25話 髪色(人物紹介)
ホームルームが終わり、久しぶりに屋上に来た。
二人でぼーっと曇り空を眺めている。
風が吹いて、前髪が少しまつ毛にかかった。
そろそろ切らないとな...
そんなことを考えながら晶の顔を見て尋ねる
「晶...前髪目に入らない?」
「入るよ〜。けど、これが落ち着く。視界狭まるし痛いからかな?」
「なるほど」
視界を遮りたい気持ちは晴も理解できた。でも、目にも痛みを求めるのかと少し驚いた。
「晴は前髪いつもぱっつんだよね」
「うん。勉強する時邪魔だから、いつも自分で切ってる。」
「!そうなんだ、切るの上手。色は、元からその色?」
「ありがとう...うん、親に黒染めさせられてたんだけどいつからかしなくなった。」
お金もかかるし、面倒になったからだった。
「...晴はどの色が落ち着く?」
「強いて言えば今の色かな、髪なんてどうでもいいけど」
「そう。晴の髪、綺麗で好き」
と、晶が笑う。やっぱりきらきらしている。
晶の笑顔を浴びると、本当に自分の髪が綺麗なものに思えてくる。
「...なら、どうでも良くないかも。晶はずっと染めてるの?」
面と向かって褒められるのはまだ慣れないので、すぐに話を変えた。
「うん。黒髪だけど、何となく染めてる。」
(本当はあんまり好きじゃないから。あの人の事思い出すし)
「そっか、見てみたいな」
また思ったことが口から出てしまった。晶と話すようになってから自分でも、自分の意思が強くなったと感じる。
「え」
悲しいのか嬉しいのか分からない声で晶が驚いた。
晶の目を見つめて、真っ直ぐに伝える
「あ...晶の目の色が、好きだから。髪も、同じように綺麗な黒なんだろうなって。今のも似合ってるけど」
「え〜、俺の事口説いてるの?笑」
と、いつものトーンでちゃかす。
「うん」
笑いながらそう答えた。
「....ありがとう。多分、相当傷んでると思うけど。
んー、今度ちょっとだけプリンになってみようかな」
と髪をいじりながら迷っている。
「プリン?」
「えっと...なんか美味しそうって顔してるけど、ちがう」
「甘いのじゃないの?」
「俺は甘くならない!」
「晶は甘いよ」
微笑みながら晶の首元に近寄る。シャツの中に前噛んだ跡が少し見えた。
「何言ってるのかな晴くん...そうゆう気分?」
満更でもなさそうに晶も笑った。
晴の肩を優しく噛む。
「ほら...あまい」
「ん...くすぐったい」
「...んむ」
「もっと....強く、っう
そんな...優しいのじゃ、足りない」
「わがまま...っ」
今度は要望通り強く噛んだ。
「──んん"」
ぱっと口を離す。
「...おわり。ちょっと最近噛みすぎ」
「そう?...もっと食べて欲しいのに」
「プリンになるまで我慢」
晶がよくする人差し指を自分の唇に当てるポーズを真似してみた。
晶は驚いた顔で笑う。
「プリンの意味分かってたんじゃん...てゆうか、プリン側が我慢するの?」
「...僕も、我慢してる」
晴が赤い顔でそう言うと、晶は嬉しそうに擦り寄って来た。
「じゃあ食べて♥」
「だめ」
「ケチ」
「...プリン買って帰ろう」
「いいね♩早くプリンになれそう」
「意味わかんない、行くよ」
二人で笑いながら屋上を後にする。
宣言通り帰る道中でプリンを買って、同じ家に着いた。
ありがとうございました。




