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婚約者といちゃつく奴を注意したら決闘となり敗北~すべてを失った男の物語  作者: 松ボックリ


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閑話 side 「ギフト持ち」鈴木幸多 責任を取るという事

転生者、鈴木幸多の話。異世界転生物でよく。不死とか無敵みたいな理不尽なチート持ちは別として単に強い程度の能力でよく殺されないよなって思う事が多々あります。

 俺は鈴木幸多(すずき こうた)と言う。親は幸せが多いようにと願ってこの名前をつけたのだろう。残念ながらクソみたいな人生だった。小学校の時に兄が不登校になり一日中携帯ゲーム機でゲームをやっているのを羨ましく思い何となく自分もそれっぽい理由をつけて学校に行かなくなった。




 その日からは楽しかった、親は兄の事もあり俺を無理やり学校に連れて行く事に慎重になっていた。理由を聞かれてもわからない、とか学校に行くと校門の前で震えが止まらなくなる、理由もなく校門の前で涙が出るとネットで聞きかじった鬱やパニック障害の症状を詐病した、医者ガチャもSSRだったのだ。重度の鬱と診断され晴れてゲーム三昧の日々だ、ブロックを使って建築をするゲームをしていたが普通に建築するのに飽きて他人の作った物を罵声と嘲笑を交えて壊して相手が悔しがるのを見るのが大好きだった、3対3のFPSゲームでは負ければ味方を罵倒し、勝てば相手を罵倒して笑い飛ばした。




 転機は15歳の時だった、親からは義務教育は終わったと言われた。盆と正月にしか会わなかった伯父さんが現れ、兄と俺は拉致同然に連れ去られ、伯父の工場で怒鳴られながら働かされた、当然警察や児相に相談したが、伯父は週5で8時間労働の出勤簿を提出して法律は守ってるとアピールして調査後に無罪放免だ。




 「別にここで働かなくてもいいけど家に帰ってもお前達の母親は精神を病んでメンタルクリニック通いだし父親は母親のフォローで契約社員になったからお前たちを養えないぞ」




 小学校から不登校している自分たちをまともに雇ってくれる所なんて無い、流石のアホ兄弟の俺達でもそれくらいはわかった。職安や転職エージェントも利用したが伯父の工場ほどいい条件の職場は無かった。きついけど仕方がなく伯父の工場でダラダラと働き続け、女性との出会いも無く30後半に病気で死んだ。両親は一度も見舞いに来なかった。毒親と罵ったが伯父があの二人が毒親ならお前はクソ息子だなと軽蔑をするような目で言われたのが最後の記憶だ。




 何か真っ白な部屋で綺麗な女の人に「今回の魂は腐ってる」だの「まともに返事できないの?」と罵詈雑言を浴びせられる。生前は女性経験どころか身内以外の女性と話をしたことが無い、女神みたいに綺麗な女性の前にいきなり連れて来られてコミュニケーションとれるかよ。




 心を見透かされたように「仕方ないわね、ここに来たからには決まりだし簡単に死なない程度の権能を授けましょう、魂が汚れているからあまりいい物をあげれないけどね、剛力の権能、あらゆる武器を達人レベルで使える権能、転生先で見た魔法を使える権能、相手の心の隙を突く権能・・・・この程度かな。最後の権能は使い方次第では化けるかもよ?とにかく相手の興味を引く事を言えば話は聞いてもらえる程度の能力よ、じゃあね、転生先は魔王はいないけど生き残りの部下がいる世界よ、頑張って人助けでもして魂を綺麗にしないと次死んだら地獄行きね、まぁ見た目くらいはまともにしてあげる」これが女神みたいに綺麗な女性の最後の言葉だった。




 そして10代の体でかなりの美形となり、とある港町に転生をした。コウタと名乗り最初は港で荷揚げの仕事から始めた。剛力の権能のおかげて仕事は楽だった。他人より仕事ができると心に余裕ができるのか、周りともそれなりにコミュニケーションが取れるようになる。




 港の男は酒飲みで荒くれ者が多い。彼らの配偶者や親族の女性の愚痴を聞いて前世のネットの知識をフル活用し、とにかく聞く事に徹して相手を否定せず「わかるー」と「それな」を繰り返せばいつの間にか気に入った女性と手当たり次第に関係を持てた。




 最初は夫や家族などから難癖をつけられ、襲撃もされたが権能のおかげで撃退は容易だ。しかしいつまでもうまくいかない、前世ほど警察が機能しない土地だ、手を出したらダメな連中の女に手をだした。いくらチート能力があろうとも自分の能力だと飯食ってる時、用を足している時、女を抱いている時、寝ている時、反社勢力相手だとにかく気を抜くと簡単に殺されると察し全力で逃げた。相手の心の隙を突く権能はまずはおちついて話を聞いてくれないと発動すらしないのだ。




