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ハズレ属性「光魔法」を鍛えまくったら、レーザーが出ました  作者: LA軍@呪具師(250万部)アニメ化決定ッ
第1章『光の少年』

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第44話「VS ネームド(後編)」

「はぁはぁはぁ……」


 谷間に迫る森の中。

 野営地からほど近いそこに入ったはいいものの、そこは野営地以上に地獄だった。


「くっそ……。森で戦おうってのは安易だったか?!」


 たしかに野営地よりは周囲を気にせず戦えるようになったライト。

 しかし、今まで経験値してきた森林内戦闘と、今回の対『谷の番人』戦は様相が違いすぎる!!



『グルアッァァアアアアア!!』


「うおッ!」


 ドガーーーーーーーーーーーーン!!


 次々に降り注ぐ大木の弾丸に散弾!

 森の木々は何の障害にもならず、むしろライトを狙う無数の刃となって襲い掛かって来る!


「怪獣大決戦かよ!」


 ドカーーーーーン!!


 どうやら、『谷の番人』にとって、森の木々など折り散らかしてぶん投げてナンボと言った代物らしい。


「くっそがぁぁ!」


 ズキューーーーン!


 遠くから投げられた大木がライトの直撃コースに入る!

 それを辛うじてレーザーの直激で焼き切るも、真っ二つになったそれがライトの体を挟んで左右それぞれに地響きとともに降り注ぐ。


「っぶねぇ……!」


 ズシン、ズシン、ズシン……!


「この化け物がぁぁ!」


 ジャキンッ────!


 森の樹冠から覗くあの巨大なシルエットに狙いをつけるライト。

 堂々と近づいてくるとはいい度胸────ふっ。


「き、消え────…………いや、下からくるだとッ?!」


 ズドドドドドドド────ッ!


 ライトに狙われているのを察したのか、それとも、たまたまか今度は背丈が木々に隠れる低い姿勢で突進ッ!

 しかし、ただの突進にあらず──……!


「つ、津波かよ!?」

『ゴルァァッァァァアアア!』


 ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ──────!


 パワーofパワー!


 まさに力任せに木々をタックルでなぎ倒しながら突っ込んでくる『谷の番人』!

 その突進の前には、跳ね飛ばされた木々がゴロゴロと周囲に木々を巻き込んでさらにゴロゴロと────!!


 もう、ゴロゴロのゴロゴロゴロゴロゴロゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ──!!


「こなくそっ!」



 ドキューーーーーーーーーーン♪



「って、焼け石に水かぁぁあ!」


 転がる木々に向かってレーザーを発射!

 だが、いくつかの木々を焼き切れたのみで、新たに追加される倒木津波(・・・・)にライトの攻撃があっという間にかき消される。

 そして、それを纏うように突っ込んでくる『谷の番人』はまったくの無傷……!


「この、化け物がぁぁああ!」



 ドキューーン!


  ズキューーーーン♪


   パキューーーーーーン♬


「ちいぃい……威力が足りないッ!」


 レーザーの攻撃力は10000越え!

 だけど、敵の物量はそれ以上──!


 つまり、


 連射じゃない!

 乱射でもない!


「──チャージショットじゃなきゃ貫けねぇぇ!!」



 過去にアグニールめがけて、地下から地上まで貫いた、

 あれ(・・)クラスの威力じゃないと────!



「ぅぅぅぅぉおおおおおおおおお────!」



 雄たけびを上げるライト!

 そして、目前に迫る倒木津波と、『谷の番人』!


 ──その到着までほんの猶予もない!


 だが、


「舐めるなぁぁぁあ!」


 がッ!

 肩足を後ろに踏ん張り、もう片方が膝立ちに!

 そして、左手を右手に添えて──────……チャーーーーーージ!!




   キュィィィィイイイイン……!




「魔力充填──5%……10、15──30……」




  ゴゴゴゴゴゴゴゴゴロゴロゴロゴロゴロゴロッッッ!!

  『ぐるぁぁぁぁぁぁぁあああああああああああああああ!!』



 魔力に魔力を重ねて充填!

 しかし、その間にも猛烈な勢いで迫りくる倒木の津波とあの漆黒のオーガ!


 そして、ついに跳ね飛ばされた土塊がライトの顔に当たり──さらには、倒木の先頭集団がライトに当たるその寸前……!

 まさに一切の瞬きもせずに、その瞬間までチャージに努めたライトが、さらに目を見開くッッ!!



   ……くわっ!



「おーらぁぁぁああ!」


 肘をたたんで狙撃姿勢!

 そして──ジャキィィイ……ン!



 ──チャーーーーーーージ・レィィィザァァァアア!



「……それも、たぶん魔力充填46%くらいッッ!」


 これならどうだ!! うぉぉおおお!



 ──発射ぁぁあっっっっっ!



  ズキューーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーンッッ♪




 ぶわっっ!!


 夜気の中に含まれる水蒸気が一瞬にして蒸発し、ライトの周りに靄が発生!

 と同時に、すさまじい反動がライトを襲う!

