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姿を消して帰還

グレンデルの最後の一発が、瓦礫の山に響き渡った。


ドーン!


マローダーは空中に吹き飛ばされ、錆びた鉄板の山陰に消えた。


レンジロウはライフルを構えたままだった。


彼は待った。


5秒。


10秒。


何も起こらない。


「動きは?」


ヴィーナスの声が頭の中で答えた。


「この付近に敵対的な生物は感知しません。」


レンジロウはゆっくりとARX-13グレンデルを下ろした。


「よかった。」


しかし、彼の肩はそうは思っていなかった。


「右関節に腫れが見られます。」


「私も気づきました。」


「再びそのように武器を使うと、怪我をする可能性があります。」


レンジロウは巨大なライフルを見つめた。


「慣れる必要があるな。」


「体を鍛えなきゃ。」


「俺もだ。」


彼はサイドインジケーターに目をやった。


エネルギー:14%


それほど消費はしていないが、重要なことが確認できた。


グレンデルを無限の弾薬とエネルギーを持つ武器のように使うことはできない。


レンジロウはスリングを肩に担いだ。


「武器は手に入れた。さあ、ここから出よう。」


今度はヴィーナスは反論しなかった。


「賛成。」


脱出方法を見つけるのは、武器を見つけるよりもはるかに困難だった。


レンジロウが通ってきたルートはもはや使えなかった。


橋はなくなっていた。


沼地は遠すぎた。


そして、彼のフィルターは限界に近づいていた。


ヴィーナスはリンクのおかげで古い地図の断片を復元することに成功した。


しかし、それはただの断片だった。



断片。


「西へ1キロほど行ったところにメンテナンスルートがある。」


レンジロウは立ち止まった。


「あるのか、それともあったのか?」


沈黙。


「あった。」


「正確な情報、ありがとう。」


「設計図は100年以上前のものだ。」


「やはりそうだったか。」


レンジロウは続けた。


そのルートは、スカーの別の場所を通っていた。


沼地は少なかった。


しかし、道幅ははるかに狭かった。


古い作業用トンネルが岩壁を貫いていた。


いくつかは完全に崩落していた。


他のトンネルには機械の残骸が残っていた。


レンジロウはできる限り戦闘を避けた。


グレンデルの能力を見せつけるつもりはなかった。


彼は既にその能力を知っていた。


それに、彼は今、もっと重要なものを携えていた。


ヴィーナス。


たとえ誰にも見えなくても。


「少し離れてくれるか?」


「『離れる』ってどういう意味だ?」


「他の人間に乗り移れるのか? 機械とか? そういう類の?」


「今は無理だ。」


恋次郎は歩き続けた。


「じゃあ、俺たちは閉じ込められたってことだな。」


「その言葉遣いからして、俺が今の状況は不快だと思っているように聞こえるな。」


「そうだろう?」


沈黙。


「まだ判断しているところだ。」


恋次郎は微笑んだ。


「進歩だ。」


「いや。」


約1時間後、彼らはトンネルを見つけた。


巨大な門が入り口を部分的に塞いでいた。


恋次郎はそれを迂回しなければならなかった。


グレンデルが事態を複雑にしていた。


「これは絶対に潜入用に設計されたものではないな。」


「重火器として設計されたんだ。」


「今、それを解明しているところだ。」


彼は通り抜けた。


トンネルは上昇していた。


それは良い兆候だった。


それから40分間、彼らはほとんど暗闇の中を歩いた。


恋次郎は疲労が増していくのを感じた。


傷。


肩。


脚。


空腹。


そして何よりも…


喉の渇き。


彼は水筒を取り出した。


少し振った。


ほんの少しだけ。


最後の一滴を飲み干した。


「空っぽだ。」


「水分補給量が推奨量に満たない。」


「水は持っているか?」


「いや。」


「それなら、その情報はあまり役に立たないな。」


「それでも正しい。」


「どうやって長年一人で生き延びてきたのか、少しずつ分かってきた。」


ヴィーナスは何も答えなかった。


ついに、彼の目の前に何かが現れた。


光。


恋次郎は立ち止まった。


それは人工の光ではなかった。


かすかな気配だった。


自然な気配。


「金星だ。」


「外気を感知した。」


恋次郎は何時間も待ち望んでいたものを感じた。


