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吾輩は猫妖精である  作者: 現野 イビツ
お題作品
30/39

□チーズ□

チーズ@閃く……かもさんより頂いたお題。

あーるじゅうごー。

ある日の夕方のこと。

「今日の夕食はチーズフォンデュなんだけど……」

キッチンから溶けたチーズの入った小さな鍋を持って来たシーナお姉ちゃんが、眉をひそめて言葉を途中で止める。

その視線の先には、クロー様と右手に包帯を巻いたノエルお姉ちゃんがいた。

「あの、クロー様。お手を煩わせるのは大変心苦しいのですが、今日少し右手を怪我してしまったので、食べさせて頂けると嬉しいのですが……」

「勿論良いよ、ノエル。ノエルは大事な家族なんだから」

「──っ、ぅぁ、ありがとうございます……っ! あ、あの、串だと少し怖いので、お箸でお願い出来ますか?」

「うん、分かった。──じゃあ、まずは何を食べる?」

「で、では、そのブロッコリーを」

「りょうーい」

ノエルお姉ちゃんにそう頼まれたクロー様は、お箸でブロッコリーを摘むと、鍋の中にあるチーズと絡め、トロトロのチーズが垂れないように、鍋ごとノエルお姉ちゃんの口元に運ぶ。

それを見たノエルお姉ちゃんは、一旦ゴクリと唾を飲み込んでから、「あ、あーん……」と口を開いた。

「ハイ、あーん♪」

クロー様はそう言いながら、ノエルお姉ちゃんの口の中にプロッコリーを入れる。

そして、ノエルお姉ちゃんがそれを咀嚼し、嚥下したのを見てから聞いた。

「どう? お味の方は?」

「お、美味しいです……」

「それは良かった。じゃあ、次は?」

「ウ、ウィンナーで」

「はいはーい」

クロー様は、先程と同様にウィンナーとチーズを絡めると、それを再びノエルお姉ちゃんに差し出す。

お姉ちゃんは、ウィンナーが長かったのか、少し苦しそうにしていたが、何とか食べ切ると、次の注文をした。

「つ、次は里芋をお願い出来ますか?」

「さ、里芋? ……いや、本当に用意されてあるし」

「あ、あの……よろしいですか?」

「あ、うん。まぁ、別にいいんだけど……」

クロー様はそう答えると、先程までと同様に里芋にチーズを絡めて、ノエルお姉ちゃんに食べさせようとした。

が、しかし──、

「──あ!」

ツルリ、と里芋が箸から滑り出し、ポチャン、とチーズの入った鍋の中に落下する。

そして、その際に跳ねたチーズが、ノエルお姉ちゃんの顔や体に掛かってしまった。

「あ! ゴメン、ノエル! すぐに拭くから!」

「あ、はい」

クロー様は、卓上にあった白い布巾を手に取ると、少々呆気に取られているノエルお姉ちゃんの顔に触れ、丁寧にチーズを拭き取って行く。

が、顔のチーズを拭き取り、体に付いたチーズも拭こうとした時、クロー様は何かに気付いたかの様に一瞬体を硬直させ、気不味そうに視線を逸らした。

そんなクロー様の様子を見たノエルお姉ちゃんが、首を傾げてクロー様に質問する。

「? どうかしましたか、クロー様?」

「いや……流石にソコを拭くのはどうかと思って」

「ソコ?」

クロー様の言葉を聞いたノエルお姉ちゃんは、視線を下に向ける。

そこには、高価な漆黒のドレスこそ汚れていないものの、大きく開いた胸元にチーズが付着していた。

それを見たノエルお姉ちゃんは、クロー様が何故視線を逸らしているのを理解したのか、顔を赤らめ……しかし、すぐに何かを思い付いたのか、ニッコリと笑みを浮かべてクロー様に言った。

「あの、クロー様?」

「な、何かな、ノエル?」

「──私、クロー様になる触られても平気ですよ?」

「え?」

ノエルお姉ちゃんの言葉を聞いたクロー様は、何を言われたのか理解出来なかったのか、ポカンとした表情をする。

ノエルお姉ちゃんは、そんなクロー様の手を掴むと、満面の笑みで言った。

「──ですので、存分に拭いて頂いて構いません」

「──って、えぇ!?」

ようやくなノエルお姉ちゃんの言葉の意味を理解したのか、クロー様が珍しく真っ赤になって慌て出す。

が、ノエルお姉ちゃんは、ゆっくりとクロー様の手を自らの胸元に導いて行き──、

「──────って、ちょっとぉぉ!?」

──その指先が、ノエルお姉ちゃんの白い肌に届く直前に、シーナお姉ちゃんが持っていたお鍋を放り出して、それを止めに行った。

のは、いいんだけど……。

「ちょっと、ノエ姉! 何してんのよ!?」

「フフン、羨ましいでしょう?」

「確かに羨ま……じゃなくって!」

「クロー様、それでは続きを──」

「だから! 抜け駆けは禁止──」

「──あのさ、二人共。ちょっといい?」

「「──はい? どうかしました?」」

「いや、今度はリオンがチーズを被ってるんだけど」

そう。

クロー様が言った通り、私は先程シーナお姉ちゃんの投げた鍋の中にあったチーズを、頭から被っていて。

「ニャ、ニャー……」

「あ、ご、ごめん、リオン! す、すぐにタオルを取ってくるから!」

「──さぁ、クロー様! 今の内に──」

「いや、僕はリオンをお風呂場に連れて行くから」

「クロー様ー、一緒に入ってー!」

「「えっ!!?」」

などと、私達が“かおす”な状況を創り出している間、アパとキューブお兄ちゃんが、ポツリと呟いていた。

「……コレって何なんだろう、アパ?」

「さぁ? サービス回って聞いてますけど」


○オマケ○

「あれ? シーナ、何で僕のチーズフォンデュの具材はいつも通り貝殻と卵の殻なの? 後、何で僕のだけ、ブルーチーズでもないのに黴の生えたチーズを溶かすの? しかも、何で更に腐った牛乳を追加するの? ねぇ、シーナ? シーナ! ──シーナぁっ!?」

お題と挿絵をどんどん募集中です。

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