ファルーサ・カイデン9-4
臭いの問題さえ解決すれば、こんな所、俺の想像通りの魔物が出てくれば、なんてことは無いはずだ。
しばらくマッピングをしながら進むと、「探索」に敵の反応があった。
紙と筆記用具をアイテムボックスに放り込み、敢えてそいつに向かって進んでいく。
いた。
想像していた奴ではないが、人型の骸骨だ。2体いる。
動きは鈍いが、力は強いらしい。
また、頭を落とそうが、腕を落とそうが、動けるうちはいつまでも攻撃して来るらしくて、物理攻撃等でバラバラにして動けなくするか、「火魔法」で文字通り骨も残さず焼き尽くすのが一般的な倒し方らしい。
焼き尽くすのは火力も必要だし、時間がかかりそうだ。
魔力量総量が1万を超えているので、ウォーター・カッターやウインド・カッターで、片っ端からバラバラに刻んでやってもいいが、省魔力な戦い方も知っておくべきだろう。
と言うことで物理攻撃だ。
俺の剣は短剣なので、突くのには向いていても、斬ることにはあまり向いていない。斬れないことは無いが、あまり手入れもしてないし、骨なんていう固い物を斬ると傷みそう。
なので「体術」だ。
近くにいる人の顔面を正面から右手でまっすぐ殴りつける要領で、離れた場所にいる骸骨の1体の顔目掛けて、「体術5」で拳撃を飛ばす。
目には見えない何かが飛んで行ったんだろう。骸骨の頭が爆発したように弾け飛んだ。
続いて左足で、斜め上に蹴り上げる要領で蹴撃を飛ばす。
今度は骸骨の腰骨、背骨、肋骨の順で砕け散り、手足の骨だけがバラバラになって床に散乱する。
そんな間にももう1体の骸骨がすぐ近くまで来ていたので、「体術6」で殴る。
「体術6」は一度の攻撃で二度のダメージを与えられるらしいので、1発目で頭を、2発目で(普通なら)心臓辺り(であろう場所)を左手で殴る。
頭蓋骨が爆発したように吹き飛んだ後、胴体部分の骨はおろか、両手の上腕骨や両足の大腿骨の胴体に近い部分も吹き飛んで、残りの両手両足の骨もバラバラに床に散った。
我ながら、すっげー強力!自惚れるわけではないが、万能感を感じた。
でも、直接骸骨に触りたくはなかった・・・・・・・・・・・・・・・
次からは「体術5」で触らずに、だな。
少しだけ奥に進んだところで、「探索」に何か引っかかった。数は3。
どうせ向こうも、いずれはこちらに気付いてやってくるのだから、こちらから向かって行った。
見えた。
やっぱりいた。いると思ってた。
この第3層に充満する腐臭の原因と思われる魔物、ゾンビだ。
3体とも人型で、ゆっくりと近付いてくる。
顔や手など、肌が見えている部分は皮膚が一部剥がれてたり、その下の筋肉が腐ったりしていて、髪の毛と思われる体毛がまばらに生えている。服もぼろぼろで、血やいろんなものが染みているのか、見るからに汚い。
絶対に触りたくない。
こいつらも動きは早くないが、力は強く、叩いたり殴ったり、噛み付いてきたりもするそうだ。
本当は「浄化魔法」をレベル9(「不死のものを浄化する」)まで上げられれば、ゾンビなんて瞬殺なのだろうが、SP10万を貯めるとしたら、何年かかることやら。
そこで、先頭のゾンビの足元から「火魔法3」と「風魔法3」の「合成魔法」で炎を噴き上げ、続けて「火魔法6」で炎の温度を上げていく。
炎の色が赤からオレンジに、そして黄色に変わってそれも薄くなり、白っぽく光り出した頃に骨も残さず燃え尽きた。
この方法なら、ゾンビに触ることなく消滅させることが出来るのが分かったが、二つの魔法を選んで合成して発動させて、それからその魔法の威力を高めて、と、倒すというか、焼き尽くすまでに時間がかかる。ゾンビの数が多い時には使いづらい。
昨夜、もう一つ方法は考えたが、それはあくまで最後の手段だ。
2体残っているが、まだ少し距離があるので、先程の要領でもう1体焼き尽くす。
最後の1体に対し、最後の手段と考えている方法が効くかどうか試しておこう。
考えた方法はこうだ。
ゾンビに至近距離まで詰められていることを想定して、昨夜レベル5に上げておいた「浄化魔法5」、「他のものの身体に付着した汚れを浄化する」でゾンビの汚い部分を消し去り、その上で、お父様から誕生日にもらった大事な短剣ではあるが、直接触りたくはないので、短剣で斬って、斬って、斬りまくる。
大事な短剣が傷むかもしれないが仕方がない、という作戦だ。
本当に追い詰められた状態で試して、短剣では斬れなかった等、想定外の事があるといけないので、今試しておこう。
「お父様、ごめんなさい」
心の中でお父様に謝りながら、最後のゾンビに対し「浄化魔法5」を使う。アイテムボックスから短剣を取り出して・・・
「え?・・・・・・・・」
目の前で起こったことに、理解が追い付かない。
何がどうなった?
いや、それは解る。見たとおりだ。
ゾンビが骸骨になった。
冷静になれ。問題にすべきは、何でこうなった?だ。




