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受付嬢ユリは見ている ロックという男

俺たちの(主に作者限定の)暴走列車ロックさん主人公の話

 (今日は暇ねぇ、ただ立ってるのも暇だし掃除する振りでもしようかな)


 箒をもってうろうろするユリ、パラパラとギルド共有の地図帳を見る。


 (ほんと、オリバーさんってマメねぇ、訓練を受けた貴族って隠す気あるのか最近わからないわ)


 オリバーはクエスト中にいつもメモを持っており、マッピングを行っている。そしてそれをギルドに帰還後に清書をして寄贈している。何やらロックから「右も左もわからない子供が小作人や娼婦になるなんてよくある話」と聞いてかなりショックだったようだ、リリィはそうやって新人の為にマッピングをする彼氏をうっとりした顔で見つめていた。



 (ギルド内でイチャつくのはやめて欲しいなぁ、本人たちに自覚が無いから言わないけど私の目の前で甘い空気出すな)


 何ページかめくってユリは再度驚く


 (本当にきれいな地図ね、受付のおじさん....ギルド長が言ってたな、高度な野外訓練を受けた騎士と同じ書き方だって、それを誰にでもわかりやすく書きなおしているって、絵もそれなりにうまい、これなら文字が読めない人も何とか使える)


 実際にやぶ漕ぎをしながら進んでいていきなり崖に落ちてそのままと言う人間は後を絶たなかった。この地図のおかげでかなり減ったが。


 

 (売ればいいのにって言ったら”そうしたらギルドは閲覧にお金を取る”だろって、リリィさんが惚れるのもわかる気がするわ、オリバー君が完全に平民ならあの性格を知ればアタックしたかもね、リリィさんの前では言えないけど)


 もう少し歩くと金属を磨く音が聞こえる、少し前まで元カッパークラスの冒険者だったロックである。


 「おはようございます、ロックさん、精が出ますね」


 ユリは冷えた水を差しだす。


 「ありがとうな、受付のねえさん」


 「ユリでいいですよ、ロックさん、それにしても綺麗になりましたね、最初に持ち込まれたのを見た時は廃棄だと思いましたよ」


 「まぁ、庶民にとっては金属製品は一生物になる可能性が高いからな、この鍋で揚げ物でもしない限りはまだ戦えるさ」


 「戦う......ですか?」


 「そうさ、熱い火の上で家族の腹を満たすためにこいつらは戦っているのさ、後でこれを磨いたらギルドに依頼するから若い子に配達させてやってくれ」


 ロックはギルドを通して、ロック金物修理&包丁ハサミ研ぎ店のチラシ配りや品物の回収や修理品の配達業務を冒険者ギルドを通して若い低ランク層に回している。冒険者時代に身を持ち崩す若者をみて思うところがあったらしい。


 「ロックさーん、これ買えましたー!」


 若い男の子がロックに声をかけている、身に着けているのは真新しい皮の鎧とククリナイフだ。


 「おう、よく頑張ったな、雨の日も冬も夜中の配達までやったもんな、クエスト行く前に行く先のギルドの地図をちゃんと確認して、余裕あるならメモしておけよ、絵付きだからお前でもわかるさ、シルバーランク様のお手製の地図だ、ご利益あるぜ」


 「分かりました、魔獣がでる森は怖いので山に行ってきます、ロックさんの発注したクエスト受けます」


 どうやら近くの山でロックの商売道具の材料がとれるようだ。


 「おお、そうしろ、いい物を持ってきてくれ、何事も一歩ずつだ、後は、まだ行けるはもうダメだ、この言葉を忘れるな、これで俺はカッパーながらダンジョンから生きて帰れた」


 「分かりましたー、行ってきます」


 「本当にロックさんには感謝しています、この仕事をしていたら人の死にはなれますし、正直こいつなら死んでも.......なんて考えてしまう事もありますが子供が死んだり奴隷扱いされるのはいつまでたっても慣れません、でもロックさんのいう事を聞く子はちゃんと生き残っています。凄い成果です、ギルド長からも他ギルドより圧倒的に子供の離職率が減ったと言われています」