 そして、眩い光が闇に閉ざされた谷間の森に光り輝くとともに、ガツンッッ! と、ライトの腕が発射の反動で跳ね上がろうとする!


「ぐッ!」


 だが、それを憤怒と腕力と姿勢と根性で抑え込むライト。

 すると、チャージショットの勢いでライトの体が反動とともに、ズガガガガッッ──と、後ろに下がり電車道ができる。


「ぬぎぎぎ……!」


 まだだ!

 まだ貫通してねぇぇえ!


 ガンガンに減っていく魔力を実感しながらも、

 凄まじい質量をもった倒木の津波がライトの目の前で焼き切れ、爆裂し、粉みじんに吹き飛んでいく。

 ……そして、ついに津波のごとし倒木の群れを貫通しきると、遥か遠くの地面に突き刺さり大爆発!




  ドッカーーーーーーーーーーーーーーーーーン!!




 ──森中が震える大音声!

 そして、射線上の大地が抉りに抉れて、大爆発ッッ!


 それは見慣れた光景でもあったが、いかんせん距離が近すぎた。


「ぐがッッッ……!」


 そして、ライトめがけて、バラバラと降り注ぐ木片に土塊!

 時々、『谷の番人』の死骸──────…………????


「……あれ?!」


 な、なんで?

 どういうことだ?!


「……な、なぜ、奴の死体がない?!」


 濛々たる土煙と爆発の先、

 外しようのない距離でぶっ放したはずが、奴の死体がない!!


(ど、どこにいった?!)


 たしかに。

 たしかに、直前までいたはず──────……んなっ!!


「──なにぃぃぃぃぃいいッ!?」

『ふしゅぅぅうう……!』


 レーザーの熱が冷めて、靄が腫れるとその先に浮かび上がったシルエットに思わず声を漏らすライト。

 なせなら、そこにあったのは信じられない光景。

 たしかに、射線上に捉えてブッ殺したはずの『谷の番人』が、全身から湯気を立ち上らせながらも、五体満足で生きていたのだ。


 ……こ、こいつっっ!!


「ど、どうやって……」


 いや。

 そもそも、いつの間に躱しやがった?!


『カハァァァ……!』


 ライトの疑問に気付いたのか、 

 凶暴な相貌でニィィ……と、不敵に笑う『谷の番人』。


 挑発するように、顔の前でチッチッチッ! と指を振る。

 ……まるで、甘いぜ──と言わんばかりに!


「まさか、こいつッ!」


 ──いや、そうか……!

 そうなのか!!


 ライトはライトで、一瞬で理解する。


 つまり、レーザーの威力は強烈極まりないが、その実──射線が直線の場合は、当たり判定は「点」でしかないのだ!


 だからほんの少し……、

 ただのほんのわずか一歩だけでも、その点の射線から脇に逃げれば躱すのはさほど難しくはない────!!


 だけどそれに気付くか?!

 そして、実行してみせるか?!


「しかも戦闘中にぃぃぃいい──?!」


 なんという戦闘センス。

 なんという度胸────!!

 なんというでたらめッッッッ!


 ライトが、至近距離でど真ん中に撃つと読んでの行動ッッ!


 だが、実際にできるとやるでは大違い。

 しかし、『谷の番人』は、あの一瞬でライトのレーザーの射線を読み切り、発射のタイミングを見計らうと、その射線上から逃れてみせたのだ!!


「じょ、上等じゃねーか……!」


 まんまと必殺の距離のレーザーを躱してみせた『森の番人』が、今度こそ会心の笑みを浮かべつつ、ライトに迫る!!


 ──ズシン、ズシン、ズシンッ!


 攻守交替……。


『ゴガァァァアアアアアアアア!!』


 ……ビリビリビリビリビリッ!


 叫ぶや否や──ドンッッ!!

 『森の番人』は一気に距離を詰めるべく、両手にハンマーを作って飛び上がると、そのまま隕石のようにしてライトを叩き潰さんとする。


 ……もはや小細工なし、

 もやはただの物理──!

 もはや……、

「……くッッそがぁぁああ!」



  ぶわぁぁああ……!



 中空の『谷の番人』と目が合うライト──。

 そして、あと数秒で、あの一撃が降り注ぐ……?!

 それをライトは……ライトが──……。

 

 って、

「──こ、こんなの躱せるかよぉ!!」


 ライトのレーザーが点なら、コイツのハンマースレッジも点だろうさ!

 だけど、これを躱すのなんてできるわけ────。


「ねぇっぇだろぉぉおお!」


 ジャキンッッッ!!

 だった、こうするまで!!


 ──真っ向から迎え撃つッッッ!


「そうとも、何が攻守交代だ!……こっちのターンはまだ終わってねーぞッッ!!」


 ……そうとも、

 チャージショットは────まだ打ち切っていない!!



   ──……ィィィィィイイイイン!



 反動で腕が跳ね上がったレーザーは、未だ射撃中!

 そして、情報の樹冠を焼き、今も空に向かって発射されてはいるが、魔力充填の総量からしても、いまだ継続中なのだ!!


 だから、


 その凶悪な科学の光は、いまだライトから迸っている!


