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おっさんの異世界転生 <俺もテンプレ世界で冒険してぇなぁ~>  作者: ところてんはあんまり・・・
第一章 内から強くなれ、孤児院生活編
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第五話 マニ is God

5.


 結論から言おう、俺は『異次元鞄』を手に入れることができた。というか、なんかたくさんあった。

 贈答品内の鞄類で小さいものはほとんどそうだった。この世界では流通革命なんて普通のことだったんですね。

 商人さんからは

「き、君はこの鞄が大好きなんだね。お、同じデザインのものがたくさんあるから、はいどうぞ」

 と明らかに引いているが大人な対応をしていただけた。


 女性教師(パグ犬みたいな顔をしている)からは、お説教をくらった。内容はよく覚えていないが、奇行が目立つとか、将来は鉱山作業員だとか、アホとか言われた気がする。しかし、俺は異世界っぽい魔法のアイテムを手に入れたことのうれしさからそんなことはどうでもよかった。


 ちなみに、俺が迫った男子は笑って許してくれた。天使だ。周りの連中は、俺のことをカメムシが大量に張り付いた深夜のカラオケボックスの窓ガラスを見るような眼で見つめてきている。絶対に触りたくないんですね。わかります。


 さあ、気を取り直してガンガン実験して行こうではないか。自室でしげしげと鞄を眺めていると、声が聞こえる。

「あの、レンさん」

 あれ、神からの交信があったかな? いかんいかんチャネリングストーン持ってないのになぁ~。

「すいません、レンさん」

 む、正面から声が聞こえるな。これは降りてきてますね、わかりますよ。よし、冷静になろう。まず正面を見よう。・・・神はいなかったが、天使がいた。


「あの、すいませんが同じ異次元鞄をもらった中みたいですし、一緒に使ってみませんか?」

 天使やで、変人と実しやかに噂されるワイに天使が降りてきたんや!

「もちろんさぁ、ところで君の名前を教えてくれるかい。あぁ、俺のことはレンタロウ若しくはもずく大好きズク太郎と呼んでくれ」

 ドナ○ドマジックを今にも使いそうな話し方になってしまった。

「えっと……、わかりました。もずくさん!僕はマニです。同じ部屋ですがこれまでお話しする機会があまりありませんでした。これからはよろしくお願いします。」

 これマニ? おっといかん、これまじ?同室の人間の名前や顔すら覚えてない『レン』に軽く腹が立つ。1月経過して覚えていない俺も俺だが。

「よし、マニ助手!共同で異次元鞄の実験をしてみようではないか。」

 と手元にあった皮毛布を鞄にぶち込んでみる。

「おお、明らかに入りきらないのに入るもんじゃんじょぅ……」

 俺の意識はすっ飛んだ。


「もずくさん、もずくさん」

 ゆさゆさ揺れる。ふわふわいい気持ち。薄っすらと眼が開くとそこには心配そうに見つめるマニくんの顔があった。  

「あ、起きましたか。いきなり気絶するものだからびっくりしましたよ。もしかしなくても異次元鞄について知らなかったのですね。」

 マニくんの丁寧語がぼんやりとした頭に気持ちいい、気持ちいい。

「マニくん……、あわれなもずくによかったら教えてくださいますか。」

 自然と畏敬の念が湧いてきた。5歳の少年相手に。


 それからマニくん、いやマニ先生による異次元鞄講座が行われ俺が理解したことを書き連ねると。


 ・異次元に入れなければ入る量は同型鞄の3分の2程度

 ・内容物が設定した量を超えると、全て異次元にぶち込む

 ・異次元が発生している間は常に使用者の魔力を消耗する

 ・使用者の魔力が切れるか、鞄が使用者から1mほど離れると内容物はばら撒かれる

 ・使用魔力量は内容物の量に比例する

 ・俺の年くらいだと小石一個くらい余分に入れると魔力切れになる

 ・魔力切れは気絶する

 ・大人でも使うやつはいない


「なんでじゃ! おかしいだろうが! なんでこんなゴミが存在するんだよ!!」

 喚く俺。恥ずかしくなんてないよ。

「す、すいません、ごめんなさい! 学校の生徒さんが付加魔術の練習に持って来いなので、たくさん作られているんです!」

 焦って教えてくれるマニくん。焦っている姿がかわいいなぁマニくん。風呂に入ったチワワみたいだ。これはもうゴッドだな。マニ神だ。なんかすごく不遇そうだな。

 しかし、なるほど理解した。今回の贈答品の送り主は『学校』だったわけね。だから練習で作ったものなどが、捨てるのももったいないから孤児院に送られてきたわけね。


「世の中うまい話ってないもんだね」

 そう言う俺に、椿の様に美しい笑顔を浮かべるマニ神。それからマニ神とたわいもない話をした。なんでもマニ神は魔道具制作に興味があるらしく産廃ゴミ袋を好んで手に取ったそうだ。

 将来は魔道具制作者になりたいともいっていたが魔法適正がないため難しいらしい。それでも魔道具に関わる仕事に就きたいといっていた。

 いいね、夢があるなんてすばらしい。夢の無いおっさんだったせいもあるが、やたらまぶしく見える。くっきりとした鼻筋、肩まで伸ばした青髪、ぱっちりした眼、女の子だったらさぞ捗っただろうにな。



 こうして俺には友達ができた。うそです、あの日以来一切お話ししてないです。

 なぜかって? 俺とマニくんが話しているところを他の同室のやつらが先生に報告したため、俺の住居が建物の外にある物置になったからだ。接触も厳禁だそうだ。マニくんの周辺には他の孤児がSPさながらの警護をしている。やっぱ、アイドルなんすね~。


 パグ曰く、

「狂気は伝染する。従って隔離してしかるべき、そうでしょう?」

 だそうだ。

 何か嫌われることしたのでしょうか先生、思い当たりまくりまクリスティです。


 馬小屋で寝た方が年とらなくて捗るだるるうぉ!!!



 さぁ~て、次回のおっさんはぁ~


 ・産廃ゴミ袋の有効利用法?

 ・修行するぜ修行するぜ修行するぜ

 ・泣きながらパンツを洗う


 の三本でお送りしたいと思います。


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