力が欲しいなら、その使い方を学べ。
―またか!
―もう耐えられない!
みゆきは草の上に仰向けに倒れていた。
まるでマラソンを走り終えたばかりのように、青い髪が頭の周りに広がっていた。
―もう20分経ったよ、と私は言った。
―その通り!
―そんなに長くはないわ。
―私にとっては長い時間よ!
数メートル離れたところで、あかねは両手を膝についていた。
―珍しく…私も彼女に賛成だわ…
はるかは何も言わなかった。
彼女は地面に座り込み、剣を抱きしめていた。
―私の…鎧…昨日より重くなっている気がする…
エリザベスは微笑みながらその様子を見ていた。
―よく頑張っているわね。
三人は顔を上げた。
―よく?!―三人は同時に叫んだ。
私はため息をついた。
正式な訓練初日が始まったばかりだった。
そして、すでに散々な一日になりそうな予感がした。
すべてはあの朝から始まった。
授業のために皆を起こした後、私はもう大変なことは終わったと思い込んでしまった。
茜はファイター。
深雪はメイジ。
遥はナイト。
完璧だ。
真のレグノス能力を持つ者が3人揃った。
ただ、一つだけ小さな問題があった。
彼女たちは能力の使い方を知らなかったのだ。
茜はボクシングとキックボクシングの経験のおかげで、最高の基礎を持っていた。
しかし、彼女の新たに得た力は以前とは違っていた。
以前は全身を使わなければできなかった一撃で、岩を砕くことができた。
深雪は驚異的な魔力を持っていた。
しかし、彼女の魔力制御はひどいものだった。
そして遥は……
「ああああ!」
ガチャン!
彼女の剣がまた落ちた。 「…」
ハルカは地面に落ちた武器を見つめた。
「嫌い。」
「昨日はあんなに興奮してたのに。」
「昨日は重さもわからなかった。」
「剣よ。」
「わかってる!」
「うん。」
やらなきゃいけないことがたくさんあった。
たくさん。
エリザベスと私はルーティンを考えていた。
まず:
体力トレーニング。
次に:
教室の監督。
最後に:
スパーリング。
最初の項目で早速問題が発生した。
「5キロ」と私は言った。
沈黙。
ミユキが手を挙げた。
「歩くの?」
「走る。」
彼女は手を下ろした。
「レン。」
「何?」
「日本に帰りたい。」
「昨日は魔法使いになりたかったんでしょ!」 「魔法使いには走ることも含まれるなんて知らなかった!」
茜は吹き出した。
「情けない。」
私は彼女を見た。
「あなたも走るのよ。」
彼女の笑顔が消えた。
「どうして?」
「だってあなたは戦士だから。」
「そうよ。私は戦うの。」
「戦うには体力が必要よ。」
「…」
遥はおずおずと手を挙げた。
「騎士も?」
私は彼女の鎧を指差した。
「特に騎士はね。」
遥はゆっくりと手を下ろした。
エリザベスが小さな金属片を二つカチャカチャと鳴らした。
カチャカチャ。
「始め。」
三人は出発した。
よし。
茜は走った。
遥は小走りした。
深雪は歩いた。
「ミユキ!」
「体力を温存してるのよ!」
「それってウォーキングって言うでしょ!」
5キロも歩けなかった。
全然足りなかった。
しばらくすると、3人ともへとへとになっていた。
その時、私はあることに気づいた。
トレーニングを命じることはできた。
もっと頑張れと伝えることもできた。
でも、本当に彼女たちに信頼されたいなら…
ただ傍観しているわけにはいかない。
以前の会社を思い出した。
上司たちは口達者だった。
「もっと頑張れ」「もっと努力しろ」「週末を犠牲にしろ」と。
でも、彼ら自身は決して同じ犠牲を払おうとはしなかった。
私はそんな風になりたくなかった。
私はエリザベスに近づいた。
「私も一緒にトレーニングするわ」
「本当にいいの?」
「ええ」茜は顔を上げた。
「あなたも?」
「これからは、全部のルーティンをやるわ。」
美雪はなんとか起き上がった。
「同じ?」
「同じよ。」
遥は瞬きをした。
「でも、あなたはもう十分強いじゃない。」
「その通り。」
私はジャケットを脱いだ。
「エリザベスの練習を見に来ただけじゃないの。」
彼女は微笑んだ。
