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夏に揺らめく氷の訪れ

旅人

「なんだろう、ここ」


 遺跡の探索の末、最深部の最後の道を進むと、一つの巨大な空間に辿り着いた

 中心には、黒く、やせ細った、炭と化した樹木が伸びていた

 かなり高い

 それを不思議に思って何も考えずに手で触れた

 その瞬間


旅人

「え!、な、なぜ!」


 私の手に炎が現れた、そして体が燃え始めたのだ


旅人

「ああああ、、な、なぜこうなったんだ!!」


 私は樹木を見る

 驚いた、なぜなら

 私の触れたところから氷が広がっていったからだ

 それでも体は燃え続ける


旅人

「ああ誰か、誰か、」


 私は地面に膝を付けた

 そしてペンダントの中を見た

 そして私はこの炎を受け入れた


旅人

「、、お告げ、なのですね」


///////////////////////////////////////////////////////


   《2030/8/15》


水樹(みずき)

「ええ〜、また負けたんだけどー、」


佑斗(ゆうと)

「はいー!宇和島(うわじま) 水樹氏、かき氷一気食い罰ゲーム決定ー」


水樹

「佑斗がち最っ悪なんだけど」

「ノリ小学生かよ」


佑斗

「たとえ女でも容赦いたしませんすみませんねえ、」


水樹

「もうその考え方古いから」


 ある夏、私と佑斗――ちなみに、ただの男友達――は家でゲームをしていた

 器に大盛りに盛られたかき氷をみて、見ただけで悶絶する、既に頭が痛い

 はぁ、な~んで私、この勝負に賛成したんだろ

 そう思いながらスプーンを手に取る

 だいたい、佑斗はゲームがおかしいくらい強い、ハンデがあるとは言え、これなら佑斗に勝てる!とか思い上がってた私は馬鹿だ


水樹

葉山(はやま) 佑斗、覚えてろよ」


佑斗

「ごめんだけど負ける見込みは見えない」


水樹

「うううううーー!」


 私は女ということを忘れて氷の山にかじりついた


佑斗

「おおーー!ワイルドー」


 いつまでたっても私は馬鹿だ、案の定


水樹

「かぁーーーー!いったあーい、」


 私は頭の痛さ故、床に仰向けになった

 高一の夏、昔みたいな馬鹿ばっかりやってる青春も悪いようで悪くはない

 2030年、狂ったように太陽は暴れ、猛暑という言葉では足らないくらい暑くなった

 ハイテクになっていく現代の中で、昔ながらの夏の日を過ごすのもいいのかな


佑斗

「大丈夫?」


水樹

「うん、なんとか」


 心配するべき時は心配してくれる男だ相変わらずよぉ


佑斗

「もう一戦行くか?」


 私は考えた

 なんだろう、氷の山を完食した私なら、行ける気がする

 私はこの格闘ゲームで勝つんだ!