安堵。


彼は少し加速した。


トンネルは廃墟となった建物の裏で途切れていた。


恋次郎は外に出た。


そして息を吸い込んだ。


空気。


本物の空気。


冷たい。


腐敗臭がない。


化学物質の臭いがない。


沼地の臭いがない。


彼はマスクを外した。


深く息を吸い込んだ。


「もう普通の空気に文句は言わないぞ。」


「統計的に言えば、それはあり得ない。」


恋次郎は微笑んだ。


「この感覚を味わわせてくれ。」


彼は振り返った。


その距離から見ると、傷跡はさらに奇妙に見えた。


地面にできた巨大な裂け目。


暗い。


汚染されている。


静寂。


恋次郎は、起動できるかどうかも定かでない機械を探しに中に入った。


そして、システム内に人工知能を組み込んだ状態で出てきた……


肩には100年前の実験的なライフルを担いでいた。


「もっとひどいことになっていたかもしれない」


「17回も確実に死んでいたかもしれない」


恋次郎はゆっくりと首を回した。


「数えたのか?」


「ああ」


「知りたくない」


「最初の1回は起こった」


「金星だ」


「了解」


恋次郎は通信機を確認した。


画面はほとんど何も表示されていなかった。


電源を入れた。


日付が表示された。


恋次郎は笑みを消した。


「しまった」


「何か問題でも?」


彼は中にいた時間を計算違いしていた。


降下、戦闘、金星、グレンデルの捜索、そして新たなルート…


彼の許可証は事実上期限切れだった。


「戻らなければならない。」


「すぐに?」


「すぐに。」


学園付近にたどり着くまでにはさらに時間がかかった。

レンジロウはルートを避けた要点。


彼は、公式には100年以上行方不明だった実験的な軍事兵器を携えて、何気なく入り口に現れるわけにはいかなかった。


ましてや、自分の姿を説明できるはずもなかった。


制服は汚れていた。


乾いた血痕が付着していた。


泥。


傷跡の痕跡。


そして、異臭がした……


恋次郎は袖の匂いを嗅いだ。


すぐに後悔した。


「シャワーを浴びなきゃ。」


「確認済み。」


恋次郎は立ち止まった。


「確認する必要はなかった。」


「体臭が……」


「ヴィーナス。」


沈黙。


「時には情報を伏せておくこともできる。」


「覚えておくよ。」


問題はグレンデルだった。


それを持ち込むことはできなかった。


恋次郎は学園の敷地境界線から比較的近い場所に、古い整備棟を見つけた。


かつては道具置き場として使われていた場所だった。


今は廃墟となっている。


彼は中に入った。


隅々まで確認した。


それからグレンデルを古い防水シートで包んだ。


「一時的にね。」


「誰かに見つかるかもしれない。」


「寮の中をこれを持って歩き回るよりはマシだ。」


ヴィーナスは反論しなかった。


レンジロウは武器を金属板の下に隠した。


正確な位置を記憶した。


「すぐ戻る。」


彼は脇の入り口から学園に入った。


マサトの経験はどんな魔法よりも役に立った。


カメラに向かってまっすぐ歩くな。


怪しげに隠れるな。


そこにいる権利があるかのように動け。


待て。


様子を観察しろ。


二人の生徒が通り過ぎた。


レンジロウは建物の陰に隠れた。


作業員が現れた。


彼は待った。


そして彼は横切った。


誰も彼に気づかなかった。


少なくとも、誰も気づかなかったようだった。


彼はついに寮にたどり着いた。


彼はドアを開けた。


彼は中に入った。


彼はドアを閉めた。


静寂。


恋次郎はドアに背中をもたせかけた。


「任務完了。」


「まだ臭いぞ。」


恋次郎は目を閉じた。


「ありがとう、ヴィーナス。」


シャワーは、おそらく遠征中一番心地よい時間だった。


熱いお湯。


恋次郎は数分間、そのお湯の下に立っていた。


最初は水がほとんど真っ黒だった。


泥。


血。


埃。


残留物。


彼は髪を二度洗わなければならなかった。


それから彼は傷の手当てをした。


いくつかヒリヒリする。


「うっ…」


「脇腹の傷は手当てが必要だ。」


恋次郎はぼんやりと前を見つめていた。


「ヴィーナス。」


「はい?」


「私が見えますか?」


沈黙。


「私たちの繋がりを通して、ある種の感覚データを受け取ることができます。」


恋次郎は微動だにしなかった。


