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第四小隊設立

投稿〜

sideデザール


 五日後…早朝にて、本日から始まる十個の小隊が兵力強化の目的に編成される。各自、五名の部下を受け待ち、二ヶ月間の期間中に二回小隊同士でトーナメント形式で競い合って兵力強化を見るとなっている。


 「それでは、本日をもって十小隊を編成します」


 ヨゼフ第一級中級騎士に集められた五十名の騎士達はヨゼフ上官が読み上げる文を整列しながら聞く。


 「これより、兵力強化を目的とした小隊編成を行う! 今から読み上げる者は小隊長として各小隊の部下五名の強化を行ってもらいます。第一小隊メルド、第二小隊メーデン、第三小隊セラータ、第四小隊デザール、第五小隊バロッサ――」


 ヨゼフ上官は小隊の番号と小隊長の名前を挙げて行く。俺はどうやら第四小隊の様だ。


 「以上が小隊長です。次に兵力強化の成果を見る為に一ヶ月後に小隊同士で模擬戦を開始します。覚えおくように」

 「『了解!』」


 一ヶ月後に小隊同士の模擬戦か…どれほど強くなったかを図る為だけでは、無いな。これから上に行くには指揮系統の判断力や戦術も試されるだろうな。


 「それでは現時刻を持って各自、任務遂行を命じます。良い成果を祈ります」


 ヨゼフ上官は敬礼すると騎士達は一斉に敬礼し、その後は何も言わずにその場から去って行く。

 ヨゼフ上官が去って行くのを見送ると俺はすぐに後ろに控える部下五名に目を向ける。


 「全体、デザール殿に敬礼!」


 第一級下級騎士コルン・キュアスが他四名の前に出て指揮を取り、俺に向けて全員が敬礼する。


 「私は第一級下級騎士コルンです。第四小隊で副隊長を務めさせて貰います!」


 赤髪のコルンは五日前にあっていたから分かるが他四名はここで初めて会う事になっている。


 「第二級下級騎士フェンであります!」


 茶髪の青年フェンは重たい鎧を着込んだまま敬礼する。


 「第二級下級騎士ミュアです!」


 青髪の少女ミュアは剣二本を腰している剣士。一本はおそらく予備の剣だな。


 「第三級下級騎士アロン」

 「第三級下級騎士クロトです」


 黒髪の青年二人組アロンとクロトは槍を持っているあたり槍兵だな。

 全員の騎士階級と名前を聞き終わった俺は気を引き締める。


 「本日より、第二級中級騎士デザール殿を隊長に第四小隊以下五名です」

 「全員の名前と階級、承った。これから第四小隊を務める事となった隊長のデザールだ。よろしく頼む」

 

 俺はこれから部下となる五人に敬礼し、あらかじめ考えていた事を行動に移す。


 「手始めに全員の技量を測りたい。全員、訓練所に向かう」

 「「「「「了解!」」」」」


 まずは、五人の実力を測ることが大切だ。そこからどう育て上げるべきかを判断する為に訓練場に向かう。


sideコルン


 私の名前はコルン・キュアス。第四小隊で副隊長を務める事となった一人だ。現在は第四小隊の隊長で上官でもあるデザールに小隊全員の実力を測る為に訓練場に来た。

 平民で騎士団へ入団して五年かけて中級騎士階級まで上がったと聞いているがセラータ様とチーム組んでいると聞いてからはおこぼれで上がったと私は思っている。何せ、デザールが装備しているのはサーベルと短剣といった如何にも安上がりな装備だ。

 

 「実力は模擬戦形式でやろう。ルールはお互いに寸止めか参ったと言うまでだ」


 こんな男の元で指揮されるのは不満だが、実家立て直しの為にも何としてでもセラータ様の所へ移動できる理由を探そう。


 「順番はそちらが好きに決めて構わない」

 「では、私が!」


 私が考えている内に模擬戦が始まった。最初はフェン。楯と重装備を主軸に剣で戦うタンク型戦士の重装戦士。重装備で敵の攻撃を耐えつつ攻める戦士。


 「行きます!」


 フェンは盾を構えながらデザールに走って距離を詰めて行く。デザールも腰からサーベルを抜いて両手で構えながら攻める。


 「せい!」


 先制攻撃はフェンの剣の突き技を仕掛けるがデザールは瞬時にサーベルで受け止め――。

 

 「…シッ!」

 

 受け止めると見せかけて流して距離を詰められ、フェンは対応し切れずに首筋に刃を突き付けられる。


 「剣の振り、盾の構え方は良いが動きが単調だ」

 「え、あ…ま、参りました!」


 デザールはフェンに呆気なくやられてしまったところを指摘してから刃を首筋から離す。


 「次は誰だ?」

 「では、私にやらせてください!」


 次はミュアだ。シンプルに剣一本で戦う剣士だ。個人的に予備に二本の剣を腰に付けている。


 「はぁあああ!」


 ガキンと音を立てながら剣同士がぶつかり合う。一撃、二撃とぶつかり合うが五撃目がぶつかり合うとデザール先ほどと同じように流してミュアの背後に回って刃を向ける。

 

 「悪く無いが…力任せ過ぎだ」

 「参りました!」


 ミュアは率直に降参して模擬戦を終了する。その後の二人も容易く倒してしまう。


 「最後は…」

 「私です」

 「あぁ、いつでも来い」


 全員の戦いを見て思った事はデザールは全てが相手から攻めてからの攻撃を見る感じ攻めるのが苦手だろう。


 「…来ないのか?」

 「そちらこそ」

 「なら、こちら行こう」

 「――なっ!?」


 一瞬で距離を詰められて咄嗟に受け立ちして、距離を取ろうとするが体勢が崩れかけている私をデザールは逃さず攻めてくる。


 「ッ〜! ハッ!」


 何とか、引き剥がして距離を取るが重たい一撃を喰らいすぎて息切れをしてしまう。

 

 「他の四人よりは脚運びと対応能力は良いな」

 「はぁはぁ…ッ!」

 

 デザール…いや、第二級中級騎士デザール。私を含めた五人も相手しているのに疲れた様子すら見えない上に戦ってわかった事はスキが無さ過ぎる。

 てっきり守り型の戦いが得意な方かと思ったけど騙された。この人は攻めも守りの両方とも出来る。


 「ッ!」


 そう考えている内にいつの間にか、距離を詰められて首筋に刃を向けられて終わってしまう。


 「参りました…」

 

 率直に敗北を認めるしか、無かった。私自身が思っているほど目の前に立つ光龍騎士団の騎士デザールは強い。特に剣術に置いては私以上だ。


 「全員の技量と弱点はわかった。これからそこを指摘しながら訓練を行う事にする。それから――」


 デザールは自身の武器を納めると次の行動に移して、他の四人も従う。


 「…」


 それでも私はキュアス家を支えなければ…何としても没落だけでも避けないといけない。その為にも貴族階級の高いドラグラーツ家のセラータ様に下に使えることを示せば没落はまぬがれる。

 その為にも――


 「コルン副隊長」

 「何でしょうか隊長殿!」

 「これからの訓練について話し合おうか」

 「了解です」


 その為にも今はデザールという男に従おう。チャンスが来る間まで。

 

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