妹 ルイ・アヤノ 兄を慕う理由
妹がブラコンになった話。
次の話は父親であるイワオ・ハジメの話です、添削後、一時間後にアップ予定。
Xでも告知しますね。
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私はルイ・アヤノ、それなりの名門貴族の長女だ、名門貴族と言えど女として生まれたらできる事は限られる。
私は多分、人より要領がいいのだろう、同級生どころか年上の人、兄ですら分からない事がすぐに理解ができて、応用までもできた。4歳の時には基本的な読み書き計算はマスターして6歳の頃には多数の国の言語で日常会話程度は習得できた。
あの頃は外交官になりたいと思った。外国で知らない知識や新しい発見、より深い知識を持った人との交流、考えるだけでワクワクした。
大人は笑って、ルイちゃんは賢いねーと流すだけ、マナーや、習慣の勉強ばかり押し付けて来る。3か月で習得したわ、それが馬鹿らしいとは思わない。美しい所作はそれだけで第一印象で優位に立てる、しかし急激に変わる事柄ではない、一度及第点まで覚えれば十分だ。
もう少し大きくなり、やりたいことが増えた。親に頼んでも女の子だからの一言ですべて却下。あの時正直イライラしていたのだろう、でも八つ当たりできる相手は限られる、メイド等に八つ当たりするのは知能が足りない人がする事だ、忠誠は誓っているがしょせん両親と、ギリギリ嫡男である兄までだ。お賃金を支払う権限が無い私が横暴な振る舞いをすれば、どんな噂が立つか......
そこで兄に目を付けた、兄は私に優しい、少しくらい酷い事を言っても陰で泣く程度だろう、つらい事があったら夜にリネン室で泣いているのは知っている。偶然を装って発見してそれをからかってもいい。
兄は荒唐無稽な異世界転生小説が大好きなようだ、お気に入りなのを何冊か読んで馬鹿にしてやろう。
「ルイは凄いな、そんな考えもあるのか」
「俺じゃその矛盾点に気が付かなかったよ、ルイは読解力もあるのか」
「なぁルイ、この方法って本当だと思う?やってみないか?父上に頼んでみるからさ」
「え?これだけの情報じゃ無理?似たような方法が載ってる本を出せって、もう8割は理論がわかったって?ルイは天才だ、自慢の妹だよ」
「理論上はこれでうまくいくって?ルイが言うなら間違いないよ、父上がうんと言うまで頑張るからルイはいつでもできるように準備しておいて」
「父上、この成果はすべてルイの力で成し遂げました、これをまずは領内に広めましょう、ルイ式小麦選別法と言う名で特許も申請してください」
「父上、母上、ルイを女の子だからと言って否定から入るのはやめてください、話を聞いてください、聞けばわかります。僕なんかよりずっと頭がいいです。お願いします」
兄の進言により私の知識は採用され続けた、流石にルイ式小麦選別法は私の一存で却下した、恥ずかしいし。
兄の小説は相変わらず内容が私の好みではない、でも中には光るものがあった、主に農業技術が多い。
工業分野では詳しい描写を入れて来る作者ほど「この技術が発展した先には悲惨な未来しかない」と具体的な描写がなされていた、それに関しては私も納得したので、知的好奇心で研究はしたが発表もしないで資料も残していない、蒸気機関とダイナマイトは絶対に隠ぺいすべき技術だ。人間は地に足をつけて歩き、晴耕雨読の生活を続けるべきだと昔の作者の最後のあとがきだった。晴耕雨読は言い過ぎだと思う。
小麦に関して散播型から点播と条播への転換をした。
点播は小さな穴を掘ってそこに2〜3粒ずつ狙って植える。
条播は紐や棒を使って畑に真っ直ぐな溝を掘り、指三本分程度間隔を空けて規則正しく種を植えていく。
これならすぐに実施できた。次は中耕と土寄せを試した。
中耕は麦の芽が少し育った頃に、株と株の間の土を軽く耕してほぐす。土寄せはそのほぐした土を、麦の根元に少し押し上げるように寄せる。
これもスムーズに試す事が出来た。その他に、耕作地を「秋まき小麦の畑」「春まき麦の畑」「休耕地」の3つに等分し、毎年ローテーションさせる、三圃式農業も取り入れた。
休耕地を作る事への反発が強かったが兄から頼まれた父上の鶴の一声で黙らせた。この頃から父上は私に直接話を聞きに来るようになった。
最後は冬の麦踏、理由は不明だが、霜が降りる時期に、あえて生えかけた麦の芽を足で踏みつけて潰すと春に1本の根から出る穂の数が何倍にも増え、最終的な収穫量が大幅に増えた。
領民の抵抗は大きかったが最初は3割収穫量が増え、最終的には当初の2倍〜3倍の収穫量となった。今はあの小説に出て来るジャガイモとか馬鈴薯と呼ばれる物を探してもらっている。
父上は男尊女卑の考えが強いが、それ以上に結果を出した者への評価はそれを上回る、王から収穫量の増加の理由を聞かれた時に自分の手柄にせずに迷わず私の名前を出してくれた。
気が付けば(ギフト)持ちの判定試験を受けさせられたが結果は違った、私の考察だが時々歴史に名を遺すギフト、いわゆる権能を行使する勇者こそが技術レベルが高い世界からの転生者で兄の好きな小説を残したのだと思う。多分中身が無い作品はこっちの世界の物書きの作品だ。
王が非公式ながら招集した国家運営委員会の末席といえど女でただ一人席を与えられた、私の持つあらゆる知識、アイティア、思いつきで国が動くのは凄く楽しい。