「まあ、結構文句を言ってたけどね。」
「そんなこと言う必要なかったのに。」
「状況的に重要だと思ったの。」
私は3人の隣に立った。
「もし私が5キロ走れと言ったら…」
私は前を見て、
「5キロ走ります。」
茜は微笑んだ。
「興味が出てきたわ。」
「競争する?」
「もちろん。」
「完璧。」
美雪は手を上げた。
「私は競争に反対票を投じます。」
「誰もあなたに意見を聞いていません。」
「ここは民主主義じゃない!」
「その通り。」
エリザベスは再び金属をガチャンと鳴らした。
ガチャン。
「逃げて。」
茜は走り出した。
私も後を追った。
「おい!」
彼女は速かった。
目覚める前よりもずっと速かった。
新しい授業のおかげで、彼女の身体能力は向上していた。
しかし、彼女はミスを犯した。
最初はエネルギーを使いすぎた。
「全力疾走するな!」
「アドバイスなんていらない!」
5分後:
「アドバイスが…欲しい…」
「だから言ったでしょ。」
美雪ははるか後方にいた。
「二人とも大嫌い!」
遥は鎧をガチャンと鳴らしながら、茜の横を走っていた。
カチャッ。ガチャン。ガチャン。
「待って!」
エリザベスは静かに後ろを歩いていた。
彼女は歩いていた。
それでも追いついてきた。
それが必要以上に私を苛立たせた。
それから個人訓練が始まった。
まずは茜から。
彼女は岩の前に立った。
「叩け。」
「それだけ?」
「ええ。」
茜は微笑んだ。
「簡単よ。」
彼女は腰をひねった。
彼女は足をしっかりと踏み込んだ。
そしてパンチを繰り出した。
バキッ!
岩が割れた。
茜は固まった。
「…」
美雪が口を開いた。
春香も。
茜は自分の拳を見た。
「私がやったのよ。」
「あなたのクラスがあなたにやったのよ」と私は説明した。「でも今度はあなたが…」
力をどれだけ使うかをコントロールすることを学ばなければならない。
「どうして?」
私は枝を一本取った。
それを彼女に渡した。
「折ってみて。」
茜は手を握った。
パキッ。
枝は粉々に砕け散った。
「簡単でしょ。」
私は果物を一つ彼女に渡した。
「今度は折らずに持ってみて。」
プッ。
果汁が飛び散った。
静寂。
美雪が笑い出した。
「うるさい!」
「壊しちゃったじゃない!」
「何か見せてよ!」
「いいわ。」
美雪が前に出た。
彼女の番だ。
私たちは石の上に葉っぱを置いた。
「魔法で持ち上げてみて。」
美雪は微笑んだ。
「それだけ?」
「それだけ。」
彼女は手を差し出した。
「起きて!」
何も反応がない。
「彼女と話す必要はないわ。」
「集中しているの。」
マナが集まり始めた。
「みゆき、もう少し…」
ドーン!
葉っぱが空高く舞い上がった。
私たちは皆、空を見上げた。
「…」
葉っぱは木々の間に消えた。
みゆきは微笑んだ。
「拾ったわ。」
「20センチって言ったでしょ!」
「指定してなかったじゃない!」
「拾えって言ったのよ、別の世界に送れとは言ってないわ!」
茜は笑い転げた。
「偉大なる魔術師!」
「少なくとも私の果実は無事よ!」
「果実なんて持ってないじゃない!」
エリザベスが近づいてきた。
「問題は魔力の流れだ。」
みゆきは手を上げた。
「どうすれば制御できるの?」
「練習あるのみ」エリザベスと私は同時に答えた。
みゆきは顔色を青ざめた。
最後ははるかだった。
彼女のテストは簡単そうだった。
「防御せよ。」
「何から?」
エリザベスは棒を振り上げた。
はるかは顔色を青ざめた。
「待って。」
「ドーン!」
「あぁ!」
はるかは盾を構えるのが遅かった。
「もう一度。」
「準備不足だった!」
「その通り。」
エリザベスが攻撃した。
「ドーン!」
今度ははるかが防御した。
「やった!」
エリザベスは別の角度から攻撃した。
「あぁ!」
「戦闘中に喜ぶな」と私は言った。
はるかは私を睨みつけた。
「上から言うのは簡単よ。」
「その通りだ。」
私は近づいた。
「エリザベス。」
「はい?」
「攻撃して。」
彼女の笑みが浮かんだ。
私はすぐに後悔した。
「喜んで。」
「待って。そんなに…」
ヒュッ!
