魔王様。スライムで勇者に勝つ?2
っと、勇者の手から瓶が全て地面に落ちた。
「あっ……」
「……へっ?」
地面に落ちて割れた瓶をボクと勇者が見つめる。
勇者が落としたバブルスライムの入った瓶の中身が少しずつ地面に広がっていく。
すると、バチバチとなってバブルスライムが一瞬のうちに大きく成長していく。
バブルスライムは瓶から出るなり一気に膨張をはじめ、ボクと勇者を飲み込んだ。
「あわわわ……」
「どうなってんのこれ!?」
ボクと勇者の全身に張り付いたバブルスライムが徐々にボクの着ていた服と勇者の着ていた防具を溶かしていく。
「きゃっ! な、なんなのよこれ!!」
勇者は慌てて胸を押さえてしゃがみ込んだ。
ボクも消えていく服を止めようと、全身を覆うスライムを剥がそうとするがスライムは体にベッタリとくっついて離れない。
「ど、どうなってんのよ……これ服や下着どころか鎧まで溶けていく……」
勇者の言う通りスライムは体全体に張り付き、着ていた服だけじゃなく鎧もどんどんと溶かしていく。
そして、ついに勇者の服や鎧もボクの服と一緒になってドロドロに溶けてしまった。
全裸になった勇者が白いスライム塗れのまま胸と股間を押さえてボクの方を向いた。
「もう……本当に最悪!」
勇者は両手で胸を隠しながら座り込む。
だが、それはボクも同じ気持ちだった。
スライムに裸にされて胸と大事なところを隠してしゃがんでいると、次第に瞳が涙で潤んできて、そこからはダムが決壊したように涙が瞳から止めどなく溢れてきた。
「うぅ……うぅぅ……なんで、なんでボクまでこんな目にあわなきゃいけないんだぁ~! うわぁああああああん!!」
急に泣き出したボクに勇者は慌てた様子であたふたしている。
「えっ……ちょっ、なに!? なんで泣くのよ!!」
「勇者をスライムで裸にして辱めてやるボクの完璧な計画がぁ~! 全部台無しだよぉ……うわぁああああああああああああん!!」
大粒の涙を流しながら、ボクはわんわんと泣いた。
「ちょっと落ち着いて……ねぇってば!」
「うわぁあああん!! 勇者がボクの瓶を取ったからぁああああああ!!
勇者がボクに声をかけたが、もうそんなことは関係ない。
「わかったから泣き止みなさい。ほら、ごめんって! 私が悪かったから!」
「ひぐっ、えぐっ……うん。ぜんぶ勇者がわるい……」
ボクは真っ白なスライムで体がベタベタになりながらゆっくりと立ち上がると泣きながら歩き出した。
「うぅぅ……まおうのボクをこんな目にあわせて……ぐすん……勇者め……ひぐっ……おぼえてろよぉ……」
そう言い残してボクは泣きながら姿を消した。
「……全裸でスライムまみれになって泣きながら帰って行った。一体なにしにきたのよ……本当になんなのよ。あの子は!!」
裸になった勇者は白濁としたスライムを全身に受けて、頭も体も白い液体に塗れながら胸を押さえて叫んだ。




