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2☆鏡

「ふふふふふ」

三面鏡の前に座って、翔子になった多恵子は自分の顔に見惚れていた。

「ほっそりした顔の輪郭、手足。白い肌。長いまつげ。黒目がちの目・・・私?本当にこれが私?」

鏡台の引き出しから化粧品を取り出して、顔に施す。

くっきりとした顔立ちの美人がそこに座っている。それが自分。そう思うだけで心踊った。

こんこん。

「はい」

ノックの音に、ドアを開けると一馬だった。

「一馬さん!」

「どんな具合?本当に他人の体でも美人だったら嬉しいものなのか?」

「もちろんです!」

一馬はあきれているようだったが、多恵子は自分が翔子の体にいるから一馬が会いに来てくれるんだ、と勘違いした。

「以前の私なんかと誰も付き合いたがらなかったけれど、この姿なら、きっと素敵な人と出逢えそうな気がするんです。どうです?男の一馬さんの目で見て、今の私、綺麗でしょ?」

「いいや」

「え?」

「以前の多恵子は相手のことを思いやって気が利いて、やさしくてとても良かったけれど、今の多恵子は自分に有頂天な莫迦な女に見える」

「なんですって!」

翔子の姿でにらまれると凄みがあった。

一馬は無言で立ち去った。

多恵子は三面鏡に向き直った。そして自分の形相にぎょっとした。まるで鬼のようだった。

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