魔王様。ボクは恋敵?ライバル出現!?ぬるぬるの触手の魔の手が魔王様を襲う!!12
ボクとリゼは温かいシチューを食べているとリゼの頬を涙が伝っていた。
「……おいしい。こんなおいしい食事、もう長い間食べてなかった……」
リゼは泣きながらシチューを一心不乱に食べ進めていく。
その様子からリゼは相当、酷い生活をしてきたのだろう。何杯もシチューをお代わりしてお腹いっぱいになると満足そうな顔で椅子にもたれかかっている。
「ふぅ~、おいしかったぁ……」
「それは良かった。リゼ……帰るあてがないならこの魔王城に住みますか? ここならご飯もお布団もお風呂も毎日入れますよ? ねっ、ソアラ様」
セシルはボクの顔を見て言った。
ボクは頷くと驚いた様子のリゼの顔を見た。
「そうだよ! ボクは魔王だからね! 配下の生活を守る義務があるんだ! リゼ! お前もここに住んだらいいよ!」
「……でも、私にはフィオレア様が……」
そう言ってもじもじと悩むリゼにボクは微笑みかける。
「いいじゃん! ここに居ればいつかまたフィオリア? にも会えるかもしれないでしょ!」
「……うん。よろしく……お願いします」
リゼは遠慮しながらそう言って頷くと、嬉しそうに瞳を潤ませてボクに微笑んだ。
こうして新たな仲間が加わった……
ボク達がこの世界を征服する日も近い!!
荒れ果てた荒野に月明かりが降り注ぐ中、焼け焦げた地面の上にボロボロになった鎧と服を着た勇者パーティーが倒れている。
「……くっ、化け物め……」
「ねぇ~ねぇ~おにいさんたちぃ~、こんなに大勢でアンひとりに負けちゃうなんてぇ~ざっこぉ~。勇者なのに、こんなか弱い女の子に負けちゃうなんて恥ずかしくないのぉ~? ぷっ! アンなら恥ずかしすぎてぇ~死んじゃうかもぉ~。ねぇ~、いまどんな気持ちぃ~? ねぇ~どんな気持ちぃ~? ざぁ~こ、ざぁ~こ……」
恍惚とした表情の女の子の背中にはコウモリの翼が生えている。
金髪のツインテールをなびかせながら8歳くらいのその女の子が地面に倒れている勇者パーティーを紫色の瞳が見つめていた。
「ここは一旦退くぞ! 転移結晶!!」
勇者は地面に青い石を投げると姿を消した。
「あ~あ。逃げちゃった……まっ、いっか! ふふっ、また強くなったらアンと遊ぼ……」
女の子はそう言って勇者の居なくなった地面を見つめる。
「はぁ~、つまんない……どこかにアンを満足させてくれる豚さんはいないかなぁ~」
そう言って女の子は夜空に浮かぶ月を見上げていた。