 この世界の冒険者の離職率の大半は行方不明である。


 後日、オリバーとリリィがロックを訪ねてきた。


 「なぁロック、この雪平鍋直せるか?」


 「治せるけどよ、どうしたいきなり?料理なんてしないだろうにどうしてこんな使い古しを?」


 「家政婦の婆さんのだよ、これないと婆さんが飯作れなくて困るんだよ、リリィが」


 リリィはお婆さんの作るご飯が好きなのだ。別に実家の味では無いが実家を思い出すらしい。家庭の味である。


 「そうか、これくらいなら15分って所だな」


 「本当?ありがとう、帰りに鶏肉と大根買って帰りましょう、あれの煮物大好きなの」


 「リリィさん渋すぎだろ、どうせ米の酒でつつくんだろ?」


 「せーかいー、楽しみ」


 「俺は米だな、鳥ダイコンなら4杯はいける」


 「んんんんん、おい、俺の第六感が結構な強さで反応しt


 「リリィさん!すみません、初級回復術使えましたよね?今からくる子にかけてください!」


 タンカでまだあどけない顔の男の子が運ばれてくる、この前ロックの依頼で新装備を買ったばかりの子だ。


 「今日は森に入って猪の角でふとももに....」


 「馬鹿が、行く前に俺に聞いて行けよ!」


 「この子、私の魔法じゃ、いややります、時間稼ぎになるから何か考えて」


 「何かって、この町に回復術使いはリリィさんくらいしか」


 「回復術使い?ん?これは来たぞ!おい、オリバー!ダンジョン街の特急便の時間は?いつだ?あそこならすげー回復魔法使いの知り合いがいる、あの町を思い出したら体が震えた、悪い予感かもしれないが、もしかしたらいい予感かもしれん」


 ロックの第六感は悪い予感を察知するのではない、自分と大切に思っている人に起きる何かに反応する、悪い事かもしれないしいい事かもしれない。


 「今から走ってすぐだ!」


 何とかダンジョン街への特急便に乗り込む事ができた。


 「間に合ってよかった、しかし高位冒険者は善意で動かない、当然俺も金を出すけど急ぎだ、どれだけ吹っ掛けられるか」


 「まぁ、それにも考えがある、親父の(ふいご)を持ってきた。風の魔獣の材料でできているらしくてな、ばらしても金貨10枚は行くらしい」


 「いいのか?親父さんの形見だろ?」


 「人の命に代えられねぇよ、金ならまた稼げばいい」


 「そうだな.....」


 「ついたな、ロック何か感じるか?」


 「いや、ただ運がいい、ダンジョン方向には一切関知しない、知り合いは少なくともダンジョンにはいないと思う」


 「こういう時は酒場だな」


 「お、びびっときたぜ、冴えてるな」


 「で?私に初心者の町に来てくれって?私が往復する時間にダンジョンに潜ればいくら稼げるか知って言ってるの?聞いた感じだと間に合わないわよ、私はもう目の前で子供が死ぬのは嫌よ」


 この前来た時に一番最初に話しかけてきたセクシーなスリットが入った修道服を着たおねえさんである


 「金ならある、これだ、マーガレットならこれがどれくらいの価値があるかわかるだろ?」


 「お金の問題じゃないのはあなたならわかるでしょ?私に冒険者の子供の死を見せる気?」


 「1%でも助かるなら成否は問わねぇよ、頼む!」


 「仕方ないね、聞いてしまったのならやるしか無いけど、私だって子供の死は見たくないよ」


 特急馬車に間に合い何とか乗り込む


 「後、2時間、持つといいが」


 「ロック、何で知らない子供にそこまで入れ込むのさ?あんた6年も泥水すすって生きてきたんだろ?子供の死なんて”何度も見過ごしてきた”、そうだろ?」


 「そうだよ、そんでその贖罪の為に子供を使って商売をしたらうまく行ってな、しかも俺に懐く子供まで出て来るわ、俺の依頼で稼いだ金で装備買ってクエストに行く子供まで出ちまった」


 「目に入った人だけ助けるのじゃなかったの?危険なクエストに行って死ぬ事まで考えたら私と一緒じゃない」


 「今日初めて知ったよ、クソが」


 ギルドについた、子供の顔色はかなりの血を失ったのだろう、真っ白だ。


 「で、この子がそうかい?今からやるけど全力でやって成功率は3割切るよ」


 「頼む!」


 1時間は立っただろうか傷は塞がった。


 「後はこの子の体力次第って所ね、魔力切れたし疲れたわ、寝ていくわ、まったくあんたの報酬の3倍は損したよ、明日、取りに来るから」


 「すまねぇ」


 「そこのでかいの、宿を案内して、一番いい所」


 「オリバーだ、今案内する、ついてきてくれ」


 宿屋に到着した時、オリバーは女に尋ねる


 「なぁ、前にダンジョン街に行った時ゴールドのパーティーの奴らに聞いた、お前らミスリルパーティーは3時間も潜れば金貨100枚は当たり前のように稼ぐと、ロックが出す報酬の3倍どころの騒ぎじゃない、意外といい奴なのか?それだけ金を持ってるのだろ?あれはロックの親父の形見なんだ、金は分割で俺たちが払う、シルバーランクだ、なんとかなる」