「いくつかルールを決めましょう。」


「ルール?」


「プライバシー。」


「私たちの状況を考えると、あまり効率的な人間の概念ではありませんが。」


「プライバシー。」


沈黙。


「分かりました。」


「ありがとうございます。」


「とはいえ、傷の手当てをした方が良いでしょう。」


「そう言ってくれてありがとう。」


入浴後、恋次郎は傷を洗い、包帯を交換した。


清潔な服。


髪はまだ湿っていた。


傷跡に入って以来、初めて彼は学生らしい姿を取り戻した。


まあ、だいたい。


彼は鏡に映った自分を見た。


目の下にクマができていた。


顔に小さな切り傷。


傷を隠さなければならないだろう。


「眠らなきゃ。」


「まずは話がある。」


恋次郎はため息をついた。


「もちろん。」


ベッドに起き上がった。


「話してくれ。」


目の前に微かなインターフェースが現れた。


ヴィーナスシステム


同期率:3.9%


わずかに上昇していた。


「私の状態は当初の想定よりも悪い」とヴィーナスは説明した。


恋次郎は真剣な表情になった。


「どれくらい?」


「メイン構造に広範囲な損傷がある。いくつかのシステムは機能停止しており、他のシステムも5%以下でしか動作していない。」


「自己修復できるのか?」


「できる。」


それは朗報だった。


「どうやって?」


リストが表示された。


精製エーテル結晶


アルカナ伝導合金


処理コア


機械再生材料


未知の構成要素/不完全なデータ


レンジロウはそれを観察した。


「つまり、材料が必要なんですね。」


「大量に。」


「私にも手に入りますか?」


「少しは。」


「残りは?」


「いずれ。」


レンジロウは理解した。


魔法のピースを見つけてヴィーナスを修復するというような単純な話ではない。


彼女を再構築する必要があるのだ。


少しずつ。


「材料が揃ったら?」


「システムを復旧させます。」


「あなたの力は?」


「徐々に。」


レンジロウは微笑んだ。


「では、大変な仕事になりそうだ。」


ヴィーナスは沈黙していた。


そして、彼女は口を開いた。


「他にもある。」


恋次郎は待った。


「俺たちの絆によって、俺の力のほんの一部をお前に分け与えることができる。」


恋次郎はすぐに起き上がった。


「力?」


「ああ。」


「俺の魔力では無理だと思った。」


「かなりの量の力は渡せない。」


「でも…」


「ほんの少しなら可能だ。」


恋次郎は自分の手を見つめた。


「どれくらいもらえるんだ?」


「あまり期待するな。」


「ヴィーナスだ。」


「お前の期待は往々にして能力を超えている。」


「教えてくれ。」


インターフェースが変わった。


ヴィーナス転送


利用可能容量:0.8%


恋次郎は瞬きをした。


「0.8?」


「その通り。」


「それは…」


「少ない。」


「ほんの少しだ。」


「君の体はもう耐えられない。」


恋次郎はため息をついた。


「よかった。どうする?」


「手を差し出して。」


恋次郎は従った。


温かさを感じた。


痛みはなかった。


今回は違った。


腕に穏やかなエネルギーが流れた。


皮膚の下にピンク色の線が数秒間現れた。


そして消えた。


恋次郎は手を開いた。


何もなかった。


「それだけ?」


「待って。」恋次郎は意識を集中させた。


そして、それを感じた。


何か新しいもの。


まるで自分の魔力の下に、もう一つの存在が潜んでいるかのようだった。


小さく、


しかし、はるかに密度が高かった。


恋次郎は指を一本立てた。


指先に小さなピンク色の光が現れた。


彼の目は見開かれた。


「エーテルだ。」


「私の魔力のほんの一部だ。」


恋次郎は光を増幅しようとした。


光は瞬時に消えた。


「無理に繋げるな。」


「分かった。」


「そのエネルギーを使って、特定の動作を一時的に強化したり、私と互換性のあるシステムに動力を供給したり、あるいは君の乏しい魔力を補ったりできる。」


「魔法は使えるのか?」


「厳密に言えば、君は常に使えていた。」


恋次郎は顔をしかめた。


「言いたいことは分かるだろう。」


「高度な魔法を使えるとは思わないでくれ。転送される量はごくわずかだ。」


恋次郎は再び自分の手を見つめた。


彼は気にしなかった。


なぜなら、それはあることを証明していたからだ。


