悲劇の結露
水樹
「電車?」
佑斗
「うん」
「ちょっと長くなるけどいい?」
水樹
「おっけーおっけー」
ふぅ、まあ遅刻はなんとか乗り切ったでしょ!(30分の遅刻)まあまあな遅刻で笑っちゃうな、、
佑斗が寛容でよかった
佑斗
「水樹」
水樹
「なに?」
佑斗
「都心の方まで行くから」
水樹
「都心?!」
佑斗
「うん」
水樹
「もっと早く来ればよかったあああああ」
佑斗
「もしかして意図的な遅刻?」
水樹
「あ、いやそういうことではないからご安心を」
絶対もっと早く来たらもっと長く遊べた
何やってんの私、、
ーーーーーーー
電車の来るチャイムが鳴った
佑斗
「行こう」
そして到着した電車に乗り込んだ
私と佑斗は隣同士で座った
水樹
「楽しみだなー」
佑斗
「よかったね」
水樹
「佑斗も行くんだよ?」
佑斗
「知ってますー」
私は佑斗と会話しながら前にいる子供に目をやった
その子供は電車の窓を触っていた
よく聞くとキュッキュッって音がなっていることがわかる
私は無意識に電車の窓を触った
少し驚いた
水樹
「佑斗、なんか、結露してない?」
佑斗
「がち?内側?」
水樹
「うん」
佑斗
「結露って外が寒いときどっちにできるんだっけ」
水樹
「あー覚えてないや、」
佑斗も私の真似をして窓を触った
その時だった
シャーーーーーーーー
水樹
「え?雨?」
佑斗
「えーマジかよー、いや、?」
水樹
「なに?」
佑斗
「雨じゃない」
水樹
「え?嘘」
私は窓の外の景色に目を凝らす
よく見ると、降っているものは雨粒じゃなく、塊、ヒョウ?
周りの乗客も不思議に外を見て、スマホで調べる人がほとんどだった
私も調べた
水樹
「みて、夏の異常気象だって」
佑斗
「明らかにおかしいでしょこれは」
やっぱりヒョウだった
夏なのに
すると
車掌
「次の駅にて、電車の運行を一時停止いたします、ご了承ください」
まあそうなるよね
佑斗
「ごめんね」
水樹
「なにが?」
佑斗
「いや、水族館に行くの遅れちゃうなって」
水樹
「いやいや!いいの」
「夏のヒョウ、珍しいから見れてよかった」
すると佑斗は少しの間ぽかんとした
佑斗
「、、、そうだな」
佑斗は少し微笑んでそう言った
シューーーーー
すると電車の扉が開いた
車掌
「ただいま運転見合わせ中でございます」
佑斗
「この調子だと一時間はかかるだろうな」
「どうする?このまま中にいる?」
水樹
「うーん、じゃあ、外に出て、と言っても屋根の下だけど、ヒョウ見に行こ」
佑斗
「賛成、行くか!」
私は席を立った佑斗について行った
、
、
カカカカカカカカカカカン
水樹
「すご」
駅の改札を出て、私たちはその光景を目の前にした
建物に氷の粒が当たり、音を鳴らしている
夏とは言え、氷が降っていると少し肌寒い
私は身震いした
佑斗
「ごめんな、上着もってないんだ」
水樹
「別に頼んでないしー」
佑斗
「うるせーな」
本当は少し嬉しかった
しばらくして、そのヒョウはとうとう止んだ
水樹
「あー、終わっちゃった」
佑斗
「だな」
佑斗は深く呼吸した
比較的短時間のヒョウだったので、太陽で熱された地面にすぐに溶かされた
地面の上に氷はない、水だ
佑斗
「あと1時間くらいは掛かるらしい」
彼が言ってるのは運転再開の時刻のことだと思う
佑斗
「この駅前、結構賑わってるところだし、なんか買いに行く?」
水樹
「いいねー!そうしよ」
そして私たちは駅の外に出た
そして立ち止まり、適当に周りを見る
左、右、私は
水樹
「、、、、、?」
とんでもないものを見てしまった
人の形に凍っている氷がある、それをよく見ると、中に人が入っているのだ
水樹
「う、嘘」
もしもそういう芸なら、いくら現代でも、再現はできないんじゃないの、?
