10、初任務
「久乃~。ちょっといいかしら?」とギルドに入った途端カウンターにいるアリス嬢に声を掛けられた。
「ええ、アリスひょっとするとひょっとする??返事来たの?」と答えると「ええ、久乃にお願いしますってさ。ギルド長もこれなら良いだろってオッケー出したよ~~」とニコッと笑っている。アリスって笑うとエクボが出来るんだ〜、可愛いい。
そう、ここのギルドは依頼は念の為ギルド長が本人の技量と依頼内容を精査して判断する事をしている。
依頼内容と本人の技量が余りにも合わないとなるとギルド全体の信用を損なうことがあるからだ。
「で、久乃これ渡しておく」とこの依頼の詳細が書かれた用紙を手渡してくれた。うん、うんこれで大体の依頼内容が分かるわ。確かに貴族の子供の警護だけど、主にはお祭りに参加されるお父様とお母様と一時離れることになるからその辺りを重点的にみて欲しいのね。
紙を読みつつうん、うんと頷いていたら、アリスが「それより久乃髪いじった?」と聞いてきた。「うん、わかる~?」と答えると「やっぱりね」とアリス嬢は微笑んでた。
アリスに丁寧にお礼を言い、ギルドに併設されたカフェに行きコーヒーを頂く。そうこの国にはコーヒーがあったのだ。これはうれしい。
コーヒーを注文して席で更に依頼内容を確認してみた。日時や報酬、注意事項。ふんふん、警護対象は8歳の男の子か。
香水の使用は禁止。当日はこちらで用意するドレスを着用していただくので武器の使用を一考して欲しい。などなど書かれている。
報酬は結構いい方だと思う。任務中は飲食は警護対象者と共に摂ることになる。か。
アリスに頼んで当日の馬車の予約を取って貰った。朝早く2つ隣の町まで移動する事になる。そして、久しぶりにギルド長の武器屋へ足を運んだ。ドレスの下に隠せるような武器を見ておきたいと思ったからだ。
「カラン」と武器屋の扉を開けるとギルド長が商品の剣を手入れしながら「よう久乃。そろそろ来る頃だと思ったぜ。適当に見繕いな」と小ぶりな武器のコーナーを目線で指した。
歩いてそのコーナーへ行くと様々な武器があった。数々の小型ナイフや警棒みたいな物。「久乃、しびれ薬なんかだったらここにある。見るのだったら説明ぐらいしてやるよ」と上機嫌で話してくれたが薬より興味深い物があったのでそれを眺めていた。
「久乃、それ付けていくのか?」とギルド長が不思議そうに訪ねて来た。
「ええ、はい。これがいるかもしれません。値段も手頃ですし」と話すと「まぁいい、持って行きな。報酬から差し引いとくから」と言いながら入って来た他の客の所へ行った。
いよいよ仕事の日になった。初めてのギルドの活動で緊張する久乃。ギルドで予約してあった馬車に乗り込み指定された場所へと出発した。御者の話によるとここから2時間ほどの所らしい。到着までの間少し馬車の中で休むことにした。
「お客さん到着しましたよ。」と声がかかり馬車から降りると大きなお屋敷の前だった。正面から入るのも憚られたので裏口に回りその場にいた使用人らしき人に声を掛けた。
「すいません、ギルドから派遣された久乃と言う者ですが。こちらはランカスター伯爵家で合ってますでしょうか?」と尋ねた。「あぁ、貴女が。領主から話は聞いている。どうぞこちらへ」と言われたので大人しく着いて行った。
「この部屋でお待ち下さい。」とある部屋へ案内してされて緊張して落ち着かないまま待っていた。
「やあやあ、お待たせしました。」とドアが開くと身なりの良い男が現れた。そしてその後に続いて現れたのは、男の子とその母親だろう美しい女性だった。
「私はこの領地を治めるランカスター伯爵だ。これは妻のジョゼフィーヌ、息子のルーシェだ。よろしく頼むよ。」と自己紹介された。
「私はギルドから参りました久乃と言います。本日は御子息の警護の依頼を受けて参りました。短い期間ですが宜しくお願いします。」とお辞儀をしながら挨拶をした。
「今日の予定はこれからこの領地のお祭りである収穫祭に向かう。なぜ君に警護を依頼したかと言うと我々夫婦が1時間ほどルーシェから離れる時間が出来るからだ」とランカスター伯爵が説明を始めた。
「ここ最近貴族の子供を誘拐する出来事が多くてね。この家の警備員だけでは心許ないとギルドに依頼したという訳さ。」
「わかりました。具体的に何時ごろから手薄になりそうですか?」
「あぁ、だいたいだが2時から3時ぐらいだ。多少は前後するかも知れない。」と伯爵は話した。
「さぁ、ジョゼフィーヌ、久乃さんを頼んだよ。」と奥様に話を振られると「久乃さん、こちらへどうぞ。ドレスを用意してますので」と他の部屋へと促された。
そこには色とりどりのドレスがあった。
「久乃さん、どれが良い?」と奥様に聞かれたので「ではこちらで」と側にあったドレスを選ばせて貰った。
私が手に取ったのは、ワインカラーのドレスでゆったりとした袖の造りになっていてスカートの丈が短いので動きやすそうだったからだ。久乃は奥様に向かって
「奥様、着替えは自分でやります。着替えられたら声をお掛けしますので仕上げをお願いします。」と言っておいた。
「わかりましたわ。では隣の部屋でお待ちしています」と部屋を出て行かれた。
自分でドレスを着付けると、隣の部屋を覗き奥様に声を掛けると着付けの仕上げを頼んだ。そうするとメイドの方が来られ簡単なメイクと髪のセットをして貰えた。髪が短いので全体的に後ろへ撫で付け、後ろ髪を全体的にネットで纏めてもらいその上に小さな帽子をあしらってもらった。これでぱっと見は髪が長いように見えると思う。
「中々綺麗に仕上がったわね。雰囲気は息子の家庭教師ね。」と仕上がった久乃をみてそう話された。「じゃあそろそろ出発よ。久乃さんよろしく頼むわね」




