32話 ドラゴニュート
ドラゴンの峡谷へ辿り着いたツムギ一行。
「ではこの先に龍神様がいらっしゃいます。
天女ムギ様行ってらっしゃいませ」
送ってくれた村長さんは入口で待つ。
村長さんは入ってはいけないそう。
洞窟のようになっているジメジメした
峡谷の最奥。
そこに
ドラゴンはいた――
身の丈は20メートル。
4本の足に、大きな翼。
黒い皮膚のそのドラゴンは
ツムギ達に気づくと少しだけ顔を上げ
琥珀色の瞳でツムギ達を睨んだ。
「で、デカすぎる……
ウララちゃん……
まじでこれに一人で挑んだの……?」
「はい〜☆ボコボコにやられたですぅぅ☆」
「これが最強生物ドラゴン……」
「デカすぎるわん……」
「身ノ危険ヲ感知!隠レマス……」
「あらあら〜おっきい〜♪
ドラゴンさんこんにちわ〜♪」
一切怯まず喋りかけるのはツムギ。
ズズズ……
少し動くだけで地鳴りがする。
ドラゴンは面倒くさそうに
ツムギを一瞥すると
「……アマゾネスの使いか?妾に何用ぞ?」
「喋ったぁぁぁあ!!」
興奮して飛び跳ねるツムギ。
「うへへ〜♪初めまして〜ムギと申します〜
えーっと……えーっと……」
珍しくモゴモゴするツムギ。
「えと、わたくし
ドラゴンさんとお友達になりに来まして〜、
結婚をして家族になる予定でして〜、
えっと〜……退治しに来ました!!」
「どれだよ!?」
リッカがついツッコんでしまっているが
全部ツムギの【やりたいこと】なのでございます。
「……支離滅裂だな?
人間ごときが妾には勝てぬ……
ふざけたことを言うならば
今すぐ蹴散らしてやるぞ」
「ヤバいって!ムギ!怒らせてどーすんのよ!」
ハクとカエデがツムギの前に出る。
「いつでもやるわん」
「我が主様。どうぞ、ご指示を」
ツムギはほんとにやりたいことが多くて
少し困惑した発言をしたが、実は内心は冷静。
アヤメやマオマオ無しでは
勝てないなと冷静に判断をしていた。
「とりあえず龍神様に祈りを捧げるように
言われたのですが……
どうすればいいのでしょうか〜?」
「アマゾネスの連中が勝手に龍神などと
呼んでいるが妾はただの竜だ。勝手にしろ」
「勝手に祈れば良いのですね〜なむなむ〜♪」
「それよりも外が騒がしいな?
外の連中も貴様らのツレか?」
「……え?」
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「分裂?いや?幻惑か?そんなものさせるか」
一瞬で間を詰めたスイは
ボタンの腹に拳を叩き込む……
ドスン!
「ぐえっ!?」
ボタンは一撃でのされてしまった。
「スイ〜!!」
「ドラゴニックサーベル……」
スイの腕は大きな鱗を纏った鋭利な腕に変形する。
「チャイ!拳!ちょきーっ!!」
マオマオの手刀を受け止める!
「黒鉄流剣術!桜花爛漫千鳥!!」
アヤメのチドリを使った乱切り!
キキキン!
キキキーン!!
両腕が鋭利な刃物となったスイは
2人の攻撃を全て防いでしまう。
「いいセンスじゃ。だが――」
ズドン!!
「にゃ!!」
マオマオの腹にスイの膝蹴りが入る。
「気を拳に溜めると防御にまで気がまわらんな?
拳と腹と両方に気を念じろ」
「にゃぁあ……」
崩れ落ちるマオマオ。
「その腕……やはり……お前……にゃぁ」
マオマオはその場で倒れてしまう。
「うおおお!!」
乱切りを打ち続けるアヤメとチドリ……
ズババババ!!
「いい太刀筋だが、お前も防御が、甘いな?」
隙を見てアヤメの腹にスイの鋭利な腕が刺さる!
ズバッ!
「黒鉄流剣術!黒閃千鳥!!」
ズババババ!!
「なに!?」
腹を斬られても一切引かないアヤメ!
「うひゃひゃ?なんやこの女!?
皮膚硬すぎるで!?バケモノやないか!?」
チドリの刃が通らないスイ!
「そうか、お前、ヤマトの鬼か……
不老不死と言われる……」
「お前こそ何者だ!?」
「ぎゃはは!そうか不老不死かぁ面白いな?
お前とはもう少し早く会いたかったものじゃ」
「……!?」
キキキン!!
「ドラゴニックアロー!」
スイの指から鋭利な矢が解き放たれる!
ズドン!!
「しまった!?」
腕を貫かれ
そのまま岩山の壁に打ち付けられる
両腕を矢で壁に固定されてしまった……!
「殺しはせん。大人しくしていろ」
「く!!スイ!!」
「なめんなぁゴラァ!!」
「ドラゴニックショック!」
ドン!!
空気を圧縮して解き放つ圧縮砲は
強烈な爆発を引き起こし、
チドリをアヤメの手から吹っ飛ばしてしまった。
「クソが!まてこらぁ!!」
「……やかましい刀じゃのう」
チドリは蹴り飛ばされ転がっていく。
「妾に太刀を浴びせたヤツなど久しぶりじゃ。
惜しかったがようやったの」
動けなくされてしまったアヤメたち。
「……くそ!スイ!!」
ツアー軍団を倒したスイは
そのまま峡谷の奥地へ。
「え!誰ですか!」
アマゾネスの村長はスイの姿を見て恐怖に慄く。
「……?おい、まさかあのはぐれたやつらを?」
「ひっ!?」
ドスン!
村長の腹に一撃入れたスイは村長を肩に担ぎ
峡谷の最奥へ到達する。
そこには
昨日はぐれたあの口うるさいヤマトの娘と
従者の残りが先に到着していた。
「あらあら〜スイ様!?
ご無事でしたのね〜?」
「ち、先に来ていたのか……」
「あらあら〜?村長さんどうされたのですか?」
「……」
「ムギ!様子がおかしい!?」
「主様!」
「ガルル!!」
血まみれのスイの姿。
嫌な予感がツムギの脳をよぎる――
「スイ様……わたくしの従者を
どうされたのですか……」
「ちょっと大人しくさせただけじゃ
心配するな殺してはおらん」
「スイ様……!どういうおつもりですか……!」
「お母ちゃん!!??」
え?
お母ちゃん……!?
ドラゴンが
間違いなく
今
そう言ったのである。
「よぉコハク。久しぶりじゃのう〜
会いに来てやったぞ」
「え!?」
「ええ?」
こちら倒れているアヤメサイド――
「……マオマオ!無事か!?」
「うう、アヤ……あれはやはり
間違いないにゃ……」
「どういうことだ!?」
「最初からアレは
ただの人間じゃないと思っていたにゃ……
あれは、間違いなく獣人化した、竜……
竜人!ドラゴニュートにゃ!!」
「スイが……竜人……!?」
まさかの竜人……!?
スイの目的とは……?
ドラゴンと竜人に囲まれた
ツムギの運命は……!!




