キャッチボール
流れる川を見ていたのは午後三時頃だった。犬を連れた散歩をしている人やランニングしている人、なんともいえない時間が流れていた。
流れる川の逆に行くと山があり、霧の強い森が現れてくる。そこは誰も近寄らず、動物ですらいないと噂されている。濃霧の日には、雨が降っているのかと言うくらい、湿度が高く、呼吸するたびに少し疲れたような気さえする。
その山から流れてきた水は、今度は海の方へと流れていく。
そうだ、海に行こう。
長い川の先に進むとそこには海があった。海辺はビーチとして賑わっていた。
そこでは機械じかけの本と学ぶ方法と書かれた看板が立っていた。俺は気になって、そこへ行ってみることにした。
「こんにちわ、看板を見たのですが、私でも実践できますかね」
「ええ、もちろん、機械じかけの本は持ってきた?そこの椅子に座って待っててちょうだい」
そう、女性に言われて、腰をかけて待っていると、独特と言える調子で歩いてくる男性が来た。
「どうも。サンと言います、あなたにはこれから機械じかけの本と学ぶ方法を教えていきます。どうぞ、よろしくお願いします」
「分かりました」
「では、まず解錠させてください」
本を起動させる。
「朝早く起きましょう」
少し戸惑いながらも本に音声認識させる。
「五六二〇、解錠」
「今は生産モードですかね、通常モードに変更してもらって、いいですか?」
「通常モードへ変更」
目の前の本は大きさが五倍になり、文字が読みやすくなった。
「思ったより進んでいますね、基準の五割り増しと言ったところでしょうか、職人のまとめ上げる機能は知っていますよね」
俺はこくりと頷いた。
「機械じかけの本が学んだことは私たちも学んでしまっていることで、お互いに学んでいってると言うのが基本です。話すと難しいかもしれませんが、岩があったとして、それを少し観察して、機会じかけの本にその感想を話すのです」
「それで学んだことになるんですか?不思議ですね」
「なります。ここに灰の入った箱を用意しました。実際に機械じかけの本と学んでみましょう」
サンに言われて、箱をよく観察した。砂のようなものがさらさらと流れているだけに思えたが、砂ではなく灰であることを思うと考えることは無くなった。
その感想を機械じかけの本に言うと、本はコツコツとページをめくった、反応はその機械じかけの本によって違うらしい。