もう、農業改革の途中から私は兄に夢中だったと思う、誰もが女だからと話を聞いてくれなくて絶望の中にいた私を引き上げてくれたのは間違いなく兄だ、お兄ちゃんがいなければ私はくだらない男と退屈な結婚をして子産んで、そして死んでいっただろう。考えるだけでぞっとする。
お兄ちゃんだけは、違う。私を常に見てくれる、私に価値を見出してくれる、私の事を考えてくれる。私が欲しい言葉をかけてくれる。神なんて信じていないけど少しだけ神を呪った、オリビアと私の席を変えてほしいと呪いに近い祈りをささげた。
無駄な妄想をしても仕方がない、私がお兄ちゃんにしてあげられる事はお兄ちゃんに幸せになってもらう事。できれば近くにいてほしい、でも私はお嫁に出されるだろう。それは仕方がない、領民が汗水流して納めてくれた税で生きているのだから貴族の義務だ。妥協しなきゃ。
そういう事を考えている時にあの事件が起こった、オリビアがお兄ちゃんを裏切ったのだ。そしてお兄ちゃんは逃げるように隣の国にいってしまった。最初は恨んだ、人目も憚らずあの女を罵ってしまった、ロッシ家は名門だ、敵に回すのは愚策だと分かっていても感情を抑えきれなかった。
そして正式にアヤノ家次期当主に任命された、いずれ婿を取り.....と、思いながら兄の捜索を命じて最初の報告書を読んだ時に天啓が閃いたのだ。思わずあのオリビアに感謝すらするところだった。
兄に恋人ができていた、名はリリィ、調べると北の国の小貴族の長女で本名はリンネア・ショーベリ。北の国の3位貴族の三男に目をつけられて死を偽装して逃げたようだ。
これは使える、兄と違って下級貴族だ、実は自殺を図ったけど生きていて療養していましたという事にするのはアヤノ家の力を使えば多少強引でも簡単にできる。
ここで計画を立てた、リリィをアヤノ家の力で貴族に復帰させる、偶然我が家の遠い親戚筋のオリバーがリリィこと、ショーベリ家に婿として結婚する。
そうすれば立派に兄は他国の下級とはいえ貴族だ、いくら北の国の3位貴族と言えど三男程度が我が家と繋がりを持ったリリィさんに手出しをできるわけが無い、それにショーベリ家には幼いながらも男の子もいる、跡継ぎに問題が無いのだ。
なので常に強者を募集している我が家に冒険者でシルバーランクまで上がった下級貴族夫婦を呼び寄せても問題ない、兄は戦いに関してはかなりの強者だ、放っておいても勝手に活躍するだろうがアヤノ家でサポートすれば十年以上はかかるだろうが4位貴族までは引っ張れる。
ここで最後の仕上げ、私が誰かと結婚をして子を成し、兄夫婦の子と私の子が結婚すれば兄の血は正式にアヤノ家の本流に戻る。これが私が計画した兄の名誉回復案である。妥協点としては最高の落としどころだと思う。
問題は男女のカップルが生まれるかだが、そこは兄夫婦と私夫婦が頑張るしかないだろう。孫の代も視野に入れよう。兄さえ近くにいれば及第点だ。
とりあえず、リリィさんに私が学院を卒業したらアヤノ家の力で貴族に戻すから兄を婿にとっていいかとだけ手紙を出そう。徐々に計画を明かしていく予定だ。
父上と母上はこの案に賛成してくれた。初めて心から父上から褒められた気がする。
「すまんな、ワシの目が曇っていたばかりにお前の能力を見抜けなかった、許して欲しい」とまで言われた。兄が戻ってる可能性に母上は涙を流して喜んだ、父上は、多分母上と私の前で涙を流すのは恥ずかしいのだろう、顔を真っ赤にして耐えていた。この時初めて家族が愛おしいと心から感じたのだ。
後日、それは兄の了承があったならと返事が来て大きな反省をする事になるのだが。
父上はこの計画を聞いてから何か動きを見せている、父上が動いているのなら問題ない、報告・連絡・相談をきっちりすれば大丈夫だ。幸い父上は私に絶大な信頼を寄せてくれている。
はい、妹ちゃんの重い愛が詰まった話でしたね、正直書いているうちに重すぎてもう一話増やそうかと思いました、今からする添削作業を考えると震えが止まらない。
リリィへの手紙の一部が公開されました、最初の手紙は「あなたを貴族に力技で戻すから、そして兄を婿に取れ」みたいな感じです。
リリィは最初イエスと返事をします。その後オリバーの薬師に転職する計画を聞いてオリバーが了承するならと追加で返事をした流れです。
天才キャラって人の心が無い系が多いと思いません?天才だって人の子ですよ。普通に怒るし、笑うし、感謝するし、泣く事だってあると思うんですよ。ただ作者が本当の天才にあった事が無いだけかもしれませんが、人間は感情で動く生き物だと思います。
前にも書きましたが主人公は地球人が残した異世界転生系小説にかなり影響を受けています、女性だって能力があれば活躍するべしと書いた小説も多かったのです。
ルイの感情が高ぶった時のお兄ちゃん呼びと冷静時の兄呼び、使い分けられているでしょうか?作者の気持ち次第ですができていると信じたい。
小麦の栽培法......めっちゃググったし、今週の木曜あたりに有給取って図書館にも行ったよ。正直ここに書ききれないくらいの話を読んだ。感謝してパンや麺を食べよう。
次は父の話です。23時50分に上げる予定です。
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