魔王様。メイドになるにゃん?3
その横で涙を流しながら小さな声でソアラも返事をした。
エクセリアとソアラは猫耳と猫尻尾を付けた可愛い制服に身を包んで、まるで本当の猫のような姿でとても可愛らしい。
さっそく小太りと痩せたガリガリのメガネを付けた男性が入店してきた。
なにをしたらいいのか分からずにソアラは店内をオロオロとしていて、どうしていいのか分からないような様子だった。
そんなソアラの手を引くと、エクセリアは客に丁寧に頭を下げた。
「お帰りなさいませ! ご主人様! 私達がご主人様を癒して差し上げますにゃん! ……ほら、あんたも」
「お、おかえりなさいませ! にゃん!」
エクセリアにメイド服を引っ張られてソアラも慌てて頭を下げた。
「あれ? 見ない顔ですなぁー。金髪碧眼の美少女メイドさんと。銀髪紫眼の美少女ロリっ子メイドさんですか! いいですぞぉー」
「新人メイドちゃんか! 2人とも可愛いねぇ〜。デュフッ! オジサン、指名しちゃおうかなぁ〜」
「もちろんにゃん! ぜひ指名してくださいにゃん!」
「……にゃん」
ノリノリのエクセリアとは正反対に、ソアラは照れたように頬を染めてうつむく。
「それじゃー、我は金髪碧眼の美少女メイドさんを指名しますぞぉー」
メガネを掛けた痩せている男性がエクセリアを指名する。
「デュフッ! それなら、我が輩は銀髪紫眼のロリっ子の君を指名しちゃおうかなぁ~」
小太りのメガネを掛けた男性はソアラを指名した。
エクセリアは営業スマイル全開で痩せた男性の腕に手を回すと席へと案内する。
「ご注文はお決まりでしょうかにゃん?」
「そうですなぁー。なら我はこのメイドさんの愛が一杯ちゅきちゅきパンケーキをお願いしますぞぉー」
「ご注文ありがとうございますにゃん! 少々お待ちくださいにゃん!」
注文を受けてキッチンへと向かったエクセリアだったが、内心ではかなり苛立っていた。
(なんで私がこんなことをしなくちゃならないのよ! 私は勇者なのに!)
そんなことを思っていたがのだが、しかし、今はとにかくお金が必要だ。ここは我慢するしかない。
一方、小太りのメガネを掛けた男性に指名されたソアラは完全に固まっている。
手足を動かせずただ震えるだけだった。
「デュフッ! 猫耳ロリっ子メイドさん、大丈夫ですかなぁ~?」
心配そうに声をかける男性に対して、ソアラは必死に言葉を絞り出す。
「……だいじょうぶです……にゃん」
だが、それが精一杯だった。
話し掛けられてさらに緊張が高まったのか、ソアラの体が小刻みに震え出す。
そこにエクセリアがやってきた。




