別れ道…また出会える祈りを…。
第一章完結!
孤児院の火災から次の日…
俺達はあの後、孤児院から出て、水路内に入りそこで一晩を過ごしていた。
「うーんご飯?…ガブ…」
「いだだだ!?」
俺はレナに腕を噛み付かれて目が覚めてしまう。
「んぁ?飯か?…ガブ」
「がぁ!お、お前も!?」
今度はもう片方で寝ていたギルに噛み付かれる。
俺は流石に苛立ち、一人ずつに頭突きで起こしていく事にした。
「起きろ…この噛みつき亀ども!」
ゴン!
「ふぎゃ!?」
まず、最初に頭突きをかましたのはレナだ。
レナは頭突きで目を覚ましてすぐに俺から離れて頭を押さえ始める。
「お前もだ!」
ゴン!
「ほぎぇ!?」
ギルも起きて早々に俺から離れてレナと同様に頭を抑える。
俺は話さなければならない事を話そうとするが両腕が唾液でベトベトになっている事に気が付いて、水路で少し腕を洗い流した後にレナとギルに一発ずつゲンコツを入れておいた。
レナとギルは頭を抑えてながら恨みがましい目で俺をみていたが明らかに噛みつく方が悪い。
話しはずれたが俺は本題に入る事にした。
「聞きたい事がある」
「なに?」
「何だよ?」
「これからどうするのかの話しだ」
脱獄出来たとはいえ、これからについてはなにも話し合っていない為、どうするのかがわからないレナ達はこれからどの様に生きるつもりのか、聞いておかねばならない。
「うーん…脱獄は出来たけどお金が無いから…」
レナは孤児院の脱獄では、自身が金貨の在処まで移動し、盗み出した上で脱獄だったが結果は脱獄だけに終わっている為、悩んでいる。
「いや、あるぞ」
「あぁ、あるな」
「あるのぉ!?」
俺とギルは率直にあると言う事をレナに伝えるとレナは驚く。俺は証拠と言わんばかりに茶色の袋を見せる。
「それは確か、脱獄の時にデザールが持っていた袋…え、それに!?」
「あぁ」
俺は素直に答えると袋の紐を解いて袋の中をレナに見せる。そこには大量の硬貨が敷き詰められていた。
あの院長はいつから人売りをしていたのかは、知らないがかなり溜め込んでいた様だ。
「いや、でもあの金庫はどうやって開けたの?」
「あーレナ…それに関しては俺が説明するわ」
レナが俺に聞き出そうと掴んでくるがギルがレナの肩に手を置いて説明する。
「実はさぁ…あの金庫の鍵は壊れてたんだよ」
「え?でも、あれは鍵を使わないといけなかったよね」
「いや、コツだけわかれば鍵が掛かったままでも開くんだアレ…多分、院長も分からなかったと思うぞ」
「え、えぇ…」
レナは完全に呆気を取られた状態だった。まぁ、そんな顔をするのも理解出来る。俺も院長を倒した後にギルと逃げる際に金庫がある院長の部屋に入り金庫を開けようとして、近くにある机の引き出しを漁ろうとしたらギルが鍵の掛かっているはずの金庫を普通に開けたのを見て俺も呆気を取られた。
まぁ、そのおかげで早く脱獄出来た。
「此処に金貨はある。だが、これからどうやって使うかは、自分次第だ」
金貨はこの世界に置いては一番位が高い硬貨だ。まず、金貨は庶民には余り使われる事はない。使うとしたら商人ぐらいだろう。考え無しにこれを使おうとする俺達はかなり怪しまれる。
俺は金貨を盗み出したガキだと、思われるだろうがレナやギルは別だ。何せ、人売りの孤児院から出て来た子供…それを知っている人物に会えば速攻に捕まって終わりだ。
なら、この金貨をどう使うかが問われる。
「…いきなりは使えないよね」
「そうだ…低い硬貨も盗んだが、それでも銀貨だ」
銀貨は商人では無くても持っている者はまだ居る。
人売りでどれだけの価格で売られているのかは知らないが少なくとも銀貨までを目安にされている事を考えると大帝国の奴隷は庶民でも買われるという事なのかは疑問に思ったが今は置いておくとしよう。
「一応、案は二つある」
俺は硬貨を盗み出した後を考えていた。それをレナやギルに教えておく事にした。
「何か案があるの?」
「聞かせてくれよ!」
「あぁ」
レナとギルは俺の案に興味を示して俺を見る。
「一つ目はこの銀貨で他の土地に馬車で移動する事だ」
「なるほど」
「何処か、遠くに行くって事か…」
一つ目の案にレナとギルは納得する。現状では、俺達は明らかに此処にいるのは危険だ。俺は兎も角、レナやギルは人売りの孤児院出身者だ、もしもそれを知る人物に合えば終わり。そうならない様にする為なら此処から出る事が必然だろう。
「二つ目…これは二人にはオススメできない」
「なんで?」
「何だよ、勿体ぶるなよ」
二つ目の案は俺がスラム街から出て、次に行く場所だった所だ。
「…帝国軍に入る事だ」
「「っ!?」」
二人が驚くのも無理は無い…何せ、そこはこの大帝国が一番に力を持っている軍人達がいる場所だ。
帝国軍は大帝国が一番に権力に力を入れている場所で金さえあれば簡単に軍人になれる。
また、帝国軍は実力主義の厳しい環境の地。