「……そうとも、まだだ! まだこっちの攻撃はまだ終わってねぇぇぇぇぞ!」


 まるで光の大剣でも振るうかのように、

 ライトが左手を添えて、上空に打ち出したそのレーザーを撃ち出している右手を振り下ろす!!


 もちろん、中空の『谷の番人』めがけてッッッ!


 死ねッッ!

「この、クソ鬼がぁっぁあああ!!」


 ──空中で躱せるもんなら、躱してみろッッ!


「うらぁぁぁあああああああああああ!!」

『ゴルァァァアアアアアアアアアア!!』


 空中で交差する科学と物理ッッ!!

 レーザー VS 筋肉


 それが一瞬の時を経て、指呼の先で交差すると──────!!



    ──ビュワンッ!!



 森の闇を切り裂く科学の光が、『谷の番人』に命中するッッ!!


「へっ! 光の速度に敵うかよ────!」


 ぶしゅっ! と、どす黒い血が飛び散り、『谷の番人』の片手がちぎれ飛び、あの筋肉に守られた腹部が……ブシュウウウウウ!! と血を吹き出すところまでスローモーションで見える。



  ……勝った!



『ゴガァァア!』

 激痛に顔を顰める『谷の番人』。


 ははははは!

 勝った……。


 勝った──!!


 ネームドモンスターに勝ったぞぉぉぉおお!


「ぉぁぁぁああああああ!」

 ──このまま、撃ちっぱなしで……その首をぉぉおおおお!



  ヒュゥゥゥウン…………。



「なっ?!」

 だが、そこで打ち止め──!!

 あと一歩を首を切り飛ばせるそこで、注ぎ込んだ魔力が尽きるッ!


「ファァッァァァ〇!!」


 そして、無茶苦茶な軌道を描いて空間を薙いだチャージショットがついに、ヒュゥゥン……と薄い光の粒子となって消えていった。

 あと一歩で……!

 本当にあと数センチで──……。


「……だけど、これで俺の勝ちだろうがぁぁぁあああああ────!」


 まだだ! まだ終わっていない!


 もう一発だけなら打てるッッ!

 あと一発で勝てる!!


 そして、

 最期の一発分の魔力くらい残っている!!


「──死ね、おらぁぁああ!」

 着地した瞬間の、

 硬直時のその時に、その脳天にこのレーザーを叩き込んでやるあぁぁああ! とばかりにライトが死力を振り絞って最後のレーザーをぶっ放そうとしたその時!


『ゴガァァァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!』


 ビリビリビリビリッ!


 超至近距離。

 そして、文字通り『谷の番人』の最後の力を振り絞った一撃が振り下ろされる!


 空中からの重力を乗せた一撃!

 そして、全体重と、全筋力を乗せた一撃!


 それはライトに当たらずとも、オーガ種の最大最強の力を込めた一撃が、そのまま大地に命中したらどうなるかッッ!!





   ──こうなる!




 ドカーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーンッッッッッッ!


「ぐぁぁああ!」


 まるで、地面が噴火したかのような威力!

 無茶苦茶巨大なクレーターを穿つその一撃に、ライトが立ち位置ごと吹き飛ばされる。

 そして、舞い上がる土砂に体中を(したた)かに撃ち抜かれ、ついに──。


「ガハッ!」


 フワリト浮かぶ体。

 致命的なダメージを負ったわけではなかったが、

 すでに魔力欠乏から来る眩暈を感じていたライトに、この予想外の範囲攻撃は防ぎようがなかった。


 ただ、地面ごと吹っ飛ばされただけ。

 ただそれだけだが、


「──ど、どわぁぁっぁあああああああ!!」

『グルォォォオオオオオオオオオオ!!』


 巻き上がった土砂とともに、散々に散らかした焼き切れた倒木の山が今まさにライト達目掛けて降り注ぐ!!



「じょ、冗談、だろぉぉおおおお……!」



  ドォォォォオオオオオオン!!


   ………………。


   …………。


   ……。


「かはっ!!」


 土の中から顔を出すと激しくせき込むライト。

 気が付いた時、ライトは土の臭いとともに闇の中にいた。頭がグワングワンと揺れ動くし、物音が反響して酷い気分だ。


 ──脳震盪でも起こしたのか、クッソ神父の笑い声やサーヤとアグニールの饗宴すら聞こえる様だ……。


 ッッ!


「そ、そうじゃない!」


 なにがどうなった……?


(たしか、さっきまで『谷の番人』と……)


 ──どうやら、一瞬意識が遠のいていたらしい。

 いや、そも一瞬なのか?


「わ、わからない……」


 時間を知るための術はライトにはない。

 周囲は相変わらずの暗闇だし、周りにあるのは土塊と倒木と、その燃えカスと──。


 ……はっ!


「や、()は────?!」

お読みいただきありがとうございます。


また、新作も更新しました。


『ミミック』転生~ダンジョンで冒険者を食べてたら、いつのまにか「厄災の箱」呼ばわりされてたけど、希望はありません~


下記にリンクを貼ったので是非ともお読みいただければ幸いです!

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