#60「いつもは基本マッパよ?全裸よ?」
国洞1号最下層での激闘から三ヶ月。
その間に街中にクリスマスソングが流れ、除夜の鐘が響き、節分の豆まきの声が聞こえたが……ティアの部屋ではずっとゲームのBGMが流れていた。
最上ティアはダンジョンから帰還したあとは、自宅に引き篭もってゲーム三昧の毎日だった。
「あのう、ティアさん……家からまったく出ないで食事とかってどうしてるんですか?」
「買い物も行かないし宅配ピザがメインかなー? ハンバーガーを配達して貰うことも多いよー」
「毎日ですか!? あまり栄養バランスが良いとは思えないですが……」
今日はティアのマンションに、AV女優の姫澤はるかが遊びにきていた。
外はまだ寒い季節なので、姫澤はるかは白いセーターの上に上品なキャメルカラーのチェスターコートを羽織ってやってきた。
そんな彼女を出迎えたティアは、黒のタンクトップに黒のショーツというほぼ下着のような格好だった。
目当てのアイテムを求めてゲーム内のダンジョンを周回中のティアは、コントローラーを操作しながら姫澤はるかと話している。
「やんなきゃいけないゲームたまってたんよねー。ゲーム以外やりたくないの。洗濯もあんましたくないからいつもは基本マッパよ? 全裸よ?」
「3ヶ月間、ずっとこういう生活を……」
「朝起きてからのー、ゲームして、昼飯食って昼寝して、ゲームして、夕飯食って、ゲームして、オネイニーしてから寝るってのを、ずっと繰り返してるー!」
「オ……オネイニーはともかく、ティアさん! 思いっきりダメ人間になってますよ! あのカッコ良かったティアさんをみんなが待ってるんですから、そろそろ配信してもいいんじゃないですか?」
ティアはコントローラーをテーブルに置いた。
姫澤はるかが来てから頼んだピザの残りを食べて、コーラを飲む。
「配信はいつか再開するよー。待ってくれてるのは嬉しいし。でもさ、あーし、AV女優が仕事で、配信は趣味なんよ。だから、みんなが待ってるからって無理してやりたくないの。趣味まで仕事みたいになっちゃったら、あーし、いつ遊べばいいの?」
体を休めたかったこともあってしばらくAVのオファーは断っていたが、次の撮影の予定は先日決まっていた。彼女は配信でいくら稼げようともAV女優をやめるということは考えていなかった。
ティアは唐突にタンクトップを捲り上げて、胸を露出させた。
「な……な……なにしてるんですか!?」
「見て見て、デカくなってるっしょ? 次の現場でもみんなびっくりすると思うんよねー。ってかさ、最上ティアって検索欄に入れると、“最上ティア 貧乳”とか“最上ティア ちっぱい”とかふざけたサジェストが表示されるんだけどさ、これでもう、そんなことなくなるよ!」
「たしかに……前よりかなり大きくなってますね」
そう言ってから姫澤はるかはティアの正面に回り込み、なぜか正座した。
「……ティアさん。すごく言いにくいのですが……体重計に最後に乗られたのはいつ頃ですか?」




