表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『仕置俱楽部』-Everybody Justice-  作者: 秋月夜雨
FILE-04『執行、セクハラ男を容赦なく仕置く!』
13/13

【PROCESS-B】調査『見せてもらおうか、そのセクハラ男の愚劣な実態を』

この喜代端という部長、結構悪いことをしているようで。

それをルナが加入した四人の仕置俱楽部があの手この手尽くして調べ上げますと……


出てくる出てくる。

叩けば出てくる埃でした。

「さてさて、始めていきましょうかね。例のセクハラ部長……喜代端裕善の裏の顔、しっかり暴いてやるっす!」

——〈エブリデイ〉のバックヤード内の仕置俱楽部のスペース。


暗がりの部屋に、モニターの光や怪しく踊る。

キーボードをカタカタとトップスピードで叩くのは、ハッカー。リクライニング椅子に背を預けながら、スナイパーが缶コーヒーを開ける。

「社員(特に新入社員)いびりに、経費の乱用。んでもって電車で痴漢……こりゃもう、人間としてアウトっすね」

「しかも、今のままじゃ証拠が残ってないっすよ。セクハラって、声を上げた方がなぜか責められる風潮……マジ納得いかんっす」

モニターを見ながらハッカーが色々ターゲットの実情を明かしていく。


とそこで、「まあ、だからこそワシらがやる意味があるっていうことばい」と執行が言いながら過去のデータファイルを持って現れた。


その背後から、コンビニの制服姿の少女——ルナがひょっこりと顔を出した。

「うっす! 今日からあたしも本職として参加だから、任せといて!」

「本職って、学校出たてのギャルが言うセリフかよ……」とスナイパーが呆れる。

「だってえ、もう高校卒業したもん。ジョニーさんにも恩があるし、さらには仕置俱楽部があたしの進路希望だしぃ!」

執行は「はいはい、頼もしかね。じゃ、まずは喜代端(きよはし)の足元から調べて見らんとね」と言ってファイルを置くと、すぐにハッカーのモニターに映像が並ぶ。


「すでに僕が会社の経費明細と交際費をクロスチェックしたっす。高級クラブ『ルナパレス』……月4回通っているっすね。しかも名目は接待。うわ。一人で行ってる」

「自腹切らずに会社の経費で豪遊してるっちゅう訳たい。これは社内横領に近いばい!」

「さらに、取引先の納品書にも不審な裏金処理があるっす。取引額の調整、担当者の個人名あての送金記録……ぜーんぶ、喜代端の口座に流れてるっす」

スナイパーは眉をひそめる。

「こりゃあ、ヤバすぎるやろ、この部長……ガチのドス黒悪徳サラリーマンやん」

「でも、本当にひどいのはここからたい」

執行が手元のファイルをトントンと叩いた。

「真木しおりしゃんの証言によれば……『お茶汲みの角度が足りない』だの、『スカート短くすれば可愛いのに』って言われたっちゃろ?」

ルナが、「そのしおりさんに依頼して録音してもらったのがあるけど、女子トイレの前で喜代端がキモいことを言ってたのよ……キモすぎてさ、マジでバリ鳥肌立っちゃったよ」と言ってスマホを差し出す。


再生された音声からは、男のねっとりした声が響いた。

《女は愛嬌。可愛い格好で、僕を癒してくれないかなぁ~》

《部長は優しいって、みんな僕のことを言ってるよ~?》

《しおりちゃん、気が利くんだから、もっと笑ってくれなきゃ困るよ~。上司はね、女の子の笑顔に弱いんだよぉ》


——確かに、キモいな。


「うわ、きしょい……聞いてるだけで胃もたれするっす」

「そんで笑わないと評価を下げるって脅しかい。そりゃもう、職権乱用のセクハラやん」

「その上、出張と称して、部下の女子社員をラブホテルの近くまで連れてっているって話もあるんだ。こりゃおかしいよ」そう説明するルナにとって、喜代端は敵である。


「ハッカー、その調査いつやったとね?」

「この前、しおりさんにお願いして制服のポケットに僕の作った小型マイクを仕込んだっす。そうしたら『個人的に連絡先教えて』とか『春だけど、腰は冷やさないで』って腰を触ろうとしたらしいっす」

