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#16「スキルP貯まりまくってたし!」

「いっしょーネットのたからもの〜♩」



巨大カタツムリの心核でお腹がいっぱいになってご機嫌の最上《もがみ》ティアは歌いながら湿地帯を歩いている。



“変な歌を歌うなwwww”

“あのケツ動画はネット史の重要文化財になるだろうけどさwww”

“誰か止めろ!”

“世界中が観てるの忘れてる説”

“お前やりますねぇスギ”

“意外とうまいのが笑えるw”



彼女は転移ポータルを探していた。


この湿地帯ダンジョンには下層へ降りるための階段のようなものはなく、転移ポータルから別な「箱庭」へと移動する仕組みになっている事はすでに知られていた。


スマートコンタクトによって空中に表示されているように見えるコメントを読んでいたティアは、とあるコメントが目に止まる。



『ヴァルディアス戦で獲得したスキルポイントってかなり多いと思うのですが、そのポイントで新しいスキルは習得しましたか?』



モンスターを倒すと自分の血液の中に「スキルポイント」と呼ばれるものが蓄積されていく。

各都道府県にあるダンジョン庁の施設では専用の測定器を使って貯まっているポイントの数値が確認でき、ポイントを消費して新しいスキルを習得することもできた。


習得できるスキルには、任意に発動させるアクティブスキルと、常時効果が続くパッシブスキルがある。

ただし、どちらもダンジョンの中でしか発動しない。


ダンジョンには経験値やレベルのような概念は存在しなかった。

ダンジョンシーカーは様々なスキルを覚えていくことで強くなっていくのだ。



「ダンジョン庁で確認してないからスキルポイントがどんくらい入ったのか知らないし習得もしてないよー。マジであのドラゴン1匹だけでそんなに稼げたの?」



“そりゃSSS級だし……”

“ソロ討伐は過去に例がないからデータはなさそう”

“個体によって差はあるけど250Pくらいは入ってるかと”

“たぶん各属性の最強クラス魔法が覚えられると思う”

“というか確認してないのかw”

“俺ならソッコーで調べに行くわwww”

“ティアさんはどんなスキル持ってるんですかー?”



「あーしはこれまで雑魚狩りしかしてこなかったから全然スキルポイント貯まんなかったし、「身体強化系」とか「剣術補助系」の基本スキルしか覚えてないよん」



“基本スキルだけでヴァルディアス討伐って……”

“しれっととんでもない事言ってる”

“全世界のシーカーが泣いてる”

“俺現役シーカーだけどショック受けてる”

“このダンジョン終わったらすぐにポイント調べたらいいよー”

“次は中級スキルを複数習得するのがセオリーかも”



書き込まれていくスキルについてのコメントを読みながら歩いていたティアは転移ポータルの前まできた。

しかし彼女はポータルには入らず腕を組んで「うーん」と唸り、そしてドローンのカメラに顔を向けた。



「貯まってるスキルポイントがめっちゃ気になるからあーし帰るわ! なんかこんなダンジョンどーでもよくなっちゃった! どーせこれまで来た道を戻るだけだし観てもつまんないっしょ? じゃあ終わりにするねー!」



コメント欄には「は?」「え?」「ちょ」と短い文字がいっせいに流れる。

ティアはドローンに近づき、背面のスイッチを押した。



『このライブ配信は終了しました』



“えええええええ???”

“そんな終わり方の配信って……”

“そこまで来てやめるのかよ!”

“こんなダンジョンとかどーでもいいって言っちゃったよw”

“フリーダムすぎるwww”

“ティアちゃんがどんなスキル習得するのかめっちゃ楽しみ”

“最強火炎魔法とか似合いそうじゃない?”

“剣術系の最強スキルも見てみたい”

“最上ティアに振り回されてる俺らwwww”

“おつかれー!”

“次の配信が待ち遠しい”



そしてティアは――――意外な方法でスキルを決めることになる。

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