2話 魔王様。スライムで勇者に勝つ?
ボクは魔王城にある大図書館にいた。
そこで様々な魔物の図鑑を見て勇者に勝てそうなモンスターを探していた。
「あった! これだ! バブルスライム! えっとなになに……元々は体を綺麗にする為に品種改良したスライムで、その後度重なる品種改良によってゴミの処理などにも使われるようになった。金属や服や皮脂汚れなんかを食べるが、人体は食べないように品種改良されたため非常に安全である……よし。これを巨大化させて使えば、勇者に裸にされた恨みを返せる!」
分厚い魔物図鑑をボフッと閉じると、それを脇に抱えながら不敵な笑みを浮かべてボクは魔物図鑑を棚に丁寧に戻した。
「ふふふっ……待ってろよ勇者め。ボクが今度はお前を裸にして辱めてやる……ふはっはっはっ!!」
ボクは勝利を確信して高笑いを浮かべた。
昨日と同じ草原に転移すると、ボクは瓶に入ったバブルスライムを見て思わず笑みを浮かべてしまった。
こいつを使ってボクがやられたように勇者を丸裸にして辱めてやるんだ。
「ふっふっふ……ふはっはっは!!」
勇者が泣いて謝る姿を想像して、ボクは高らかに笑い声をあげる。
「おい……またお前か、魔王を名乗る変な子」
「うわっ! と、突然現れるなよ! び、び、びっくりするだろ!?」
目の前に突然現れた勇者がボクを蔑むような目で見下ろしていた。
「それに、誰が自称魔王を名乗る裸ん坊だ! ボクを裸にしたのはお前じゃないか!!」
ボクは身長が高い勇者を見上げながらビシッと指差し抗議をする。
「はぁー、もういいよそれで……今日はなんの用なの? 勇者ってあなたが思ってるほど暇じゃないのよ? 用があるなら早くしてもらえるかしら……」
勇者は呆れた顔でそう言った。顔を真っ赤にしたボクは脇に抱えたバブルスライムが入った瓶を勇者に見えるように前に出した。
「ふっはっはっ! 余裕でいられるのも今のうちだ! これを使えばお前はボクに泣いて謝ることに……」
「……なにこれ?」
ボクが自慢げに瓶を見せびらかしていると、勇者が手を伸ばしてそれを奪い取ってしまった。
「白濁としてどろっとした……これってスライム? これゴミ処理用のバブルスライムじゃないの?」
「ああ! だめぇー! 返せ、返せよー! 返してぇー!」
必死にジャンプして取り返そうとするけど、勇者の手は届かない。
涙目になったボクが必死に勇者に奪われた瓶を取り戻そうとぴょんぴょんと跳び回っていると、勇者は更に瓶を高く上げた。
「ちょっと! こんなの子供が持ってちゃ危ないでしょ! 私がちゃんと元の場所に返してくるから!」
「それボクのだぞ! それボクのなの! 返してよぉ〜!」
勇者に取られた瓶を取り返そうと必死にジャンプするが、手を高く上げた勇者の持っている瓶には届かない。