「ほんっとウザい! コイツ、ほんとに女の敵! 奈落の底に陥れたい!」

ルナはぶすっと頬を膨らませる(言いすぎだと思うが、ルナの本性ってこんな感じです)。


スナイパーが彼女の頭をぽんぽんと撫でた。

「ルナちゃん、今回が初めての仕置きだけど、ターゲットってこんなヤツばっかりだからね。いちいちキレていたら身体がもたなくなるよ」

ルナはハッとわれに返り、「そ、そうね。でもね、あたし思ったけど、しおりさんとか他の社員さんも、本当に辛いんだろうなと……しみじみ」と言った。


その言葉に、一同は静かになった。

ハッカーが、ノートパソコンのマウスを動かしながら口を開く。

「ちなみに喜代端のプライベート端末にも侵入済みっす。これを見てほしいっす」

画面には——複数の女性の画像と、個人ファイルが。


《僕だけのしおりファイル/今日のスカート角度/お茶汲み動画》


「うわっ……この野郎!」とルナが机を叩く。

「これはもう、変態の域だな。即・裁き案件」

「……コイツは、しゃんと仕置きせんと。いや、もう立てんように仕置きせんと。しおりさんはもとより誰かが壊れるったい。いやもう壊れている人もいるだろうばってん」


執行の声が静かだったが、底には怒りがにじんでいた。

「じゃあ、やるばい。クソ野郎のセクハラ男を、会社、いや社会から抹殺する作戦を」

「了解っす。すでに痴漢路線も調査済みっす。通勤電車のカメラ映像に協力してくれた駅員さんにもコンタクトを取ってるっす」

「防犯映像に映った指の動きまで特定済み。どうしようもない救いようのないアホやな、このスカタン部長は」

「最後はハッカーが社内イントラネットに『喜代端裕善・セクハラコレクション動画集』を自動配信して泣いてもらおっか——それで評判も地位もガタ落ちだな」


「ふおっふおっふおっ。まさに愚劣の名にふさわしかばい!」

「ん? ジョニーさん?」とスナイパーがのけぞりながら言う・

「い、いや、だだマネをしただけたい!」

「……やめてくださいよ。俺、ジョニーさんは怖くて少し苦手なんですから……いつも笑っているけど、あれ絶対何か『ウラ』がありそうで」

「え? ジョニーさんはいい人だと思うな。だってあたしの学費を払って卒業までしてくれたし♡」


「ようし、準備は順調だな。あとは、タイミングと角度だな」

「角度? 元女子アナのニュースのアングルじゃなくて?」

「違う。角度……そう、お茶汲みの角度も正してもらいましょうかね?」とスナイパーがルナに向けてニヤリ。

ルナはそれを瞬時にキャッチし、「そうね。まずはあたしが職場に新人派遣社員として潜入してみようかな~?」と言ってみせた。

「お、ルナの初潜入ぁあ。よかよか。ばってん、無理したらいけん。仲間がいるからみんなで喜代端を叩こうぞ」と言う執行は心配そうだ。

「ルナ、頼むぞ。僕は電車とプライベート方面を担当するっす」

「じゃ、ワシが総務部長の汚れが出尽くした段階でお仕置きをしちゃる!」


——今回の作戦名は、『おかわり、まだすか?』作戦だ。


「その言葉、しおりさんが喜代端に無理やり言わされた言葉らしいっす。周囲の人はそれを聞いて笑っているようだが、本心ではないらしい」

「あたし、本当にブチキレとるし!」

「まあまあ、ルナ。そんなに感情的になったら叩けるもんも叩けなくなる。逆にかえって返り討ちにあうかもしれないよ。大丈夫。今回が初めてだが、これだけ仲間がいることを忘れるなよ」とスナイパーがルナをなだめる。


——静かに、しかし着実に、仕置の包囲網が敷かれ始めていた。


「ところで執行さん、やっぱり……」とハッカーが一応執行に聞く。

「やるばい! さあて、今日もはりきっていきまっしょい!」


——し~ん。


だが、ルナが、「ねえねえ。あの『いきまっしょい』って、何?」と二人に聞く。

「ああ、あれね。なんか知らんけど、執行さんが仕置きのはじめにかけ声をで発する博多弁なのさ。毎回毎回聞くけど、あれを聞くと力が抜けるんだよなあ……」とハッカーが。

「ふうん。なんか知らんけどカッコイイかも♡」と初めて聞いたルナ。

「ええっ?」


仕置倶楽部の影が、喜代端裕善の背後に——忍び寄る。

次回は、

FILE-04『執行、セクハラ男を容赦なく仕置く!』

【PROCESS-C】仕置『ルナの花道、咲かせてみせます』


ルナちゃんが初潜入。

社会人としても初めてなのですが、大丈夫でしょうか?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