水樹

「受けて立つ!」



水樹

「いやあーーー!!」


佑斗

「はっ!クソ水樹、死にやがれ!」


水樹

「いやああああああああ!!!」


佑斗

「うっるっさ!馬鹿野郎」

「耳死ぬわあ、」


水樹

「そんなこと言いながら全然私のこと攻撃してくるじゃない!」


佑斗

「そんなん当たり前だろ」

「ストレス発散の道具にしか過ぎないんですー、みーずーきーは!」


水樹

「はぁ?!そんなん言ったって!わ、私だって佑斗のことストレス発散の対象にしか見てないからー?」


佑斗

「うーわー、言ったな?本気出すもんな?」


水樹

「まって!さっきハンデで本気出さないって」


佑斗

「あなたは俺を怒らせた!」


水樹

「待って佑斗!ごめん!許してだからお願い!」


佑斗

「おらあああああ!」


水樹

「いーーーやああああああああああ!」


 ああ、やられた、


佑斗

「声が高いしうるっさいなあ」


水樹

「わああああ!私は、なんでこういつもー!」


佑斗

「言ったろ?負ける見込みは、みーえーなーいーって!」


 顔を近づけながら私にそう言った


水樹

「ううーー!もう佑斗知らない!」


佑斗

「げっ、小学生かよ」


水樹

「げっとか言うなげって!」

「私はこのナイスバディをもってして生まれたピチピチのJKですけどなにか?」


佑斗

「大しておっきくないくせに」


水樹

「は?!あなた!一番言っちゃいけないこと言った!」


佑斗

「興味ないでーす」


 まじで興味ないみたいな感じでゲームだけやってる

 ムカつくわあ、


水樹

「はぁ、」


佑斗

「かき氷は?」


水樹

「は?」


佑斗

「かーきーごーおーり!」


水樹

「このっクソブス男が!」


 私はクソほど頭にきてかき氷を手でわしづかみにして佑斗、いや、その男の顔面にぶちまけてやった、ぶちまけたと言うより押し付けたという方がぴったりな状況かもしれない


佑斗

「いった!は、つんめた!」


水樹

「ははは!水樹様に逆らうとそうなりますぞー?」


佑斗

「やったなお前!」

「くすぐったるわ」


水樹

「へ、まってそれは辞めて!」

「ホントに苦手なの!無理なのって!!!」

「ああああああっ!」


 佑斗が私の脇腹をくすぐり、私は床に倒れ込んだ

 力が本当に抜ける

 その時だった


   ガチャ


 ドアの開く音がした

 そこから私のママが顔を覗かせる


ママ

「あら、、、」


 私と佑斗はお母さんの方だけじっと見る

 ベッドの上で私が仰向け、佑斗が私の上にいるこの状況は、


ママ

「音がすると思ったら、失礼しましたー」


水樹

「ねえ!ママ!違うの!」

「いくら佑斗でもそれは!」


   ガチャ


 行ってしまった

 私と佑斗は思わず見つめ合って赤面する

 そして佑斗が急いで私から離れた


佑斗

「ご、ごめん」

「やりすぎたな、」


水樹

「私こそ、ごめんね」


 耳が熱い、たぶん真っ赤

 かなり気まずい雰囲気になってしまっている

 もうママ!

 何してくれてるのよーーーー!!!


佑斗

「お邪魔しましたー」


ママ

「ありがとうねー」


佑斗

「水樹じゃあね」


水樹

「ばいばい」


 私は手を振る佑斗に大して小さく手を振った

 玄関が閉じたあと、私はすぐさまリビングへ行き、ママに言った


水樹

「ママ!あれは違うの!」


ママ

「みーちゃんももう大人だもんねー、興味あるのわかるよ、だってママも」


水樹

「ママ!もう、いいから!それ以上聞いたら私が死んじゃう」


ママ

「そう?」


水樹

「たぶん、誰も親のそういう話は、聞きたくないと思う」


ママ

「まあー、ごめんね」


水樹

「ううん、大丈夫」

「とにかく、そういうことじゃないから!」


ママ

「はいはい」


 ママが笑いながらそういう

 絶対わかってないうちのママ

 勘違いされてるの恥ずかしい

 そう思いながらテレビに目線を移した

 文字列だけ見る

 火星、移住計画、成功、


水樹

「へぇー」


ママ

「すごいよねー最近は」


 別に火星に行きたいとかいう憧れはない

 何しろ、私は昔ながらの生活のほうが好きだから


ママ

「宇宙船とか、前までSFの世界でしか見たことなかったのに」

「出来たら次、他の惑星への移住が成功したり」

「ほんと速いねー」


 なんだか、確かに発展はすごいけど

 踏み入れちゃいけないところに踏み入れようとしてしまってる気がしなくもない

 まあいいや!


水樹

「ままー勉強するね」


ママ

「偉い子に育ってくれてうれしいです」


 私は階段を駆け上がって自分の部屋に入った

 申し訳ないと思いつつ、私はスマホを触った


水樹

〝ムカつきます〟


佑斗

〝はは、ざんねん〟

〝そうだ、今度水族館行こう〟


水樹

〝なんで?〟


佑斗

〝お詫び〟


水樹

〝いいの?〟


佑斗

〝行こ〟


水樹

〝待ち合わせは?〟


佑斗

〝駅前で〟

〝次遅れたら許さねぇからな?〟


水樹

〝えへへ〟

〝今歩きスマホ?〟


佑斗

〝ううん止まってる〟


水樹

〝偉〟

〝気をつけてね〟


佑斗

〝はーい〟


 さすがに勉強しよ

 私はスマホを閉じて机に向かい始めた

 水族館!ほぼデートみたいなもんでしょ

 彼氏じゃないけど、友達に自慢はできる、ナイス佑斗、女子トークのネタに付き合ってくれよな

《3日後》


   ピピピピッピピピピッ


水樹

「うーーん、」


 今何時?

