第37章 退職報告メール
本日付で退職となりましたので、ご報告いたします。
パワハラを受けた被害者である私が
退職という結果になってしまい、
非常に残念に思っています。
しかし、この会社には多くの良い言葉がありました。
特に「素直」という言葉は、松下幸之助氏の著書とともに、
私の人生の指針となりました。
「その行いに胸がはれるか」
この言葉は、私が仕事をする上で常に大切にしてきたものです。
忙しいから、面倒だからと“やらない理由”を探すのではなく、
一時の感情で判断すれば後に必ず後悔する。
だからこそ、私は誠実に向き合ってきたつもりです。
信条:
向上発展は各員の和親協力を得るに非ざれば得難し。
各員至誠を旨とし、一団結社務に服すること。
今回の一連の出来事は、 果たして一致団結と言えるのか、
私は疑問を感じています。
添付のPDF資料は、
前回の会議で河田部長にお見せする予定だったものです。
現状を正しく理解していただき、
正社員登用について再検討していただくための資料でしたが、
部長は出席されず、話を聞く姿勢はありませんでした。
私の予想では、
社長は本来、様々な意見を受け入れる“開かれた姿勢”を持っているはずです。
しかし河田部長は、 「加藤を正社員にしない」 という一点だけを守り、
その意向を忖度し続けているように見えます。
私の考えは違います。
社長は会社を変えたいと本気で考えているはずです。
私は普段「がっちりマンデー!!」という番組をよく見ています。
成長している企業の社長が必ず言うのは、
“成長を妨げるのは部下の固定観念である” ということです。
私が配属された当初、
30年前に衰退したCADをまだ使い続けている現場を見て、
成長が止まっていると感じました。
互換性もなく、効率も悪く、ライセンス費用だけが高い。
それを疑問に思わない風土こそが問題でした。
さらに言えば、
○○地区の技術統括部は高学歴の集団でありながら、
ITスキル向上への意識が低く、
楠田さんが言う「 ITスキルを貪欲に学べ」
という姿勢からは程遠い社風でした。
今日が会社での最終日です。
どんなに優れた人であっても、辞めてしまえば、
初めは少しバタバタするかもしれませんが、
そのうち落ち着き、やがて忘れられ、
時が経てば「初めからそんな人はいなかったのでは?」
となるでしょう。
しかし、人に接し、人に貢献し、感謝される生き方をしていれば、
何らかの拍子で自分のことを思い出してくれるはずです。
自分のことを思い出してくれる——
こんなに素晴らしいことはありません。
人を導ける立場にいた人なら、なおさらです。
最後にひとつだけ言わせてほしい
「私が見たものを、見てください。」
私が見てきた現場、
私が感じた問題、
私が信じてきた改善の道。
それを見てもらえた時、
私は初めて報われると思っています。
最後に一つだけ。
河田部長。 貴方のアドレスは入れていませんが、
このメールを読んでいることは分かっています。
社内メールは関係者が閲覧できる仕組みであり、
支店長との会話から、
貴方が私のメールを読んでいたことも明らかです。
それなら── なぜ私を正社員にしてくれなかったのか。
数日前、佐久間さん、田辺さん、倉田さん宛に送ったメールは、
すべて“あなたに向けたメッセージ”でもあります。
私の意図は、伝わったでしょうか。
いつもありがとう。
会社では、一度きりの尊い人生を、
松下幸之助さんの言葉に守られていたのだと、
今になって強く感じています。
私は彼の掌の上で強がりを言い、
独りよがりになっていた自分を反省しています。
それでも── 皆さん全員に、心から「ありがとう」と伝えたいのです。
改めて、 最高顧問の楠田さん、社長の片岡さん。
お二人には、本当にありがとうございました。
加藤




