58話 迷いの森
「何をやってるんだあのエルフ達は?」
何やら忙しそうに動き回っているエルフたち。
実はエルフたちは結界を張り直して
ツムギ一行を追い返そうとしているのですが
なぜか何度やってもまた正解の道を
一発で引き当ててしまう謎の旅人に
エルフ族の門番達は焦り
恐怖におののいていたのです。
「……長を呼んでくれ!」
「人間や獣人の団体が来ている!」
「……結界が効かない!」
エルフたちはあわてふためいて
大騒ぎになっている。
「こんにちは〜エルフさん〜
わたくしムギと申します〜♪」
「近寄るな!人間!お前らと馴れ合う気はない!」
「あらあら〜♪悲しいですわ〜♪」
拒絶にまったく怯まないツムギは
なんの遠慮もなくズカズカとエルフの元へ。
「ひ、ひぃっ!?」
「遊びに来ただけですわ〜?
何も怖いことしませんよ〜♪
……えへへ〜♪」
「ムギ……余計怖いわよそれ」
「どうしたら仲良くしてもらえるかしら〜?
そうですわ♪ほら、精霊ちゃんを連れてますのよ〜
仲良くしましょう〜♪」
「ふざけるな!
精霊を利用して私利私欲に走るのが人間だ!
なにか企んでいるのはバレてるぞ!」
ん〜……なんだか聞いたことありますねその話。
「精霊だって良い精霊も悪い精霊もいる!
世の中には不幸を呼ぶという
精霊だっていると言われているんだぞ!
騙されないぞ!」
ん〜……心当たりしかないですねその精霊。
「森に入れてくれる雰囲気はないわね〜」
「どうしましょうか?」
「ドラゴニックショック一発打ち込んでみるか?」
「ヒスイ乱暴はいけませんわ〜♪」
「やはり!?本性を現したな人間!」
「そっちが話し合いに応じないからにゃぁ」
半泣きになって拒絶しているエルフたちが
なんだか可哀想に見えてきたところに
海底神殿の人魚達から神具を貰ってしまった
水の精霊が突然竪琴を奏でだしました。
ポロロン♪ポロロロロン♪
「ラーララー♪」
「……!」
「その竪琴!その歌は……!!」
くしくも
アンの不運で
寄り道になってしまったと思われた
海底神殿での結果が
エルフの森へ入る許可を貰う
結果につながるとは……
ほんとこのメイアンには
振り回されますね……
「よ、予言の者だ!」
「エルフの竪琴を持つ者が現れるという
予言の通りだ……!」
なにやら予言されていたらしい……?
「し、失礼しました!
ま、まさかあなた様方が……!」
「あらあら〜?誤解がとけたのかしら〜?」
「は、はい!どうぞ!
我々はあなた様をずっとお待ちしていました!
あなた様が……
【森羅万象姫】なのですね!」
「はて〜?しんら……?
わたくしはムギですわ〜?」
結界が解かれ
エルフの森の中へついに
案内して貰えたツムギ一行。
「ムギ?大丈夫?
あんた誰かと勘違いされてない?
誰のことよ?森羅万象姫って」
「わかりませんけど〜
まぁ入れて貰えたのでよしとしましょう〜♪
うふふ〜♪」
「お気楽テキトーすぎよぉ!?」
「エルフの森において、
エルフとダークエルフのいざこざが
ずっと続いておりまして……」
「まぁ?ケンカですの?」
「もう、何百年と争っています……」
「あらあら〜同じエルフではありませんの?」
「……はい、我々エルフは人間の亜種。
ダークエルフは魔物の亜種という位置付けでして、
昔からずっとこの森、いや、世界樹を取り合って
争い続けているのです……」
「あらあら〜」
「世界樹の恩恵を預かりたいてわけね」
「……はい、どちらも引くことはなく」
「仲良くすればいいのに〜」
「ええ。そこで、この我々
エルフとダークエルフの争いを
終わらせる【森羅万象姫】が
エルフの竪琴を持って現れるという予言が
伝えられているのです!」
「まぁ〜♪仲直りするように
促せばいいのですわね〜?
わたくし頑張りますわ〜♪」
「ムギはもう受け入れて
森羅万象姫とやらになりきってるわ……」
「さすがムギちゃんだね♪」
「やっぱ違いましたごめんなさいって
なるとしか思えないけど……」
「ぎゃはは。なるようになるわい♪」
森の木を住処にしているエルフの村。
その中でも一際大きな木の住処に案内される。
「エルフの長さんがいるのかしら?」
「長もですが、何より
あなた様が来られることを予言した
【時を司る精霊】がおられます」
「おお〜♪噂の時を司る精霊様!」
「噂の精霊さんにあっさり会えそうだね〜♪」
「私がエルフの長です。
森羅万象姫様お待ちしておりました……!」
長寿と言われるエルフ族ですが、
その中でも見た目があきらかに年配の長。
何百年生きると言われているので
きっとこの長さんは永く生きているのでしょう……
「ムギですわ〜♪あ、いえ、
しんらんばん?姫ですわ〜」
「テキトーすぎだってば!ムギ!」
「うふふ〜♪」
「ほら、起きてください!」
「……?」
よく見るとその長の横で寝ているエルフの姿が
「むにゃ……」
「ナギ様!森羅万象姫様がお越しですぞ!」
「ん〜……おはよう〜……」
「おはようございますですわ〜♪」
この寝てるエルフが……?
どうやらノゾミやメイアンが
ドワーフの姿を模しているのと
同じようにエルフの姿を模しているようです。
「……ふふふ♪
……そうか、来たか
ツムギちゃん……」
「あらあら〜♪わたくしの名前はムギですわ〜
あなたが噂の、時を司る精霊様なのですね〜」
「(ツムギ様の本名を知っている……?)」
警戒するアヤメ。
「ふふふ。私は君が来るのを待っていたんだ。
私の名前は【ナギ】。ここでは
時を司る精霊と呼ばれている」
「お会いできて光栄ですわ〜♪」
噂の精霊様ナギは
なぜか
ツムギのことを知っている……?
……森羅万象姫とは?
そしてこの時を司る精霊様は
ツムギから【授名】をされる前にみずから
こんなことを言ってのけるのでした……
「ふふふ♪ツムギちゃん……
さぁ、私を君の仲間に入れておくれ♪」