そしてその凍った人の近くに物珍しい顔をしながら近づく人がいた
そしてその人が氷に触れる
すると
男
「ああ、あああああああ!」
叫んだ、何が起こった
私は見た、その人の腕が氷に侵されて行くところを
その光景を見た周りの人々が次々に叫ぶ
そのうちの一人
女
「きゃああああああ!じ、地面が、」
そう言って凍っていった
何が起こってるの?ね、何が
水樹
「ね、ねぇ、佑斗、、、佑斗?」
私は佑斗に助けを求めるために周りを見る
いない、佑斗がいない、
水樹
「佑斗!佑斗ーー!!」
私は立て続けに叫んだ
だが、この恐ろしい事態に惑い、叫び、のたうち回っている人々の中心、この混沌の中にいる私の声は広がらなかった
私は地面を見る
パキパキパキ、、、
水樹
「ひ、ひ、、」
地面が凍っていくのが見えた
私は急いで振り向き、佑斗を探しに走り回る
水樹
「佑斗!どこにいるの?」
「ねえ佑斗!」
「お願いだから、佑斗、、、」
私は煩雑とした人々の中を走る
すると
ドン
水樹
「いたた、、」
人とぶつかって尻餅をついてしまった
男
「おい!どこ見てんだよ!」
水樹
「す、すみません!」
男
「ちっ、しっかりしろよ!」
怖い、怖いよ、
佑斗、もう、私、、、
その時だった
男
「立てますか?」
別のスーツの男性が私に手を差し伸べてきた
水樹
「あの、」
男
「いいから行きましょう!」
その人は私の手をつかんで走り始めた
わけもわからないままついていく
そして一つの大きな建物の中に入った
物がたくさん売っているところだ
男
「一旦、落ち着きましょう、ほら、そんなに息を荒くしないで」
私は気づかないうちに過呼吸になってしまっていた
言われたとおりに深呼吸する
男
「落ち着かないと、あんなふうになる」
男性は窓の外を指さしながらそういった
私はその指の指す先を見る
焦っている人々が凍っていく姿が見えた
そして男性はこの状況を説明してくれた
男
「よくわからないけど、、とにかく、あの凍っていく地面に触れたら自分も凍ってしまう」
「とにかく、今は安全じゃないから、氷とかに関するものは触れないようにしないほうがいい」
「それだけだ、それだけ気をつけるんだ」
私はうんうんと頷く
私自身頭の中が混乱していてそれしかできなかった
男
「ごめんなさい、名乗ってませんでしたね」
「私は苅籠 真志、よろしくお願いします」
「あなたは?」
水樹
「わ、わた、わたし、、、は、、」
「う、 う、、わ、じじししま」
苅籠
「わかった、また後にしよう」
「私、焦っている時は敬語を忘れてしまいますが、許してください」
「行きましょう、直に建物も凍ってしまう」
行こうとする苅籠さんに私は言う
水樹
「あああの!私の、とも、だちが」
苅籠
「友達?はぐれたんですか?」
水樹
「は、い」
苅籠
「連絡取れますか?」
「まだ時間はあると思います、そう焦らないで連絡を取ってみてください」
私は震える手でスマホを取り出す
恐怖心と寒さが相まって、身体中が震えて煩わしい
私はメッセージアプリを開き、電話をかけた
ブーーーーー、
おかけになった電話は、、、
水樹
「なんで、なんで!」
私は掛け直す
おかけになった、、、
水樹
「なーーんで、!!!」
湧き出てくる感情を押し殺せずにそのまま出てしまう
怖い、泣きたい、と
苅籠
「まって、落ち着いて」
「もしかしたら、お互い同時に電話をかけてるかもしれません」
「少し待ってみましょう」
私はすでに涙目になっていることに気づき、泣くのを我慢した
そして深く一回、頷いた
するとすぐ
ブーーーーー
電話がかかってきた
佑斗の文字と、拒否ボタンと受入ボタン
苅籠
「この方ですか?」
私は頷く
そして震えた右親指で緑色のボタンを押そうとする
すると
苅籠
「あ、、、」
電話が開始されない
なんで、
苅籠
「あなた今、、、」
私は苅籠さんを見る
私、今何を、、
苅籠
「拒否ボタンを、押しました、、?」




