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絶滅危惧色はオリジナルの種! 17件のデータから盗む、新しい「薔薇色」の紡ぎ方

1.どのくらいの利用度か?みんながイメージする「薔薇色」の定番をデータで紹介!



薔薇色は長単位で17件ヒットしました。利用度はかなり少ない、珍しい表現となります。


私がイメージしていたのは、薔薇色の未来。よく使われているようなイメージがあったので、件数もあるかと思っていたのですが、思ったより少なくて驚きました。「薔薇色の未来」は、0件です。


では実際どんな言葉があるかというと、「キャンパスライフ」「人生」「結婚」でした。未来という広すぎる言葉ではなく、人生の中の『特定の輝かしいライフイベント』に対してピンポイントで使われているようです。


具体的な人生の転機にこそ、この特別な色は割り当てられるようです。


誰もが一度は耳にしたことがある『薔薇色の未来』。しかし、現代日本語を詰め込んだデータベース『少納言』で調べてみると、なんと結果は0件。私たちは普段、使っているようで実は使っていない、幻の定番だったのです。


では、わずか17件の狭き門をくぐり抜けた『薔薇色』の本当の相棒は誰だったのかというと……「頬」でした!


幸せを象徴する薔薇色の頬。しかし、これも細かく見ると、そう単純な話ではなさそうです。



2.どのような言葉と対になっているか?



①抽象的なもの(比喩)

→4件 内訳は「キャンパスライフ」1件、「人生」1件、そして実際の空の色ではなく、言葉の意味や思い出の象徴として使われていた「朝」が2件です。


②実際の具体的な「色(物質の色)」

→13件。内訳は、「頬」4件、「唇」2件、「服」2件、「冬の朝日に染まった山」1件、「顔」1件、「耳」1件、「胸の頂」1件、「歯磨き粉のチューブ」1件。


特に幸せや恥ずかしいといった感情から使われることが多いようです。また、それらが魅力的だという意味を込めても使われています。


歯磨き粉のチューブは例外にも思えますが、意外な形で実は使われていたことがわかります。



3.どのような感情や状況で使われているか?



① 【視覚の顔】実際の「モノの色」としての薔薇色(6件)


・ファッションや身体の色(4件)

→「服の説明」1件、「後で会うときの服装」1件、「顔」1件、「耳」1件 です。


・健康的で魅力的なパーツの色(3件)

→「唇」2件(年を召した婦人の唇、もう1件は歯磨き中の唇です)、「胸の頂」1件 です。


・日用品としての色(1件)

→「歯磨き粉のチューブ」の色です。


・実際の自然の景観(1件)

→「冬の朝日に染まった山」の色です。


歯磨きでまさか2件もあるとは思いませんでした。このような日常から、冬の朝日に染まった山という美しい描写まで、幅広く使われていることがわかりました。


② 【感情・エロスの顔】恋心と大人の人間模様

(7件)


・照れや高揚感による赤面

→「恥ずかしい」で2件、「デートに誘われた」で1件です。


・大人っぽい、あるいは情熱的なエロス

→「色仕掛け」で1件、「愛撫」で1件、「結婚」で1件です。


・感情

→「胸がキシキシしている」で1件です。こちらは、

『他人が薔薇色の頬をしているのを見て』胸を軋ませています。


③ 【抽象・イメージの顔】希望と異世界の薔薇色

(4件)


・「大学生活に希望を見ている」で1件、「回想」で1件、「言葉を教えている」で1件、「異形の姿の説明」で1件です。


「異形の姿の説明」は、現実離れした存在の不気味さや異質さを際立たせるための「薔薇色」かもしれません。



「薔薇色の頬」は、幸せの象徴です。しかしそれが『誰かの目線』になったとき、「胸をキシキシ」と軋ませることもあります。


「大学生活に希望を見ている(自分の薔薇色)」や「デートに誘われた(自分の薔薇色)」という光のデータが他に並んでいるからこそ、この「他人の薔薇色を見て痛む胸」というデータの存在感が、17件の中で一段と美しく、切なく際立ちます。


「薔薇色」という言葉そのものは暖かくて幸せな色なのに、その文脈においては、その主人公にとって「世界で一番冷たくて、痛い色」になっている。言葉は「使われる文脈」で色が反転します。



4.「五感」の表現とどう結びついているか?