彼は成長できる。


「いつになったらもっとくれるんだ?」


「私の容量が増えた時だ。」


恋次郎はすぐにその繋がりを理解した。


「材料だ。」


「その通り。」


「君を修復する。」


「私は容量を取り戻す。」


「君は容量を取り戻し、より多くの量を私に渡せるようになる。」


「君の体がそれに耐えられるなら。」


そこに第二の問題があった。


恋次郎は微笑んだ。


「それなら、私も自分を強化しなければならないな。」


「その通り。」


ヴィーナスは数秒間沈黙した。


「私たちの状況はかなり非効率的だ。」


恋次郎はくすりと笑った。


「君を使うには、私は弱すぎる。」


「その通り。」


「そして君も、全力を発揮するにはダメージが大きすぎる。」


「その通りだ。」


「つまり、俺たち二人とももっと強くなる必要があるってことだ。」


沈黙。


「その説明でいい。」


恋次郎はベッドに倒れ込んだ。


「じゃあ、明日から始めよう。」


「もう一つ問題がある。」


恋次郎は手で目を覆った。


「もちろんあるさ。」


「君の不在だ。」


恋次郎は手を下ろした。


「何?」


「君は長い間いなかった。」


沈黙。


それは事実だった。


彼は誰にも気づかれずに戻ってきた。


しかし、だからといって誰も彼の不在に気づかなかったわけではない。


恋次郎は通信機を手に取った。


複数のアラートが届いていた。


メッセージ。


通知。


そして、そのうちの一つがすぐに彼の注意を引いた。


リオラ・エリーゼ


恋次郎は目を開けた。


すると、別の名前が表示された。


セラフィーヌ・ヴァレンハイム


「ちくしょう。」


ヴィーナスはこう答えた。


「何か問題?」


恋次郎は二つのメッセージに目を通した。


「思ったほど上手く侵入できなかったみたいだ。」


「考えられる反応を分析してみようか?」


恋次郎は疲れたように微笑んだ。


「いや。」


彼は立ち上がった。


「このパートには、君のステータスには載っていないスキルが必要だ。」


「欺瞞?」


恋次郎は清潔なシャツを手に取った。


「外交だ。」


「人間の記録によると、両者はかなり似ているようだ。」


恋次郎は言葉を詰まらせた。


「君は覚えるのが早すぎる。」


初めて、ヴィーナスの声に何か変化を感じたような気がした。


「もう少しで…」


「楽しい。」


恋次郎は、ほんの一瞬だけ自分の手の上に浮かび上がった小さなピンク色の光を再び見つめた。



大したことではなかった。


まだ真の力と呼べるレベルではなかった。


しかし、始まりだった。


ヴィーナスは体を取り戻す必要があった。


彼自身も強化する必要があった。


彼らには材料が必要だった。


お金が必要だった。


情報が必要だった。


訓練が必要だった。


そして遅かれ早かれ…


レンジロウは自分の情けない魔法能力を何とかしなければならないだろう。


だが、それは後回しでいい。


なぜなら、まずはもっと差し迫った問題があったからだ。


一体どこにいたのかを説明しなければならない。


傷のことも忘れてはならない。


グレンデルのことも忘れてはならない。


そして何よりも…


ヴィーナスのことも忘れてはならない。


第11章 終わり


第11章 謝辞


第11章を最後まで読んでいただき、本当にありがとうございます!


様々な出来事を経て、恋次郎とヴィーナスはついにエーテルスカーから脱出することに成功しましたが、彼らの苦難はまだ始まったばかりです。ヴィーナスは力を完全に回復するには程遠く、回復には多くの素材が必要となります。今のところ、彼女は恋次郎にほんのわずかなエネルギーしか分け与えることができていません。


これから二人は共に成長していく必要があります。恋次郎は肉体と魔力を鍛え、ヴィーナスは失った力を少しずつ取り戻していくのです。


そして、まだ一つ小さな問題が残っています…ヴィーナスがどこに行き、何を見つけ、そして何者なのかを明かさずに、彼女の不在を説明することです。


もしこの物語を楽しんでいただけたなら、評価、コメント、お気に入り登録をしていただけると大変嬉しいです。また、これまでの恋次郎とヴィーナスの関係についてのご意見もお聞かせください。


読んでいただき、本当にありがとうございました。次の章でお会いしましょう!

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