奴隷身分
生きながらにして鬼籍(死んだ人の名や死亡年月日を書きしるす過去帳の事)に入り、人でありながらモノ扱いされている者たちの総称。そのため、奴隷身分に落とされた者は、この世界に戸籍がない事になる。また、奴隷身分になった時点で、それまでの家族の関係も当然なくなってしまう。
しかし、戸籍がないと管理ができないため、奴隷身分になった時点(奴隷隷属の首輪が填められた時点)で、奴隷ギルドが管理する『隷籍』と呼ばれる奴隷専用の戸籍に自動登記される事になる。
ここで登記されるモノは、奴隷内の身分を示す『奴隷区分』となる。
基本的に奴隷身分になると、主人から解放されない限り一生涯その身分となる。ただし、一部奴隷区分においては、特定条件を履行しない限り解放される事なく、一生涯奴隷として暮らしていく事になる。
奴隷身分においても、必要最低限度(奴隷区分により異なる)の生活は保障されており、市井で暮らす奴隷は、伝染病等の発生を防ぐ目的で不潔にしてはならないと定められている。
奴隷区分は、『一般奴隷』・『戦時奴隷』・『犯罪奴隷』・『D級奴隷』・『囚人奴隷』の五つの奴隷区分で管理されている。
そしてこの奴隷区分は、そのまま奴隷内の身分としての役割もあり、『一般奴隷』→『戦時奴隷』→『犯罪奴隷』→『D級奴隷』→『囚人奴隷』の順で身分が低くなる。
この奴隷区分の中で、市井内で暮らしている奴隷は、『一般奴隷』・『戦時奴隷』・『犯罪奴隷』・『D級奴隷』の四つとなり、残りの『囚人奴隷』は、市井に出てくる事はほとんどない。
そのため、実質的には『D級奴隷』が、すべての身分の中で一番身分の低い奴隷区分となっている。また、D級奴隷は、その特異故様々な社会的制約が課せられており、世間一般からは、侮蔑と恥辱を込めて蔑称である『ドゥーレ』と呼ばれているらしい。
=一般奴隷=
ほとんどの奴隷はこの区分に属しており、世間一般において『奴隷』と言えば、この区分奴隷の事を指している。
借財奴隷とも言われており、自分自身もしくは、身内の作った借金(税金の滞納も含む)を返済する目的で奴隷落ちをする。そのため、借金を返済すれば、基本的に奴隷身分から解放される事になっている。そのため、契約奴隷とも呼ばれる事もある。
基本的には、奴隷ギルド主催の奴隷市でオークションにかけられる事になる。この時に競り落とされた落札額(奴隷ギルドが立て替えた借金総額+各々の能力に合わせた追加金額が競り値の初値となる)が、それぞれの奴隷が返済する基本額となる。そのため、借金総額の多い者は、生涯奴隷となる割合が多くなる。
奴隷が主人に申し出れば、借金返済後も生涯奴隷身分でいる事ができる。
=戦時奴隷=
戦争期間中、相手国からの侵攻によって住んでいる町や村が落とされた際、一方的な理由で奴隷に落とされる事がある。この場合、基本帝に奴隷に落ちる事のない王侯貴族や神職身分の者であっても、問答無用で奴隷落ちをする。
基本的には、戦争終結後も奴隷身分のまま生涯を送る事になるが、戦後協定によっては、(基本はすべて平民として)その身分を戻される事もある。
戦費獲得が目的のため、奴隷として身売りさせられた金額は、すべて対象国の軍資金となるが、奴隷となった者の借金として背負わされ、生涯奴隷として登録されてしまう。
=犯罪奴隷=
犯罪を犯した者の中で、重犯罪に値しない懲役刑を受けた者が落ちる奴隷身分。
テラフォーリアにおいては、刑務所といった更生施設は、どこの国家にも存在していない。そのため、資材判決以外の犯罪者は、すべて犯罪奴隷として市井に流され、定められた刑期の間奴隷として強制労働を受ける。なお、犯罪奴隷となっている期間は、どれだけ働いてもそれに見合った報酬はない。そのうえ、刑期を終了した後も、自分自身の所有権を買い戻すまでは一般奴隷として暮らしていかないといけない。
=D級奴隷=
D級奴隷の『D』とは、この世界で(すべての身分上において)一番下という意味の、『ドゥーレ』の頭文字から取られている。
世間一般的には、『D級奴隷』の事をただ単に『ドゥーレ』と蔑称で呼び、侮蔑と恥辱の対象になっている。そのため奴隷身分にもある、必要最低限の人権すらも剥奪されている。
一部の国家や地域によっては、『D級奴隷』の事を蔑称である『ドゥーレ』とは呼ばず『女』と称し(名前すらも『女』で固定されている)、さらに他の地域と異なる社会的制約を課している。
一番下の身分である証として、様々な社会的制約が存在している。
それによって、街中で暮らす犬猫以下の扱いを受けている。また、課せられた制約は、どんなモノであろうとも、主人を含めて厳守しなければならない。また、一度この区分に落とされると、基本的にこの区分以外に変更される事はない。
D級奴隷になる奴隷は、主人に対し不利益な行動をとった者が落とされる事が多い。また、初めからこの身分の者は、たいていの場合誰かの肝いりで落とされる事が多く、どちらにおいても本人の意思等は、全く関係しない事のほうが多い。
また、一度この区分に落とされると、最低一ヶ月間はこの区分で過ごさないといけない事になっている。それは、D級奴隷が、奴隷身分に対する制裁が主な目的となっているから。
ステージ裏の待機檻に入れられた私は、土下座をしながらオークションの開始の合図を聞いている。
D級奴隷とはたぶんというか、・・・・・絶対にスゥ=ドゥーレの私の事だ。D級奴隷は、『ドゥーレ』と蔑称で呼ばれており、ドゥーレには『ワゥ=ドゥーレ』と『スゥ=ドゥーレ』の2つの身分がある。
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ワゥ=ドゥーレ
必要最低限の自由と権利が保障されており、乗り物にも条件付きで乗る事ができる。
襤褸布同然とはいえ、一応服の着用が認められており、一部の国家や地域を除き『ドゥーレ』といえば、この『ワゥ=ドゥーレ』の事を指している。
スゥ=ドゥーレ
あらゆる権利・自由・権益をすべて剥奪された存在。常時後ろ手拘束を義務付けられているため、この身分より上の身分が使用するすべての道具類を使用する事も出来ない。
また、襤褸布同然も衣服すら、身に纏う事も禁止されている。
また、どんな順番で競りにかけられるかは知らないが、初めに所有物だったものから競りにかけられていくみたいだ。
=囚人奴隷=
犯罪を犯した者の中で、逮捕から裁判を受けるまでの間に落とされる奴隷身分。
テラフォーリアでは、基本的に拷問を伴った尋問が禁止されている。そのため、犯人の自供の信憑性を得るため、嘘偽りを述べる事が出来ない奴隷に落としたうえで尋問が行われる。