第18話:イスハーク仕立て店
「よし、部屋も借りれたし、イスハークさんのお店へ向かいましょう。場所を聞くのを忘れていたけど、ツグミさん、知っているかしら?」
部屋から退室した私はしっかりと施錠し、一階へ降りる
「ツグミさん、ちょっとお店の場所を教えてもらいたいのだけど良いかしら?」
「良いですよ、何というお店でしょうか?」
「店名は聞いてなかったわ。イスハークさんって男性が営んでいるのだけど知らないかしら?確か、仕立て屋って言ってたわ」
「あら?イスハークさんのお知り合いだったのですね?イスハークさんのお店なら、ここを出て右に真っ直ぐ行けば見えてきますよ」
「この通り沿いにあるのね?わかったわ、ありがとう」
「いえいえ、ではお出掛けでございますね?お出掛けの際は鍵を無くすといけないので、こちらでお預かり致します。鐘が八回鳴り、翌朝、鐘が三回鳴るまで、私はおりませんのでその間はお客様ご自身で鍵をお持ちください。なお、鍵を無くした場合は罰金となりますのでご注意ください」
「わかったわ、気をつける。じゃあ、出掛けてくるので鍵をお願いね」
ツグミさんへ205号室の鍵を手渡す
「お預かり致します。お気をつけていってらっしゃいませ」
宿屋の出入り口の扉から出た私は、説明通り、この通り沿いにあるイスハークさんの店へと歩き出した
「さて、イスハークさんのお店は何処かしら?何か目印があれば良いのだけど。あら?あれはイスハークさんかしら?」
遠くから、こちらへ手を振っている男性の姿が見える。
微かに、私の名前を呼んでいるような気がする
「ローズ様!こちらです!ローズ様!!」
"気がした"ではなく、"呼んでいた"が正解だった
「ローズ様!お待ちしておりましたよ!!」
「イスハークさん、お待たせしたわ。ここがイスハークさんのお店なのね?」
「はい。イスハーク仕立て店でございます。どうぞ中へお入りください」
イスハークさんから招かれ、店の中へと入室する。
店内を見渡すと色んな布生地が棚に置かれていた
「どうぞ、ローズ様。こちらへ」
店の奥へと進むと談話室があり、そこの椅子へ座るよう促される
「ローズ様、私と別れた後、冒険者ギルドへ行かれましたかな?」
「ええ、どうにか冒険者になることができたわ。ほら、これ」
先程、発行されたばかりのギルドカードをイスハークさんへ見せる
「おぉ、それはそれは良かったですな!特典については説明されたと思われますが、この店もギルドに加盟しております。なので、もし衣服がご入用の場合は私に言ってくだされば、他の冒険者のお客様よりもっと割り引かせてもらいますよ?」
「あら、そんなことして大丈夫なの?」
「大丈夫でございます。特典に関しましては2割引と決まっております。ですが、ローズ様に限り4割引とさせて頂きます」
「4割も!?ちょっと!割引すぎよ!!」
「いいえ。本来なら、4割引ではなく6割引にしたいのです。しかし、残念なことにここ最近売り上げが悪く、6割だと少し厳しいのです。もし、もっと大きな店にすることが出来るようになりましたら、6割引にさせて頂きますね」
イスハークさんは申し訳なさそうな表情をしているが、4割引でも充分だと思う
「その時を楽しみにしておくわ」




