18 短期取引をやめる決心をする
沙優は短期の取引をやめる決心をした。仕事に集中できないのはやはり困るのである。特にスイングトレードをしていると、株価が下がっている時は気が気ではないし、上がってきたらそれはそれでいい時に売らなければと気になってしまうのだ。沙優にこういうやり方は向いていなかった。
彼女は長期投資に一本化するため、買ったばかりの株を売ったりしてお金を作り、最後にHighネットの株を10490円で100株買った。いやいや、どういうこと、というツッコミを入れてくれる人はいない。最後にと言ってHighネットを100万でなぜ買わなければならないのか。もっと堅実な方向にいくのではないのか。そんな声も聞こえてきそうだが、彼女は長期投資するなら上がりそうな株が欲しかったのである。まりこさんのことを心配している場合ではない沙優だった。
とは言え、この時点で沙優の証券口座にある資産は株と少しの現金を合わせて220万ほどになっていた。沙優が元々入金したのは最初の30万、それから年間40万を三年分で120万で、合計150万である。沙優は株の含み益を入れると70万も儲けているのだ。彼女が株に夢中になってしまったのも納得である。A社の株の売買やスイングトレードで10万くらいずつ何度も利益を出したことに加えて、今も100株もっているA社の含み益が35万くらいあるのである。次こそは10倍くらいになってから売りたいと思っているので、かなりの含み益がでても売るのを我慢して寝かせてあるのである。この実績を考えるとHighネットを買う判断も間違いではないのかもしれない。
その後数週間、沙優の資産は増え続けた。A社は一時9000円近くまであがり、含み益が50万を超えた、その後また6000円くらいまでさがったが、そもそも沙優は3300円で買っていたのでまだまだ含み益があったし、また上がるだろうと予測していた。しかも、その時、今度はHighネットが15000円を超えて、50万円近くの含み益をだしていたのだ。うはうはな彼女は、更にもっと良い株がないか探した結果、PERが低く、しかも沙優でも知っている大企業である老舗のIホールディングスを100株だけNISAで買った。株価が500円以下だったので、彼女が少しだけ残していた証券口座の現金でも買えたのである。
沙優の頭の中は自画自賛の嵐だった。有名投資家となってインタビューを受ける日も遠くないと、頭の中でインタビューのシュミレーションをする始末である。しかしまあ、ゼロから投資を始めて、これだけ資産を増やしたのは確かにあっぱれである。誰にも言わずに一人で調子に乗ることくらいは仕方ないだろう。
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