俺が何故、帝国軍に入ろうとする理由は一つ、革命軍に関与する為だ。俺が前世で知る『バルバトス戦記』では、大帝国の国内には革命軍という、大帝国に不満を持ち、反抗する勢力に加わる事だ。
ゲームでは、主人公達の攻略が始まると情報集めでたまに革命軍からの情報というものがある。言わば、攻略のヒントだ。
つまり、そのヒントを与える役に回ればまずは死ぬ事が無くなる可能性が低くくなるはずだ。
だが、レナやギルに話した案も悪く無いのもあるがそれでも俺は軍人になるつもりだ。何と無くだが、身体は軍人になり、強くなりたいと言っている。おそらく、元の身体の持ち主の意思だろう。何故、此処までとらわれた様に強くになりたかったのかは、分からないが俺が予想にスラム街の様な悪循環な世界で周りから馬鹿にされ、強くならねば奪われる自身に苛立ちを持ち、軍人になれば馬鹿にされないと思っていたのだろう。
少なくとも、俺はこの身体を乗っ取ってしまった罪悪感がある…それ故に元の身体の持ち主の意思を尊重し、軍人になるつもりだ。
「俺は軍人になる。…理由は言えない」
ハッキリ言って、俺はまだこの世界に慣れていない事が多い。前世では存在しない魔法についての知識に法則などを俺は知らない。
情報を集めにも役立てる事を思って俺は軍人になる事を決めた。最終目標は大帝国から脱退する事が今の俺の目標だ。
そこでレナやギルを巻き込むのは余り得策では無い。余り情報が足りない現状で他人の人生を巻き込むほど俺に力は無い。
「……デザールはなんで一つ目の案に乗らないの? それだけ聞かせて」
レナは真剣な目で俺に問いかけて来た。
ギルも何も言わなかったが俺から目を離さない様に見ていた。
「……俺は今回、多くの人を殺した。そいつらは明らかに悪党だったが、世の中には因果が返ってくると聞いた事がある。俺はその因果を受け止める為だ」
「「……」」
嘘は言っていない。人を殺した以上、俺に天国なんて夢のまた夢だ。俺は殺した分だけ罪を受け入れるつもりだ。例え、俺が死んだ後でも。
「…わかった。私達は馬車で何処か遠くの地へ行く」
「そうか、わかっ「でも」?」
俺は納得して、応えようとするがレナの言葉が遮る。
「でも、私達には貴方に大きな借りがある。だから貴方が軍人になっても今度は私達が貴方に軍人にならなくて別の道でその因果が返せる道を探し出して見る…此処でお別れなんて、言わせないよ」
「あぁ、俺もそうだぜ、デザール!」
「……っ!」
俺はレナとギルの強い眼差しに驚きを隠せなかった。
「私も脱獄の時は何も役に立たなかった。それどころか、私は捕まって二人ともを危険に晴らした…だから、今度は私が貴方を助ける番だから」
レナの言葉には強い信念が俺に伝わって来た。
「俺もだ…お前がいなかったらレナを助けれなかったし、覚悟も曖昧だった。それにそのインガだったけ?それは俺にだって来るだろ…だから、俺もレナと一緒に考えながら見つけてみるぜ」
ギルも負けじと俺を助けると言う。
「…そうか、なら頼む」
俺は頼むと応えるしか、なかった。レナやギルの信念に俺は任せたくなった。…今思えば、誰かに頼む何て、いつぶりだろうか……そうか、俺はこんな血濡れた手でも確かに救ったものがあったんだ。
なら、任せてみよう…誰かに人生を預けると言うのも案外悪く無いんだな。
「うん!」
「おうよ!」
レナとギルは笑顔で応えると握手を求めてくる。
俺は両手で二人の片手に握手をする。
前世では、一人で全てをやってきたが今の俺には仲間がいる…だから、もう少し生きる事に期待をしてみようと思った。
その後、俺達は硬貨を割り振り終えると昼にある馬車にレナとギルと別れの時間が来る。
「…じゃあ、そろそろ行くね」
「あぁ」
「風邪引くなよデザール!」
「お前もなギル」
俺は少し寂しそうに見てくる二人に最後に伝えたい事を言っておく。
「ありがとうな…二人とも」
俺は初めて他人に「ありがとう」を伝えた様な気がしたがそれでも良いと思った。なにせ、二人は俺の仲間だからな。
「こちらこそ、デザール」
「お互い様だ!」
レナとギルは笑顔で返しながら応える。
その後、馬車の前方からベルがなると馬車が出発し、レナとギルは馬車の後ろから俺に手を振ってくれた。それはお互いが見えなくなるまで止める事は無かった。
俺は二人が見えなくなると硬貨の入った袋を持って近くの建物に貼ってあった帝国軍人の募集の紙を取り、その場所へと向かった。
俺は、生きる為にも前に進み出した。
その踏み出した足は少しだけ軽く感じたが気にせず俺は明日の方向へ向かった。
これで大一章が終わりました。
次回の章については少しだけ教えておきます。
次の話は騎士団編です!
此処まで読んでくださった皆様ありがとうございます。
ご指摘や気になる点がどうぞ書いてください。
出来る範囲でネタバレがしないように説明や解説もさせていただきます。




