第19話:謝礼金
「お待たせ致しました、ローズ様」
椅子に座り、出されたお茶を飲んでいると、席を外していたイスハークさんが金貨が載っているトレーをテーブルへと置く
「こちらをお納めくださいませ」
「へ?」
「こちらに金貨10枚ございます。山賊から命を助けて頂いたお礼としては少なくはございますが、受け取ってください」
「いやいや!多すぎよ!!」
「多くありません!少なすぎます!!本来、命を助けてもらったお礼は基本、金貨20枚、30枚が妥当。金貨10枚でも商人仲間から笑われてしまいますが、いかんせん売上が良くない。今回は金貨10枚で手を打って頂ければと思います。ちなみに、これ以下にすることは絶対にありませんので」
イスハークさんの瞳からは"断じて少なくする気はない"と決意にみなぎっている
「譲らなさそうね。わかったわ、喜んで受け取りましょう」
説得を諦めた私はイスハークさんから金貨10枚を受け取る
「受け取って頂き、誠にありがとうございます。これでもし受け取って頂けないとあっては、本当に商人仲間から笑われてしまう所でしたよ」
「そういうものなの?」
「そういうものなのです。商人の世界は恐ろしいのです」
「怖いわね。でも、なんだかんだで手持ちが無くなってきていたから、金貨10枚は本当に助かるわ」
テッカイさんから頂いた山賊の捕縛金は全部で銀貨50枚、その後、ギルドカード発行手数料の銀貨10枚、宿屋"渡鳥の止まり木"の宿泊代の銀貨32枚を支払ったため、残金は銀貨8枚となっていた
「左様でしたか。ちなみに、どちらの宿にお泊まりになられるのですかな?」
「この通りにある宿屋"渡鳥の止まり木"って宿屋よ」
「"渡鳥の止まり木"でしたか。あそこは清掃が行き届いており、防犯もしっかりしています。良い宿屋を見つけられましたな」
「冒険者ギルドのスタッフから教えてもらったのよ。ただ、中々な値段だったものだから、手持ちがピンチだったのよ。貴方のおかげで、何とかなりそうだわ、ありがとう」
「お礼としてお渡しした物が、逆にお礼を言われるとは思いもしませんでしたよ。ところで、この後のご予定をお伺いしても?」
「この後はエリドゥの街の探索と買い物かしら?ギルドで依頼は受けてきたから、それの準備をしようかと思っているわ。とりあえず、武器と防具は買えそうでよかったわ」
「武器と防具は冒険者には必須。もしよろしければ、私が知っている装備屋でもお教え致しましょうか?」
「あら、本当?それは助かるわ」
「では、地図をお持ちいたしますので、少々お待ちください」
私に必要な装備が売ってある装備屋の位置を教えるため、イスハークさんは地図を取りに部屋を出ていった
《所持金》
金貨10枚(+10)
銀貨8枚




