「・・・真佑ちゃんこの間打ち合わせ室を出て席に着こうとした時いきなり体を何かに貫かれたんだ!」
「えっ!」
「で、どうなったの・・」
「うん。ここに来て左右田真佑と行動をともにしろって・・・で真佑ちゃんに連絡しようと思ってスマホにかけるんだけど通じないんだ」
「そんなはずはないと思うけど・・・」
「バレたぁ?アレからなんてまったく」
「だと思った!アレからの連絡なんてお姉ちゃんだけだと思う・・」
「やっぱ。真佑ちゃんにも連絡ないんだ!」
「・・・うん」
「あぁ!ところでさぁこの辺りは昔は雨がよく降るところだったみたいなんだ」
「それがどうしたの?」
「アレを発見して辺りが黄色く霞出した頃から雨が全く降らなくなったんだって」
「じゃぁさぁアレに水かけたらいいんじゃない?」
「そんなナメクジに塩かけるみたいにいかないでしょ」
「そりゃそうだね!ハハハハハハ」
「さてと・・これからどうするかですよ」
「渡部は帰ったがいいよ!」
「だってほら・・公務員が・・ねぇ!・・こんなとこいたら今後の仕事にさしつかえるじゃない」
「・・・・」
「どうしたの?」
「真佑ちゃんはどうするの」
「わたしは・・お姉ちゃんが守ってくてるから・・・大丈夫!」
「真佑ちゃんっていつもそうだね!」
「えっ?・・・」
「だってほら前さぁやつらに捕まる前に食事誘った時もなんだかんだで断るし、今度もオレを遠ざけようとするし」
「あの時と今度のは話が違う・・」
「一緒だよ。どこか人を遠ざけようとしてる気がするんだよ」
「・・・」
「そこでなにをしている!」
「何もしてない!」
「ただ凍結された現場視察に来ただけだ」
「・・・ここには一切近寄るな!さっさと立ち去れ・・」
二人は兵士の言葉を最後まできかずにその場から立ち去った。
「ふふふ」
「あははは」
「渡部さっきの兵隊さん」
「真佑ちゃんもわかったぁ?」
「だって兵隊さんの話を遮って立ち去ったんだもん」
「びっくりしてたよね!」
二人は兵にも聞こえるくらいの笑い声でその場から立ち去っていった。