 「嫌よ、あいつが払うって言うから受けてやったのさ、私は善人じゃない、どっちかというと悪党だよ」


 「その悪党が何故、金貨100枚以上を捨ててここに来たんだ?」


 「さぁね、人間というやつは遊びながら働く生きものさ。善事をおこないつつ、知らぬうちに悪事をやるし、悪事を働いても知らずに善事を楽しむ。これが人間よ」


 「なんだ?説法か?」


 「いいや、昔読んだ話に出てきたセリフだよ、好きなセリフの一つさ、善事を楽しみたいと思ったのかもね」


 翌日ロック金物修理店前


 「何、これあんたの商売道具じゃない、言っておくけど、私の値段それくらいじゃ話にならないんだけど」


 「別にこれがあった方が圧倒的に楽ってだけで安いのでも仕事はできるさ」


 「はぁ、その前にあの子はどうなったのさ?」


 「なんとか一命はとりとめたさ、ありがとうな」


 「何、男のくせに泣いているんだよ」


 「うるせー、自分勝手かもしれないけど子供の死なんか見たくない、見たくなかったんだよ」


 「あんた、金貨50枚払えるかい?それなら形見はあんたに預けるよ、分割でもいいさ」


 「払える!何年かかっても払ってやるさ、きっと払いますとも!」


 「はぁ、まだ私が神に祈ってた頃、読んだ小説に出てきた言葉があってねこれが言いたくて修業したの」

 

 「”それが聞きたかった”、キザなセリフね。凄い暴利なお医者さんの話だったわ、私の憧れ、じゃ、月数回くらいは借金取りになるからある分だけでも払ってちょうだい」


 「なぁロック、あのおねえさんは本当に来るのか?」


 「知らん、がなるべく稼ぐか」


 その後時々高位冒険者の修道服を着た女性がたびたびロックを訪ねて来るのを目撃することになる。

 ギルドの受付嬢のユリさんがギルド内で見た事を綴る物語、続くかどうかは作者も知らない。


 本当はね、最初はね、ユリさんとロックにフラグたてようと書き始めたの、1時間くらい前にね。気が付いたらダンジョン街のおねえさんがしゃしゃり出てきてロックさんに無理やりフラグぶっ差しやがった。


どうしてこうなった?この先どうなるか本当に作者にも分からない、主人公よりハーレムしそうな男、それがロックと言う男。いや、マジでマッテオ君思いつかなかったらルイともくっつける予定もあったからね、びっくりだよ。


 いい(すず)を持ってきてくれ....ロックが少年に依頼した物、現実世界ではロックの商売で使う純度の高い(すず)は天然では取れません、加工品ですが異世界という事で許してください。


 商売上手だね、経営は向いてない.....「商売」は、モノやサービスを売って生活の糧を得る個人単位の活動。「経営」は、人・モノ・金・情報を組織的に運用し、理念の実現や中長期的な成長、利益を生み出し続ける仕組み、おねえさんはロックに一人で完結する商売はうまいけど人を使っての経営は情が強くて向いていないと言っています。


 人間というやつは遊びながら働く生きものさ~池波正太郎原作でさいとう・たかをが鬼平犯科帳を漫画化した時のセリフが元ネタ、漫画版鬼平犯科帳で作者が一番好きなセリフです。以下元ネタ

 

 「人間というやつ、遊びながらはたらく生きものさ。善事をおこないつつ、知らぬうちに悪事をやってのける。悪事をはたらきつつ、知らず識らず善事をたのしむ。これが人間だわさ」

(第2巻『谷中・いろは茶屋』より)


 ”それが聞きたかった”、キザなセリフね。凄い暴利なお医者さんの話....誰もが知っているあのまんがのセリフ。作者は中学の図書館でブラックジャックと銀河鉄道999を3年間でアホみたいに読みました。


 この世界の異世界転生者はたくさんの名言も持ち込んだ、そういう事にしてください。


 ダンジョン街のおねえさん、ロックに譲歩して、フラグが立ってしまった理由、かつて自分が絶望して諦めた道を突き進む弱いけど強い心を持った善人だから。その辺の深堀もできればと思います。書いている途中になんとなくボヤっとダンジョン街のおねえさんの人物像と背景がおぼろげながらに沸いて来ました。もし書き上げられたら俺の中のロックさんの株がストップ高、取引停止食らうぞ。どこまでも走り続ける男、ロック。もう「ロックと言う男」って作品作るか?本人は弱いし職人だけどめっちゃ無双するぞ。



 今回の話は不快に思う人も中にはいるかもしれません、作者みたいな吹けば飛ぶミジンコが偉大な作品のセリフを引用していますので、すみません。書いているうちにこのセリフを入れたい衝動に負けました。


 


 今後の展開が気になる方は下部にある評価の【★★★★★】と、ブックマーク登録で応援をお願いいたします!皆様の応援ポイントが、次話を執筆する最大のエネルギーになります!

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