女性に対して決められている正装
(1)ドレスカテゴリーによる分類
公式の場で女性が着用するドレスには、大きく分けて次のタイプが存在している。なお、ここの登場するドレスは、カテゴリーはすべて違っていても、デザイン上は身体(特に上半身)全体を”魅せる”ためにフィットさせる構造になっている。そのため、脱着が容易なように、昔はボタンや紐で固定されていたが、現在では背中側がチャック構造になっているモノが多い。
なお、地球において、同じ名称のドレスカテゴリー存在しているが、名称は同じであっても全くデザインは異なっている。
【ローブ・モンタント】と呼ばれるドレスカテゴリー
戴冠式や王族の結婚式などの、国家的イベントで着用する盛装タイプのドレス。王宮や宮廷における最高位の女性用礼服であるため、盛装などと揶揄される絢爛豪華なドレスである。
このドレスのタイプはとにかく派手であり、装飾品もたくさん装着するため、とにかく重たい事が特徴えある。また、中にパニエを履く事によってスカート部分が大きく広がっている事も特徴。スカートの背中側はトレーン(引き裾)状に長くなっている。
スカート部分のデザインは、多くのギャザーやフリルで横を数段に飾ったティアード加工が施されている半面、胸や背中を覆う部分は艶のあるサテン加工が施されている。季節を問わず長袖タイプだが、袖部分は幾重にも重ねられた薄いシルク生地でできている事が多い。
身分に応じて、髪形が決まっており、背中に流すロングヘアーをするのが最上位の証であり、身分が下がる毎に首筋があらわになっていく。
基本的に靴は、ドレスに合わせた色とデザインで、成人はハイヒール、未成人は厚底のブーツを履く。
なお、このトレーンの長さとお裾奉持の人数は、身分の高さによって定められ、高位の女性ほど長いトレーンを用いた衣装となり、当然ながら重量もそれに応じて重くなる。
またドレスの基本色は、身分の高さによって定められ、紫色(王とその家族)・群青色(公爵とその家族)・青色(侯爵・辺境伯とその家族)・赤色(伯爵とその家族)・黄色(男爵とその家族)・黄色(子爵以下とその家族)・白色(貴族身分以外の一般参加者)と決められている。なお、黒色については、身分の貴賤なく、葬儀の際の未亡人が着用すると決められている。未亡人以外は、別のドレスタイプを着用する。
【マント・ド・クール】と呼ばれるドレスカテゴリー
ローブ・モンタントの次に位置する、昼夜兼用の女性用礼服。ダンスを踊る事を意識したデザインになっており、そのためダンスをする際に邪魔になる装飾品やトレーン等は一切付けない事が多い。ローブ・モンタントを略式化したデザインになっている。
ワンピース型の衣服で、スカート部分には多くのギャザーやフリルで横を数段に飾ったティアード加工が施されているモノから、ただの1枚布でできたワンピースタイプまで多種多様。スカート丈も、膝丈サイズから踝までの総丈サイズまで、その時のドレスデザインや使用されるダンス曲にあった長さになる。
そのため主催者側は、事前にダンスの曲を伝えておく義務があり、直前になって変更する事は基本行ってはいけない事になっている。これを行った場合、身分の貴賤・理由の如何拘わらず、周囲から激しく非難されたうえ度が過ぎる場合は、それに賛同した者も含めて追放処分になる場合もある。
基本的に靴は、ドレスに合わせた色とデザインで、成人はハイヒール、未成人は厚底のブーツを履く。
【モンタント】と呼ばれるドレスカテゴリー
王侯貴族の既婚女性が着用している昼用の略式礼装。
ベルライン型のデザインを基本形状にしており、襟元が詰まって立ち襟になった長袖のドレス。パートナーとなる男性が詰襟のある軍服着用の場合、女性側はこのドレスが着用義務となる。また、王侯貴族における既婚女性の普段着として着用されており、『通常礼服』と規定されているため、私的な茶会や懇談会などでは、この服装のままでよいとされている。
