怪しい奴らとバカな奴ら
森の中は危険が多い。人が入ることは滅多に無い。森を縄張りとしている狩人さえ、遭難し帰ってこないことも珍しくない。逆に言えば人から隠れるには持ってこいの場所で、盗賊が拠点としてよく選ばれる。
ダーブラの森と呼ばれる森にも、盗賊の拠点があった。盗賊団の名前はシャリア盗賊団。世にも珍しい女盗賊が首領の盗賊団だ。貴族専門としていて、活動初期は王都付近を縄張りとしていた。一時期の王都の貴族たちを恐怖に震え上がらせた。一方で、民を襲わず、悪逆非道の貴族たちを成敗する義賊としてでも有名であった。しかし、それは国民の単なる妄想で実際には国民のためとは考えたこともなかった。また、最近では現在のビリー盗賊団の縄張りが空いたとのことで急遽拠点を移動させたのだ。
女海賊、シャリアが拠点で男たちの前で話し始めた。
「今まで私達は借りのあった奴らに狩りを返してきた。それがこの前の一件でようやく終止符をうてた。だが、それは過去の清算だ。本当の私達のはじまりはこれからだ。」
「「おおっ!」」
「それで私達の初めての仕事だけどね。ーーーーーーー」
彼らの悪巧みは夜遅くまで続いた。
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ギルドには3つの目的がある。1つは、依頼の斡旋。2つは、荒くれ者たちに仕事させて犯罪者にさせないこと。そして、最後は各地の情報を集めること。特に犯罪者の情報を集めている。本来、ギルドは鍛冶屋や猟師などそれぞれ分かれていた。そして、全てのギルドが統合され、あらゆる種類の仕事を取り扱っている。
アドルフはガゼフの家を離れ、バリスが統治する街、ダーブラの集合団地の一室に短期契約で滞在している。どこへ行こうか決めるために、人が集まる街に来たのだ。
ギルドの依頼の一つに護衛に任務があるらしい。たまに護衛任務が発注されていた。その依頼書を見つけたのは幸運だった。募集は5人とギルド会員の人数に比べたら少なく、束縛期間が長いがそれを考えても報酬がよいので取り合いになる。
護衛対象はダーブラから出発するタリスマン商会の商隊である。護衛をするのは大抵」傭兵団の仕事であるが今回のように商隊が大きいと人手が足りないためギルドに回ってくる。
出発は1週間後らしく、この日はメンバーの顔合わせするために呼び出された。集合場所に行くと既にギルド会員らしき4人が集まっていた。依頼主側は、まだ来ていないらしい。
4人がアドルフに気づいた。男が2人、女が2人という構成で、みんな同じくらいの年代でアドルフよりはすくし年上といったところだ。背中に大剣を背負った男が不機嫌そうな顔で話しけてきた。
「おい、まさか。最後のメンバーってお前か?ガキじゃねーかよ。ガキが年上を待たすなんて舐めてねえか。」
アドルフはため息をつき、口を開いた。
「集合時間には間に合っている。何も問題はないだろう?」
「人を待たせたってのにその態度は何だ?謝罪の一つもないのか?」
「だから、時間通りに来たのに文句言われる筋合無い。そもそも、あんたの時間管理の甘さを俺のせいににするな。」
「てぇめぇええ!」
顔を赤くしながらアドルフに殴りかかる。アドルフにとってその攻撃は止まっているのと同義であった。しかし、避けると面倒くさいことになりそうだったので殴られたフリをした。
「ダン、それはやり過ぎだよ。ごめんね。止められなくて。大丈夫かい?」
もう一人の好青年に見える男が殴った男を諌め、こちら近づいてきた。
(止めるにしても、もっと早い段階で止めるだろう。なるほど、気を使うことによって女にアピールしているんだろう。それにあの男も力を振るって男を見せようとアピールが目的だったんだな。くだらない。)
そこに一人の戦士然とした男が歩いてきた。時間的に考えると護衛する傭兵の人間か。
「おい、何をしている。任務を受ける前から問題か?そしたら、人選を考えなおさないとな。」
「いいえ、すみません。こいつがあまりにも常識を知らなさそうだったんで、教育ですよ。」
「それは、ギルド側の問題だろ。俺達依頼人側にとってどうでも良い話だ。まあいいが、任務中に支障をきたすのは勘弁してくれ。」
「それは大丈夫ですよ。こいつは俺が教育しときますんで。」
「ふん、できないことは言うな。さて、お前たちの自己紹介してもらいたいが、その前に俺はグリムロ傭兵団トロンだ。」
「グリムロ傭兵団のトロンって言えば『赤鬼』じゃないか!」
(へえ、有名なのか。有名な傭兵団を雇うって結構大きい仕事だな。)
アドルフを殴った男が元気よく手を上げた。
「はい!俺から自己紹介します!俺の名前はダンっていいます。大剣を使います。」
「じゃあ、次は僕かな?名前はアークと言います。武器は槍を使います。よろしくお願いします。」
アークは微笑みながら、女性2人に自己紹介を促した。当然アドルフは目も向けなかった。
身長が小さく庇護欲唆らせるようなタイプの女が先に自己紹介するようだ。
「私の名前は、アイリです。よろしくお願いします。えっと、一応短剣使います。戦闘とか苦手なので期待しないでほしいな。」
そして、続いて背が高く、露出が高い女が前に出た。
「ジェニーていいまーす。弓を使いまーす。」
どうやら、それだけで終わりらしい。
最後はアドルフだった。
「名前はアドルフ。片手剣と弓と魔法が使える。ギルドではハンターの依頼を受けてた。狩猟もしてたから斥候役を少しできる。」
そうして、全員の自己紹介が終わるとトロンは難しそうな顔をしながら、商隊の滞在場所に案内を始めた。