直接的な五感にまつわるものは0件でした。でもわずかですが、【触覚・味覚・体感覚】肌で感じる薔薇色

は4件ありました。


・「愛撫」→相手の胸の頂を口に含む、という【触覚・味覚・口内感覚】肉体のダイレクトな接触と、湧き上がる熱量(体温)を「薔薇色」という言葉が表現しています。


・「胸がキシキシしている」→心臓のあたりが締め付けられるような【体感覚(内臓感覚)】。他人の頬の薔薇色(視覚)が、自分の胸の痛み(体感)へと変換されている、非常に強い感覚の結びつきです。


・「色仕掛け」「結婚」→男女の距離の近さや、肌の温もり、高揚感といった【触覚・体感覚】が背景にあるシチュエーションです。



5.「ポジティブ/ネガティブ」の反転現象



「薔薇色」は大体において、幸せでポジティブなイメージです。しかし、それがネガティブなイメージに反転しているものがありました。


それは、「胸がキシキシしている」「異形の姿の説明」の2件です。


『他人の薔薇色は、主人公の胸を物理的に軋ませる』


「薔薇色」という言葉は、幸せを代表する色です。また、健康的、魅力的など目を楽しませる視覚的な色でもあります。


しかし、他人の幸福な薔薇色を目撃したとき、人の心には「羨ましい」「妬ましい」などさまざまな嵐が吹き荒れます。


ストレスやショックで胸が締め付けられ、肉体的な痛みをともなう反応を引き起こすことも。


作者が『嫉妬した』という感情の言葉を使わず、あえて「胸がキシキシする」という【体感覚】の言葉を選んだのは、他人の薔薇色がそれほどまでに『リアルな痛みを伴う肉体的な衝撃』として主人公に突き刺さったからではないでしょうか。


「異形の姿」も、「胸がキシキシしている」と共通しています。それは『ポジティブからネガティブへの反転』です。本来、幸福や美しさの象徴であるはずの薔薇色が、この2件においてだけは、主人公を傷つける残酷な刃(他人の幸福)や、おぞましい怪物の不気味さを際立たせるための色として、真逆の牙を剥いているのです。



6.「色名のグラデーション」と「言葉の選ばれ方」



①「赤」


赤色は、6819件がヒットしました。


『生活を支える「赤」と、ドラマを創る「薔薇色」』


6,819件という圧倒的な数を誇る王道の「赤」。その使われ方のトップグループを覗いてみると、そこにあったのは『赤ちゃん』『赤字』、そして多くの『地名』や『名字』『食べ物』でした。


ここから分かるのは、「赤」という言葉が、私たちの命の誕生から、日々の家計、暮らす土地、食べるものまで、現実の生活のすべてを包み込んでいるということです。


しかし、わずか17件の「薔薇色」には、こうした『生活の匂い』が一切しません。名字になることも、地名になることもなく、家計の厳しさを表すこともない。


「赤」が私たちの【現実の土台】を支える色だとしたら、「薔薇色」は退屈な日常から私たちを少しだけ浮き上がらせてくれる【ドラマの特効薬】のような色。ヒット数の圧倒的な差は、そのまま『日常の量』と『特別な瞬間の量』の差だったのです。


②「朱色」


朱色は、34件ヒットしました。


『神聖なカタチを遺す「朱色」と、心に波を立てる「薔薇色」』


ここで目立っていたのは、温泉地の楼門や東京タワーといった『建造物』、そして甲冑や工芸品といった、歴史や伝統を感じさせる『形ある物質』でした。古来より魔除けの色とされてきた朱色は、今も私たちの目の前に【確かな物質おまもり】として存在しています。


しかし「薔薇色」のデータにあったのは、他人の頬を見て胸をキシキシさせる切なさ、恋の衝動、キャンパスライフへの希望といった、目に見えない【人間の感情や体感覚】でした。


