フィアンセの失踪
滝田茜の事件簿
1.
滝田茜は、ぼんやりした頭でアパートの部屋で目覚めた。
夜中に突然、付き合ってる彼から、意味不明な電話があったのだが……。
歯をみがきながら、身なりを整えると、ポットからお湯を出して、コーヒーに口をつけた。……が、携帯電話をバックから取り出すと電話をかける。
呼び出し音が鳴ると、程なく所長の落ち着いた声が聞こえた。
思わず、泣きそうになるのを押さえたが、
「どうしました?」という所長に思い切って、
「彼から……昨日電話があって……なんか様子が変で……恐い人たちの声がして、わたし、わたし……」言いながら、自分でも涙が止まらなくなって、やっとそれだけ言うのが、精一杯だった。
「それで…そうですか……。」
そんな彼女の話を福屋は、親身になって聞いてくれたのが、彼女は嬉しかった。申し訳なくなってしまい小声になってしまう。
「彼が、心配ですね」
「 あ、はい……。」
「 分かりました。しばらくお休みにしていいです。何かあったら、電話してください。その代わり、1日に一度は電話すること。こちらは、大丈夫ですよ。」
「はい!ありがとうございます。」
電話を切ると、コーヒーを飲む。
あれから、何度も彼氏に電話したが、留守電になってしまう。
すると……呼び出し音が鳴っている。
「はいっ!」
突然、知らない男が電話に出たので、茜は思わず携帯電話を取り落としそうになった。
どうやら相手は、好意的ではないらしい。
あのぉ、そちらに彼……柳沢さんいらっしゃいますか?
何だと!
でもこの番号柳沢さんのはずですけど。
突然、ブツリと携帯は切られたのだった。
思わず、うっと声が出た。酷い!
やっぱりおかしい。
(つづく)




