因果の始まり
今までやってきたこと全てが無駄だった。
「ミレディア・スーペルノヴァ、お前を国外追放する! これは国王陛下の許可を得た、正式な命令だ」
国王が許可をした時点で、もう抗うことは出来ないし、それをしてはいけない。絶望が身体を染めていく。辛い、苦しい。この身が張り裂けてしまいそうだ。
ずっと頑張ってきたつもりだったのに、実は結ばれずに砕け散った。
「何だ、この黒いモヤは!?」
「ミリアの身体から噴き出している!」
頭が割れるように痛い。視界はぐらついて、黒いものが血管の中をめぐっていく。
『だから言っただろう! お前は世界を滅ぼすのだと』
口は動いていないのに、身体から溢れていく黒い闇が辺りに広がって、暗く粘ついた声が響く。このままでは闇が広がる、それがこの世界を覆いつくす。
「アレは、とても良くないものです!」
分かっている、もうこの身体は自分のものではなくなっていく。ずっと響いていた声に聞こえない振りをすることはもう出来ない。
「このままだと……彼女は世界を滅ぼす災厄になる」
そんなこと言われたくなって知っている。何もかもが思い通りにならないのは当然のことだ。
『はっ、ハハハッ! やっと乗っ取ってやったぞ。絶望しまいと必死に抵抗していたが、お前たちが最後の一押しを成した。その功績に免じて、お前たちを殺すのは最後にしてやろう』
頭から手の先まで、身体の制御権を奪われていく。痛いのが、苦しいのが消えていく代償は自分自身だった。けれど、それでも。まだ口だけなら動く。
身体が噴き出した黒いものが空間を埋め尽くす前に、喉が動く内に。唇を震わせるだけで鮮烈な痛みが走る。痛みを堪えて、気力だけで言葉を紡ぐ。
「ミレディア・スーペルノヴァの名において、魔槍グンニグルの起動を承認します。
目標設定はこの私、ミレディア・スーペルノヴァの心臓」
『なにっ!?』
胸元に隠していた赤いペンダントが浮かび上がり、闇に負けないほどに強い輝きを発する。
深紅の大きな槍、人の身長を優に超えた長大な槍がペンダントから飛び出すように出現する。空中に浮かんだ血のような槍は、まっすぐと私へ向かってくる。
「『災厄の王』よ。世界の前に、私と一緒に滅びましょう。」
『そんな、そんなはずが!? そんなことがあっていいはずがない、世界から見捨てられたんだ! だから、お前は世界を滅ぼすべきだ!』
世界を滅ぼしたいなんて、そんなこと一度も思ったことはない。希みは絶たれた、この命はもう保たない。
それでも、私は。私が守りたかったものを諦めた訳じゃない。真っ直ぐと向かってきた槍が心臓を貫く。衝撃の後に、耐えられないほどの痛みが意識を薄れさせる。
けれど、自然と口元は緩んでいた。全部がうまくいかなったけれど、この最期だけは自分で選べた、運命を捻じ曲げられた。だからきっと、この人生にも意味はあった。
そうして、私ことミレディア・スーペルノヴァの人生は幕を閉じた。
40話ぐらいまで書きあがっているので、9月中は毎日1~3話ぐらい更新します




