第10話:安心。
もう今の自分には分からない。
何が現実で何が非現実なんだろう。
俺はただ居場所がほしい。
それだけのはずなのに、えり好みをするようになりだした。
最近じゃ、コンビにや、あのカフェにふらりとよる。
そこにもしかしたら自分の居場所があるかもしれないって。
もしかしたらあいつがいるかもしれないって。
本格的にやばいな・・・・・・俺。
この前、見かけたんだ。
あいつを。
悲しそうな顔で見つめてたのは俺たちが話してた場所。
普通に話しかければいいのに、それが出来なくて。
話しかけようとするたびに『触らないで!!』あの言葉が頭に反響する。
最近じゃどこいってもアイツの悲しそうな顔が目に焼きついて、現れる。
てめーは生霊か。
そう言ってみたいけど。
こいつを呼び出してるのは・・・・・・。
こいつを呼び寄せてるのは・・・・・・。
俺だ・・・・・・。
「・・・・・・ハッ・・・・・・なっさけねーなぁ。俺・・・・・・。」
何をしてても、何もしなくても。
おかしいくらい探してて。
執着しすぎだって。
いい加減他にめぇやれよ。
女なんて腐るほどいる。
中には本当に腐った奴もいる。
だけど、あいつの声ばかりが耳に残る。
『触らないで!!』
わかったって。
もう近寄りもしねぇから。
『触らないで!!』
わかったって。
ほんとマジ。
『それから・・・・・・あたしを・・・・・・だいっ嫌いだって言って?』
それでおまえが幸せになるならいってやるさ。
何度だって。
嫌いだ。
だいっ嫌いだ。
『悟夢君。』
なんだよ。
『悟夢君!』
本格的におかしいんだ俺。
少しほっといてくれないか?
『悟夢君?』
あぁ。
ほんとにもー。
『悟夢君・・・・・・。』
馬鹿だよ。
俺は・・・・・・。
・・・・・・?
今、目の前に立ってる痲緒莉は。
バーチャルか?
おかしい。
この駅はもう使わなくなってるくらいの勢いで来なくなった駅のはずだ。
ってゆうか、俺・・・・・・。
なんで駅なんかに?
「・・・・・・今更・・・・・・裏切るなんて。できないよね。」
「・・・・・・おいま・・・・・・。」
『触らないで!!』
なさけねぇなあ。
またかよ。
「・・・・・・今更・・・・・・ほんとは・・・・・・悟夢君が好きなのなんて。いえないよ。」
は?
今なんて?
『触らないで!!』
しらねーよ。
んなのしらねーよ。
「誰がすきだって?」
すると痲緒莉は顔を上げた。
そして、顔を真っ赤にしてそむけた。
「なんでもない。」
「なんでもなくねーだろ。人の名前出しといて。」
あぁ。
やっと分かった。
俺にとって一番落ち着ける奴がこいつなんだ。
こいつじゃなきゃいけないんだ。
こいつの顔を見たとたん安心するなんて――・・・・・。