ドレスのデザインと色は。パートナーとなる男性側に合わせるのが礼儀とされている。
基本的に靴は、ドレスに合わせた色とデザインで、成人はハイヒール、未成人は厚底のブーツを履く。
【デコルテ】と呼ばれるドレスカテゴリー
未成人及び未婚女性が着用している昼夜兼用の略式正装であり、王侯貴族子女では普段着として愛用している者も多い。
ワンピース型の衣服で、スカート丈は膝丈から総丈の間が多い。ネックラインが深く大きくカットされ、首元や胸元を露わにしたデザインで、胸や肩を大きく露出させる事で、着装者の肉体的な美しさを誇示する役目を果たす。袖がないパイプを着用する際は、オペラ・グローブと呼ばれるパーティー用長手袋を併せて着用する事が多い。
基本的に動きやすさを重視しているため、膝丈サイズのデザインが多く、スカート部分には多くのギャザーやフリルで横を数段に飾ったティアード加工が施されている。また、幼児から未就学児が着用するドレスには、汚れ防止の観点から大きなエプロンを装着している事が多い。
基本的に靴は、ドレスに合わせた色とデザインとなり、日常生活においてはヒールの低い靴を履き、公式の場においては、成人はハイヒールとなり未成人は厚底のブーツを履く。
昼用のドレスは、明るい暖色系統が好まれ、夜用は落ち着いた黒系統や青系統が好まれている。なお、未成人及び未婚女性における正装用のドレスは、このローブ・デコルテを基本として、腰の部分に大きなリボンを結び、素足が見えないように白色のタイツもしくはロングニーソックスを履く事になる。
また、就学女児に対しては、この服装の他に各学園で着用している制服を正装とする事も認められている。
【アフタヌーン】と呼ばれるドレスカテゴリー
成人女性の昼夜兼用の略式正装であり、王侯貴族子女では普段着として愛用している者も多い。身分の貴賤なく、ドレスコードのある場所に昼の時間帯に赴く際、普段着でありながら女性用の正式な略式正装と見なされている。そのため、ドレス名称は『アフタヌーン』となっているが、別段午前中から着用していても問題はない。
ワンピース型(Aライン型)の衣服で、スカート丈は踝までの総丈かそれ以上の長さで、七部袖以上の長い袖を持ち、襟ぐりも浅く、肌が露出しないデザインになっている。
素材は無地の淡い色で光沢の無いモノ、透けないモノが用いられ、装飾品も真珠などあまり光沢の無いモノを用いる。基本的に普段着として着用するため、動きやすさ重視のデザインで、素材自体も丈夫で軽くなっている。
基本的に靴は、ドレス色に合わせた色とデザインとなり、日常生活においてはヒールの低い靴を履き、公式の場においてはハイヒールを履く。
【カクテル】と呼ばれるドレスカテゴリー
平民が平時に着用している服装をフォーマル化した所謂一張羅となるドレス。そのため基本形状は、普段着となるワンピースである。ワンピース型の衣服で、デザイン・色とも多種多様なモノが揃っている。スカート丈は踝までの総丈か、全面が膝丈、後ろ面が踝までの総丈となっているなど、豊富なデザインが揃っている。ドレスコードがある場所に赴く際に、女性が着用する略式正装とされている。
基本的に靴は、ドレス色に合わせた色とデザインとなり、日常生活においてはヒールの低い靴を履き、公式の場においてはハイヒールを履く。
なお黒色のドレスは、死者の霊魂が生者に乗り移らないための防御色となるため、身分の貴賤なく、未亡人以外は葬儀の際この着用する事になる。しかし、国王などの王族や領地を治める貴族が死去した際は、王都や領都に住む住民すべてに、喪に服す意味として10日間ほど着用が義務付けられる事もある。そのため、身分の貴賤なく、女性は全員この色のドレスを持っている事になる。
【イブニング】と呼ばれるドレスカテゴリー
