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犬は狼に成り、何を為す  作者: ぬーん
人間とは
18/19

中に舞う彼と下敷きになる彼ら

 世界が回っている。否、自分が回っているのだ。ぐるぐると。アドルフは爆破魔法で吹き飛ばされたのに、気づいた。まるで時が止まったのかのうような感覚だ。しかし、時間が加速し地面に叩きつけれれた。


 橋から数メートル離れた所まで飛ばされた。馬車の先頭にいたアドルフは魔法が発動される瞬間に防御魔法を展開したため深刻なダメージは避けれたが、衝撃のせいか頭がグラグラと揺れていた。

 馬車とその他のメンバーは爆破魔法の影響は無く、襲撃犯と交戦していた。先頭集団は橋が破壊され救助不可能と判断したためか、アドルフたちを見捨て街へと急行した。


 (いや、妥当な判断だ。)


 アドルフは助けが来ないと判断し、現状を確認した。襲撃者は10人。そのうち、少なくとも3人は魔法が使えると交戦の状況から見て取れる。アドルフを除く戦力は4人で今まで誰も魔法を使える気配はしない。

 しかし、唯一張り合えているのは4人相手しているダンだけで、残りは防げていると言ったところだ。このままではチームが分断されジリ貧でやられる一方だ。魔法使いをどうにかする必要がある。


 (しかし、ダンは4人相手できるとは、過小評価してたな。)


 アドルフは呑気なことを考えている一方、ダンは焦っていた。4人相手取るなんて初めてで経験したことなんて無いからだ。それに加え、アドルフと御者が爆破にやられたと思い、自分の不甲斐なさを悔いていた。


 (アドルフはの奴がおそらく魔法を使って、俺らを守りやがったんだ。クソっ、情けねーぜ。年下のガキに守られるのはよぉ。アイツも男を見せたんだ。俺も男って奴を見せてやらないとなあ!)


 結果的に防御魔法により他のメンバーが守られたが、アドルフに他のメンバーを助けようとは1ミリも考えてはいなかった。ダンは勘違いしたようだが。

 ダンはいわゆる火事場の馬鹿力を発揮した状態で、4人を相手していた。4方からくる剣戟を交わし、時には剣を弾いたりして難なく渡り合っていた。先に集中をと切らせたのは盗賊の一人だった。その隙を見逃すダンではない。一人を一刀両断にしたのだ。


 (いける!いけるぞ!)


 だが、様子を伺っていた魔法使いがただ黙っていなかった。炎の槍がダンに向かって放たれた。狙いは正確で避けれる速さでは無かった。ダンはとっさのことで体が止まってしまった。


 (あ、死んだ。)


 ダンは自分が死ぬんだと理解し、目をつぶった。しかし、いくら待っても衝撃は来ない。痛みも感じずに死んだのか。そう思い、目を開けるとそこにはアドルフが立っていた。そのアドルフの左手は炎の槍を掴んでいた。


 (えっ!魔法ってつかめんの!)


 予想外の光景にダンは呆然としていた。それはダンだけでは無かった。周りにいた全員が開いた口が閉まらなかった。


 「よくここまで、耐えたな。後は俺に任せとけ。」


 アドルフは一言口にした。ダンを相手していた盗賊3人はアドルフに標的を変え、剣を振り上げようした。しかし、思うように体が動かない。それもそのはず、3人は頭と体が切り離されていたからだ。いつアドルフが剣を抜いたのか、剣を振るったのかダンは理解できなかった。


 (他の奴らを助けるのが優先か?いや、こちらの様子に気がついて日和ってんな。先に魔法使いを処理するか。)


 アドルフは手をかざし、魔法を発動させる。その魔法はただの【火球】であった。


 (なんだ、所詮下級魔法を使えるだけのレベルか。我々が使う唯一無二の魔法とは格が違うわ。なっ!何だあれは!?)


 魔法使いが見たものは、【火球】であった。しかし、それは空一面に浮かぶ【火球】だ。100個、いやそれ以上数えるのが億劫になるぐらいの数であった。


 「いや、所詮下級魔法がいくつ打たれようが、私のこの鉄魔法で防いで見せるさ!」


 一人の魔法使いが鉄で3人の魔法使いを覆うように守った。


 (ふん、数を見て焦ったが。この魔法を打ち破れまい。ククク、この魔法を凌げば奴は魔力切れになるだろう。勝ったな。)


 鉄魔法を使った男、フリンは勝ちを確信した。そして、【火球】が放たれた。鉄魔法【鉄壁】と【火球】が衝突する。一つの【火球】ではビクともしない。しかし、それが何百何千と繰り返すと、鉄は赤熱し、とうとう鉄が溶け始める。覆うように鉄魔法を展開したため、逃げ場が無い。魔法をやめるにも【火球】が降りかかってくる。防御魔法では防ぎきれない。空気も熱せられ、息をするだけでやけどする。仲間の2人も倒れ始め、フリンも倒れ、鉄魔法を解いてしまい、挙句は溶けた鉄が3人に振りかかり、3人は文字通り塵となった。


 (バカだよなぁ。考えればわかることだろうに。まあ、しかし鉄魔法も見れたし、これで魔法に幅が増えるわ。)


 鉄魔法を使いたいが、魔法陣を理解しないとどのような魔法が発動するかわからないため、使うのは実験をしてからだとアドルフは諦めた。

 それよりも、先に残りの奴らを片付けようとする。他に仲間がいたりしないか尋問するために生け捕りにしようとアドルフは考えた。呆けている奴を相手を捕まえるのに苦労はしなかった。ダンや他のメンバーに頼み縄を縛り、捕まえた。


 その後、橋を渡れないため、迂回できないかと地図を確認すると迂回ルートがあるので気絶していた御者を起こして迂回ルートを進んだ。


 (あんなこと言って、よく生きてたな。もう人をバカにするようなことは辞めよう。)


 ダンはそう固く心に誓ったのだ。流星群のような【火球】を落とす化物に喧嘩売るのは命がいくつあっても足りない。それに、とは言え命を助けて貰った恩人なのだ。


 (魔法使う盗賊団か。爆発魔法を使う奴なんか1人しか思い浮かばないが。アイツなのか。それとも、別の誰かが俺と同じく気づいたのか?3人の中にはそれらしい奴はいなかった。おそらく、他にも仲間がいるんだろう。いずれにしても、アイツが絡んできそうだ。捕まえた奴に尋問すれば分かりそうだ。街まであと少しだから、先を急ぐか。)


 彼らが目的地に着いたのはその日の夕方だった。

投稿が遅くなりました。

GWで取り戻せたらいいなと思います。


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