私は身をかがめた。
杖が私の頭上をかすめていった。
「ほら!?」私は後ずさりしながら叫んだ。「まずは肩を見ろ!」
エリザベスは再び攻撃してきた。
私は防御した。
「それから足!」
再び。
私は弾き返した。
「武器よりも先に、体がどこを攻撃するかを教えてくれる!」
ハルカはじっと見ていた。
エリザベスは私の脇腹にパンチを繰り出した。
私はそれを防いだ。
「ドスン!」
「そして、決して盾だけに頼ってはいけない。」
体勢を変えた。
反撃した。
エリザベスが防御した。
私たちは離れた。
ハルカの目が少し開いた。
「わかった…」
私は微笑んだ。
「じゃあ、来なさい。」
杖を彼女に手渡した。
「さあ、私と一緒に。」
そして私たちは何時間も続けた。
茜は自分の力を制御することを学んでいた。
美雪は葉っぱを成層圏まで飛ばさずに浮かべようとしていた。
ハルカは剣と盾と鎧の使い方を学んでいた。
そして私は…
彼女たちと一緒にあらゆることをしていた。
私は走った。
私はパンチを繰り出した。
私は魔力を操った。
私は防御の練習をした。
彼女たちが倒れても…
私は動き続けた。
私が倒れても…
私は立ち上がった。
そして少しずつ、彼女たちは文句を言わなくなった。
まあ。
美雪は別だった。
「足が動かない!」
「歩き続けなさい。」
「心が死んだ!」
「あなたもまだ喋ってるじゃない。」
「そんなこと言っても無駄よ!」
茜は笑った。
「さあ、お姫様。」
みゆきは彼女を見た。
「あなたもお金持ちでしょ!」
「でも、泣いてないわ。」
「泣いてない!」
はるかは手を上げた。
「涙が出てるわよ。」
「それは目の汗よ!」
私は立ち止まった。
「そんなのありえない。」
「今あるわよ!」
エリザベスも思わず笑ってしまった。
夕暮れ時、私たち4人は焚き火を囲んで座った。
そう。
私たち4人全員で。
エリザベスは相変わらずクールだったから。
そのことが少し悔しかった。
茜は自分の手を見つめた。
「今日、石を割ったの。」
「それと、果物も3つね。」と深雪が付け加えた。
「うるさい。」
深雪は微笑んだ。
それから小さな石を持ち上げた。
今度は魔法を使った。
石はゆっくりと浮かび上がった。
10センチ。
15センチ。
20センチ。
石はそこに留まった。
深雪は魅了されたようにそれを見つめた。
「蓮。」
「何?」
「見て。」
私は微笑んだ。
「ずっといい。」
遥は盾を構えた。
盾には小さな傷がたくさんついていた。
「17回の攻撃を防げた。」
エリザベスが言った。
「43回中。」
遥は盾を下ろした。
「そんなこと言わなくてもよかったのに。」
「ステータスは重要だ。」
私は笑った。
すると茜が私を見た。
「明日も?」
「もちろん。」
「もっと難しく?」
美雪が振り返った。
「どうしたのよ!?」
茜は微笑んだ。
「自分の実力を知りたいの。」
遥は自分の剣を見つめた。
「私も。」
美雪は自分の手の上に浮かぶ小さな石を見つめた。
彼女はため息をついた。
「…」
石は浮かび続けた。
「私も。」
私は微笑んだ。
まさに聞きたかった言葉だった。
「じゃあ、明日も続けよう。」
美雪は私を指差した。
「あなたもね。」
「もちろん。」
「突っ立ってないで。」
「一緒に稽古するわ。」
茜は拳を差し出した。
「いいわ。」
私は彼女の拳に自分の拳をぶつけた。
ハルカはそれの上に手を置いた。
ミユキはためらった。
そしてついに、彼女も同じようにした。
エリザベスは私たちを見ていた。
「私も?」
私たちは皆、彼女を見た。
「あなたがトレーナーでしょ!」私たちは叫んだ。
エリザベスは笑い出した。
そして、彼らが再び言い争うのを聞きながら、私は自分が何をしたいのかを悟った。
私のコンソールは彼らの潜在能力を解き放つことができる。
扉を開くことができる。
しかし、その扉をくぐるかどうかは…
彼ら次第だ。
私はただ数字を入力するだけで強い人間を作りたかったわけではない。
私は彼らが既に持っているものを極める手助けをしたかったのだ。
なぜなら私は
彼女は違いを理解していた。
力を持つことと、その使い方を知っていることは別物だ。
そして、もしあの三人がレグノスで自力で生き残りたいと願うなら…
その力を真に自分たちのものにしなければならないだろう。