成人女性の夕方以降の正装となるドレス。『イブニング』と呼称されているが、別段夕方以降しか着用できないのではなく、身分の貴賤なくドレスコードのあるレストランに食事に赴く際、女性用の昼夜兼用の略式正装とされている。
ワンピース型の衣服で、スカート丈は踝までの総丈か、歩きやすいように膝丈サイズになっている。食事をする際に邪魔にならないように、原則として袖は無いベアトップ・キャミソール・ホルターネックなどのデザインになっている。腕と胸元や背中が大きく露出するようになっている事が多いが、着用する女性に応じて長袖で襟が詰まっているタイプも存在する。首元はネックレスなどで装飾され、屋外の場合は薄手のストールやケープを羽織る事もある。
基本的に靴は、ドレス色に合わせた色とデザインとなり、日常生活においてはヒールの低い靴を履き、公式の場においてはハイヒールを履く。
【礼装軍服】と呼ばれるドレスカテゴリー
騎士団や軍隊に所属している女性が、軍人として(公的行事としての)慶事・慶弔・式典等に参加する際に着用する服装。デザインや装飾品に関しては、所属する騎士団や軍隊内での階級によって、細かく分類されているためここでは割愛する。
基本的に騎士団や軍隊に所属している間は、軍人として参加している限りこの礼装軍服を着用していれば問題になる事はない。
【ウエディング】と呼ばれるドレスカテゴリー
女性が結婚式において着用する純白無垢なドレスの総称。しかし、貴族を含めて式典形式の結婚式を盛大に行う者はおらず、権威の象徴として王族や身分の高い貴族が行う事が多い。
そのため現状において、このドレスが着用されるのは、成人の儀として行われるデビュタントにおいて、女性側が着用する正式な衣装となっている。なお成人の儀は、身分の貴賤関係なく、毎年1月15日に各町や村にあるバティスティア聖教の神殿か教会において、聖教主催で行われる年間行事の1つである。
基本的に、式典の後にダンスがつきもののため、ダンスに邪魔にならないデザインになっているが、薄手のベールの着用が義務付けられている。髪の毛は結い上げているのが基本で、ベールを固定するためのティアラで髪の毛の固定されている事が多い。
基本的に靴は、ドレス色に合わせた真っ白なハイヒールを履くが、どうしてもだめな場合は厚手のブーツ(ただし白色に限る)を履いても構わない事になっている。
【リトル・ブラック】と呼ばれるドレスカテゴリー
元々は、バティスティア聖教において行われる洗礼の神事の際に、身分の貴賤なく着用する真っ白な修道服である。この修道服を黒一色に染めたモノがこのドレスとなり、男女問わず死者に対してもしくは、これから死にゆく者(所謂死刑囚)に対して着用させる。
(2)ドレスラインにおける分類
【Aライン型】
アルファベットのAのように、バスト下やウエストから直線的に裾が広がった型。
【マーメイドライン型】
体にぴったりしたドレスで、膝下付近から裾を広げ、人魚の尾ひれ状にした型。
【プリンセスラインⅠ型】
上半身は体にフィットし、腰から裾にギャザーで広がった型。いわゆる「お姫様ドレス」型なのでこう呼ばれる。
【プリンセスラインⅡ型】
腰での切り替えがなく、身頃に縦方向にダーツを入れることにより身体のラインに合わせた型。スカート部分はフレア型になる。この型が本来のプリンセスラインであるが、昨今では上記の「お姫様ドレス」型の方をプリンセスラインと呼ぶことも多い。
【スレンダーライン型】
体の線に沿った細身のドレス。裾も狭く、大人っぽい型。
【ベルライン型】
「鐘」という名称通り、ウエストを絞って腰回りを膨らませた型。ベル&ドームラインと呼称されることもある。
【エンパイアライン型】
裾がバスト下から直線的に落ちていてほとんど広がらず、ギリシア神話の女神が着用しているようなハイウェストの型。ナポレオン帝政時代に流行ったためこう呼ばれる。




