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第一部 ― 朝を知らない者たち ―
助けてほしかった。
けれど、その声は誰にも届かなかった。
人は深い孤独や絶望を抱え続けると、“影喰”と呼ばれる怪異に心を蝕まれる。
涙を失い、
喜びを失い、
やがて“生きたい”という感情さえ喰われてしまう。
そんな者たちが辿り着く場所がある。
終わらない夜の街――夜喰街。
朝凪小夜は、人に否定され続ける日々の中で、少しずつ感情を失っていた。
誰かに手を差し伸べても、
自分が苦しい時に差し伸べられる手はない。
笑い方も、
泣き方も、
助けの求め方さえ忘れてしまった頃、
小夜は夜喰街へ迷い込む。
そこで出会ったのは、
夜守として街を巡る青年・夜代朔と、
口は悪いがどこか優しい黒猫の妖・クロだった。
夜喰街には、
それぞれの痛みを抱えた人々が集う。
大切な人を失った者。
誰にも理解されなかった者。
自分自身を見失った者。
そして、
朝を諦めてしまった者。
小夜は彼らとの出会いを通して、
少しずつ忘れていた感情を取り戻していく。
しかし、
夜喰街には大きな秘密が隠されていた。
影喰とは何なのか。
夜守とは何者なのか。
そして、
「夜守は朝へ帰れない」
その言葉が意味するものとは――。
これは、
消えたいと願った少女が、
もう一度“生きたい理由”を見つけるまでの物語。
朝を知らない者たちが、
それでも夜の先にある光を探し続ける物語である。