同じ数少ない特別な赤でありながら、「朱色」は時を超えて遺る『外側の世界(物質)』を彩り、「薔薇色」は一瞬で移り変わる『内側の世界(心)』を震わせます。


③「茜色」


茜色は、10件ヒットしました。


『終わりを惜しむ「茜色」と、始まりに胸を焦がす「薔薇色」』


夕焼けの代名詞である「茜色」を調べてみると、誰もが知る有名な色でありながら、ヒット数はわずか10件という驚きの結果になりました。


その内訳は、夕陽に染まる海や小川、夕暮れ、そして夢など、すべて【一日が終わり、世界が闇に溶けていく一瞬の美しさ】に捧げられていました。茜色は、去りゆく時間を愛おしむ「郷愁の赤」なのです。


かわって「薔薇色」にあったのは、冬の『朝』の山、大学生活への『希望』、そして男女の情熱的な『愛撫』や、他人の幸福に『胸をキシキシ』と軋ませる強烈な感情でした。


同じ10件台という極めて希少な輝きを持つ2つの赤ですが、そのベクトルは真逆です。


『茜色』が、静かに幕が閉じていく現実を優しく見送る色だとしたら、『薔薇色』は、これから何かが始まる予感に、私たちの肉体や五感を激しく覚醒させる色なのです。



7.「生年代(世代)」による使い分け



『絶滅危惧種のロマン。私たちはいつから「薔薇色」を失ったのか』


現代日本語のデータベース『少納言』を叩いた結果、驚くべきことに、1980年代以降に生まれた世代による「薔薇色」の日常使用例は、なんとゼロ(0件)でした。


この色を最もドラマチックに、そして切なく使いこなしていたのは『1940年代生まれ』を中心とするシニア層の作家たち。彼らは「胸のキシキシ」や「キャンパスライフへの希望」を、この色に託して語っていたのです。


そして現代において、この色がどこで生き残っているかというと、2000年代後半以降に発行された『ハーレクイン(海外ロマンス小説の翻訳)』の世界でした。


私たちが普段、定番だと思っている「薔薇色」は、日常の言葉としてはすでに静かに眠りにつきつつあり、今は【かつての世代のまばゆい記憶】と、【翻訳小説という情熱の異世界】の二つの場所でだけ、今も色褪せることなく、特別な輝きを放ち続けているのです。



8.比喩表現の「ベタ(王道)」と「オリジナル」の境界線



『真の王道ベタと、17件の狭間にきらめく「オリジナル」』


私が頭の中でイメージする『薔薇色の未来』は、データ上では0件という幻の組み合わせでした。では、実際の日本語の世界で「薔薇色」の王道のベタはというと、それは【頬・人生・服】といった言葉たちでした。これらが「薔薇色」の定番の落ち着き先なのです。


ではその逆、オリジナルなものはというと、『歯磨き粉のチューブの薔薇色』であり、他人の幸福に身を焦がす『胸がキシキシする薔薇色』です。


定番の『頬』や『人生』ではなく、誰も使ったことがないような名詞と結びついたとき、「薔薇色」は強烈な個性を放ちます。



9.ここから打てる、小説で使えるオリジナルな表現のアイデア!



①あまりにも生活感のある日用品に「薔薇色」を割り当てる。


例:薔薇色の百円ライター


「薔薇色」というロマンチックな言葉を、あえてチープな日常雑貨プラスチックやビニールに組み合わせることで、かえって『気だるい日常』や『一瞬の虚しい輝き』をリアルに、新しく描き出すことができます。


②他人の幸せの眩しさが、自分を傷つける残酷な色になる。


例:彼女の薔薇色のネイルが、僕の心を引っ掻く


幸せアピールが自分を刺してくるような、現代特有の「痛みを伴うネガティブな薔薇色」を鮮烈に表現できます。


③人間離れした存在や、理性を狂わせる生々しい肉体の色。


例:首筋にそっと触れた、薔薇色のつめたい指先


ただ綺麗な赤ではなく、どこか怪しげで、ファンタジックで、でも触覚を刺激するような生々しさ。ミステリーや少しダークな恋愛小説で、読者のドキドキ感を煽るスパイスとして使えます。


みんなが使い古した「赤い」や「ピンクの」という言葉を使っても、読者の心には残りません。


若者層が使っていないからって、「もう誰も使えない色」ではありません。「あなたが新しく命を吹き込んで、ひとり占めできる色」でもあります。絶滅危惧色は、オリジナルの種。楽しんで使いましょう!

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