 流浪の旅の末、あるお金持ちの商人と知り合えた。その時初めてお前は数百年に一度現れる「ギフト」持ちだと教わる、その後この世界の話、常識、貴族相手の話し方様々な事を学んだ。


商人は強欲だ、俺を養子にして貴族の伝手を使い王族に「ギフト」持ちだと紹介された。王族や側近は俺を持てはやした、どうやらこの国の大抵の貴族は過去の転生者の子孫らしい、一代限りの最下位の貴族として高貴な身分の子弟が通う学校に入学させてもらい、王が許可した気に入った女の子と結婚して子をなしてもいいと言われた、転生者の子は強い力を持つらしい。


王からは一代限りの貴族だと言われたが高貴な身分の人間から見たら平民と変わらない扱いだそうだ。




 どうなったかと言うと、やはり俺は馬鹿なのは変わりなかった、王は許可した相手ならと言った事を忘れて好みの女の子と適当に遊んだ。上の人間が火消しをしてくれたせいで調子に乗ってしまった。




 ある日、いかにも真面目で高嶺の花な感じの赤毛の女の子を何とか落とすのに成功した、名前はオリビアと言った、この世界にはネットが無い。養父と立ち寄った国の話や養父に紹介されたその国の重鎮の話をするとコロッと俺の話に夢中になってくれた、流石にそれなりの高位の貴族なだけあって身持ちは固く嗜虐心に火が付いた、この澄ました顔をベッドの上で見るのはどれだけ気持ちいいか、そんな事ばかり考えていた。




 いつものように楽しくオリビアと会話をしてあと数か月あれば口説き落とせるなと実感していた時にオリビアの婚約者を名乗る人物から叱責を受けた、筋骨隆々のいかにも体育会系脳筋と言った風貌だ。自分は前世からこの手の男が嫌いだった、伯父を思い出す。




 そこでたくさんの生徒が見ている前であえて挑発をして決闘と言う形に持ち込んだ、ここであいつを叩きのめせばオリビアを今夜にでも抱けるなんてその時はのんきに考えていた。当然剛力とどんな武器や一度見た魔法を使える権能がある、負けるわけが無い、それでもあいつは今まで戦ったチンピラやマフィアと違いかなり強かった、木剣じゃなく真剣で相手が本気で殺す気なら10回に1回は殺されていたかもしれない。




 ともかく勝ったこれでオリビアを~と考えていたがその日の晩に高位貴族に呼び出され王の前に立たされた。




 王は深くため息をつき「今回ばかりはかばいきれない、相手は我が国の防衛の最前線を守る有力貴族だ、先ほど君が今朝叩きのめした相手の首を持参して親が謁見を申し出てきてな、話を聞いたらお前に負けたので責任を取って自害したそうだ、私がお前を保護している事に気が付いていたよ」




 「相手は我が国で最高峰の武門の貴族だ、離反されるなんて事は万が一にもあってはならない、君が手を出そうとしたオリビア嬢もかなりの名門のお嬢さんなのだよ、当然怒り心頭だ、彼女は今夜にでも責任を取るために毒酒でも飲まされるかもな」




 やばい、やばい、やばい、田舎の港町のマフィアにですら殺されかけたのだぞ、国最高の戦力の貴族と名門文官の貴族を相手に生き残れるわけが無い、1週間以内に俺は殺される。そうだせめてオリビアだけでも助けて彼女の家に保護してもらおう。




 俺は必死にこれからは国に尽くすからオリビアだけは助けるように王に懇願した。これで助かると思った、しかし正気を取り戻したオリビアは俺の顔を見るなり「お前の権能が私を狂わせたのか?」と親の仇を見るような目で見て来る。城で出される食事をとれば高確率で毒に当たり苦しむことになった。今は偶然覚えていた解毒魔法でどうにかなるが自分の解毒能力を超える毒がいつ出て来るか分からない。




 もう王の後ろに隠れ、王から指示された女を抱きながら、王の側近による命令で命がけで魔獣を討伐するしか安全を確保する方法が無い、俺の生殖能力が無くなるか俺より強い魔獣が出ればそこで俺はゲームオーバーという事だ。利用価値があるうちは生きていられるだろう。逃げれば王直属の暗殺部隊を送ると宣言もされている。魔獣討伐時にちょっと指示されたルートを10メートル離れただけで太ももに投げナイフが刺さった。今度は猛毒が塗ってあるかもねと言われ背筋が凍った。10メートルですら俺には自由に動ける範囲は無いのだ。




 せっかくチート能力をもらっても前世より地獄だ。どうしてこうなったのだ?

当然、彼は数年後に暗殺されます。子供だけはたくさん残せたようです。コウタは誰一人とも子供の顔を見る事はできませんでした。強い子供は欲しいが制御できないほどたくさん欲しいわけでは無いというわけです。


王や取り巻きはあえて彼を追い込んで自由な手ごまとして使えるように放置していました。流石にオリビア嬢に手を出した上にハジメが自害したと聞いたときは肝が冷えたようですが。

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