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紅月のクロスリーパー   作者: ルーツ
第五章 悪戯の終末

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3. それぞれの道

登場人物

<ディヴァインリーパー>

ジェシカ 


四代厄災

絶対死者 アブソリュート

「……アブソリュート……あれが……」


ジェシカはその場に立ち尽くしていた。

そんなジェシカに向かうように強風が襲い、髪、服、手に持っている地図がバタバタと音を立てる。


はっ、と我に返る。


「だめ……今は目的を果たす事が優先。それに──」


広い湖畔を見渡したジェシカは、言葉を言い切る前に──アルカナンへ向かった。


─────────


ミネルバ王国──拠点。


「ふっ、行ったか」

「ああ、ジェシカならやれるさ」

「ふふ、そうね」


グラフ、アンディ、アリスの三人は真紅の薔薇を見つめながら言葉を交わしていた。

そこへアルスが口を開く。


「さーて、とりあえず俺の役目は終わった。だからソフィアの所に帰るわ」

「いや、待てアルス。まだ一つやって欲しい事がある」


アンディに呼び止められるアルス。


「はあー? まだ俺を使うのかよ」

「悪いな、これもジェシカの為だ」

「そんな事言われたら断れないな。それで何だ?」


アルスに向き直り、真剣な表情になるアンディ。


「俺の武器にも血の結晶を錬成してほしい」

「なるほどな、分かったが武器はどこにあるんだ?」


「……それは今から作る」

「おいおい。そりゃ無理があるぜ?」


アンディとアルスの会話に、グラフとアリスが割って入る。


「話の途中で悪いが、俺はクロードを連れてブラッディローズで“こいつ”を屈服させたい。

だから先に行くぞ」

「ああ、後で俺も行く」


「……分かった。クロード、出雲刀を取ってこい」

「は、はい!」


クロードは部屋へ向かい、出雲刀を取りに行った。


「アンディ、あなたは無理よ」

「何? どう言う事だアリス」


「だってあなた、自分の適正分かっているの?」

「……そんなもの、俺は槍に決まってる」


アリスの言葉を聞く耳持たず、決めつけるアンディ。


「確かにアンディの言う通り、槍なのかもしれない。だけど、もし違ったらどうするの?」

「……そんなはず……」


「おいアンディ」


グラフの低い声がやけに響き、アンディは振り返る。


「何だ」

「……アリスに見てもらえ。話はそこからだ。それに武器ならグレンに頼め。

鉱石から鉄を作る技術やアーティファクトはお前の方が優れている。だが、武器に関しては──」


グラフの言葉に重ねるようにアンディが口を挟む。


「あーうっせーな! 分かったよ!アリス、見てくれ」

「うふふ、ええ……分かったわ」


「悪いなアルス。俺はこれからアリスに適正を見てもらう」

「おう!俺はミネルバ城にいるから来てくれ」

「分かった」


アンディとアリスはリビングへと向かい、アルスはミネルバ城、ソフィアの元へと軽快な足取りで去っていった。


三人の様子を見ていたグラフは鼻で笑い、帽子を深く被り直す。


「ふっ、騒がしい連中だ」


そこへ、息を切らしながらクロードが戻ってくる。


「はあ、はあ……お待たせしました」

「ああ。いいか、これからあの山に向かう。だが、ここから向かうにはブラッディローズを作り、それを蹴る必要がある」


「え……ぶ、ぶらっでぃろーず?」

「そうだ。俺たちクロスリーパーはブラッディローズを使い、身体解放を行うことで死者共を狩っている」


急に始まったグラフの話に、戸惑いながらも耳を傾けるクロード。


「まず、ブラッディローズを自力で作れるようになれ。そしてクロードの持つ力を俺に教えてほしい」

「お、教えるって……どうすればいいか……」


「今のクロードには分からないだろうが、キッカケさえ掴めばできるはずだ。

それまでは俺が、しっかり指導してやる」


帽子の奥から覗くグラフの目に圧を感じ、クロードは思わず肩に力を入れる。


「最初だけ見せてやる。いいか、まずは目を閉じて右手に神経を集中しろ。

次第に右手に向けて血液が集まる感覚が分かるはずだ」

「は、はい。やってみます」


クロードは目を閉じて集中する。

だが──何も起こらない。


「うーん……」

「そのまま続けておけ。俺は俺でやれる事をやっておく」

「分かりました」


クロスリーパーとして芽吹いたクロードの指導と、自らの進化のため──グラフはフィセルを屈服させる修行へと入る。


そして──

それぞれが、自らの“選択”を背負い、次の段階へと進み始めた。

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