 私は近くにおいてあるスマホのアラームを切って、時間を確認した


水樹

「むぇ?!!」


 なんでなんでなんで!!

 まって待ち合わせは?9:30、

 今は?


水樹

「に、ににに20分?!」

「なななんで!」


 まさか、無限にスヌーズしてた?

 もうなんで今日に限って!

 準備に1時間は要するのに!

 だいぶ焦っているときに携帯が鳴った

 メッセージだ、

 そこには、


佑斗

〝みーずーきーさーん?〟


水樹

「次遅れたら、許さない、、、」


 やばーーーーーーい!

 私は階段を駆け下りた


ママ

「朝ごはんはー?」


水樹

「ごめんママいらない!」


ママ

「え?」


 私は急いで洗面所へ、そして鏡と向き合った


水樹

「んーもう寝癖最悪、」


 私は水を大量に付けた

 それでも直らない

 もう最終手段だ、頭を振って髪を全部後ろに!


水樹

「ようし、」


 このくらいのパーマなら許容範囲

 そして爆速歯磨き


水樹

「あー服ー」


 私は階段を駆け上がり、部屋のクローゼットを全開にした

 服なんて一番時間かかる、

 なんとか選べた、まあおしゃれなはず!

 髪を後ろで結ぶ

 さっきのパーマがいい味出してくれると信じて!

 スマホ、財布、バッグ、ネックレス!

 行ける!あと3分ある!

 ガチで走ればなんとかなる

 私は玄関で靴を履いた

 もうヒールとかじゃなくて普通の靴でいい!

 そしていつも通り


水樹

「お父さん、行ってきます」


 私は手を合わせてそういった

 玄関のドアノブに手をかけたときに気づいた


水樹

「メイク!!!」



水樹

「はぁ、はぁ、」


 結局大幅に遅れてしまった

 それでもなんとか駅前には着いた

 しかし彼がいない、一体どこに

 私はスマホを確認した


佑斗

〝カフェで待ってる〟


 それを確認して近くのカフェに入った


店員

「一名様でしょうか?」


水樹

「いえ、あのー葉山 佑斗って、」


店員

「葉山様ですね!どうぞこちらへ」


 私は店員さんについて行った

 最悪、私汗だくだ、臭くないかな、、


店員

「ごゆっくりどうぞ」


佑斗

「よ、水、」


水樹

「本当にごめんなさい佑斗!」


 私は大きな声でそう言い、佑斗に勢いよく頭を下げた


佑斗

「ちょっと」

「俺まで恥ずかしい思いさせんなって」


水樹

「え?」


 私は周りを見た

 いろんな人がこっちを見てくる

 あの子遅れたのかな?とか

 青春してるねーとか聞こえてくる

 めちゃめちゃ恥ずかしい


水樹

「み、皆様!なんでもありません!」


佑斗

「余計なこと言うなほら、座って」


 私は急いで座った

 佑斗は静かに飲んでいた


水樹

「佑斗、」


佑斗

「、、、、」


 佑斗はスマホを見ている


水樹

「ねえ、佑斗」


佑斗

「ん?」


水樹

「その、こんなこと聞くの変かもだけど」

「怒んないの?」


佑斗

「怒んないよ」


水樹

「なんで?」

「だって次遅れたら許さないって」


佑斗

「かわいいから許す」


水樹

「、、、、、は?」


佑斗

「いろいろかわいいから許す」


水樹

「、、、、急にらしくないじゃん」

「ずる」


佑斗

「ぷっはははは!」


水樹

「え?」


佑斗

「真に受けてやんの」

「今俺、遅れてしまった彼女に掛けてあげる言葉の一覧見てたんだよーだ」


水樹

「ぐううううう!!!」


佑斗

「おもろ」


水樹

「え、てか、彼女って言った?」


佑斗

「え?」


水樹

「ほら、彼女に掛けてあげる言葉って」


佑斗

「い、え、いや!そんなつもりは」


水樹

「へぇーーー」


佑斗

「この、、、このサイトが!」


水樹

「焦り散らかしてやーんの」


佑斗

「ほ、ほら、もう行くぞ」


 そう言って席を立った

 佑斗、ほんとにサイトで調べて言ったのかな?

 昔から変わらないな

 私はそう思い席を立った


水樹

「はーい」

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