巨大回廊の激闘(2)
すべてを焼き尽くす業火が剣聖に直撃する。
「絶掌・改、、」
しかしその業火は剣聖の左手に阻まれ、空中で不気味に停滞する。
そしてその左手を迫り来るボス級エネミー群に向けた。
「 撃壤 」
巨大な業火は、剣聖に襲い掛かろうと迫っていたボス級エネミー群に直撃する。
デーモンロードが放った極大魔法メギドフレアは、無慈悲にも自分たちを焼き尽くす結果となった。
その直撃時の大ダメージだけではなく、一定時間発生する炎の柱がスリップダメージとなり、かろうじて耐えたエネミー達をも屠ってゆく。
思惑とは違ったが、今の一瞬で数体のボスを処理出来た事に少しホっとするシウス。
だがLvだけではなく、ボスエネミーのパッシブ設定まで強化されている事に危惧する。
デーモンロードは強力な魔法を操るが、詠唱を短略化する能力を持っていない。
それが高速詠唱か無詠唱のパッシブを持っている可能性がある。
気に掛ける内容が増えていく、、、それは精神が摩耗すると言う事だ。
兎に角、危険を早々に排除せねばならない。
シウスは即、次の行動に出ていた。
「Lv99 弐の太刀 烈風 」
メギドフレアで瀕死になっていたデーモンロードに烈風が直撃する。
そして体力ゲージが0となり霧散するように焼失した。
しかし後続のボスエネミー群が、飽くことなくシウスに迫ってくる。
その中で巨体にも関わらず、他のエネミーより群を抜いてシウスに迫る個体がいた。
エンシェントゴーレムだ。
ミスリルゴーレムと同じタイプだが、形成される材質がオリハルコンなのだ。
オリハルコンはAO内でも希少素材でめったに手に入らない。
非常に軽くて強度が高く、魔法によるエンチャントとの相性も良い。
そんな材質で構成されたエンシェントゴーレムがシウスに高速で迫っていた。
シウスが迎撃準備に入ろうとした瞬間、まるでテレポートするように超高速でシウスの背後に回り込む”何か”がいた。
淡い炎のエフェクトをまとったその”何か”は、朱雀だった。
AO内では、神格化されたボスとして登場する超難敵である。
シウスから20m離れた位置で羽ばたく朱雀は胸をのけ反らせた。
【朱雀が炎帝の叫びの構え】
正面から迫るエンシェントゴーレムが片手を振り上げた。
【エンシェントゴーレムが撃滅鉄槌の構え】
シウスがどちらかを迎撃するには既に時は遅かった。
朱雀のウェポンスキル”炎帝の叫び”が発動する。
その口から吐き出された灼熱のブレスがシウスに直撃した。
そして同時にエンシェントゴーレムが振り下ろすウェポンスキル”撃滅鉄槌”も発動し、シウスの頭上に直撃したかに見えた。
シウスを中心に巻き上がる紅蓮の炎。
さらに巨大な金属の塊が振り下ろされ、その破壊の衝撃波が辺りを震撼させる。
並みのプレイヤーなら絶対に即死であろう状況。
ナインピラーであっても、この最上級ボス2体のウェポンスキルを無防備な状況で受ければ即死は免れないだろう。
しかし、剣聖は別格だった。
薄れゆく破壊のエフェクトの隙間から、悠然と立つ剣聖の姿が見て取れた。
左手で絶掌を発動させ、炎帝の叫びを防ぐ。
そして右手の漆黒の刃で、エンシェントゴーレムの撃滅鉄槌を受け止めていたのだ。
シウスは即座に反撃に転じた。
納刀したシウスは静かに呟く。
「Lv99 参の太刀 疾風改 」
次の瞬間、エンシェントゴーレムの背後に現れるシウス。
それに反応してエンシェントゴーレムは振り向く。
だが遅い。
シウスの右手が閃き超高速で鞘走る。
「Lv99 零の太刀、、、、」
エンシェントゴーレムがシウスに向き直った時には”それ”は発動していた。
「 羅生門 」
剣聖の居合斬りがエンシェントゴーレムを股から肩口まで切り裂き両断する。
一撃で体力ゲージを0にしたエンシェントゴーレムは、地響きを立てて倒れ込み、そして霧散した。
間髪入れずに朱雀が高速でシウスに突進した。
シウスは何事も無かったように、容易に朱雀を躱すとすれ違いざまに払い斬りを入れる。
カウンター攻撃を受けた朱雀は、グギャーと叫び声を上げて体力ゲージの1割を減少させた。
互いに背を向けたまま距離は10m程。
優雅に振り向くシウスは呟く。
「Lv99 弐の太刀 烈風 」
シウスに向き直ろうと旋回中だった朱雀に烈風が直撃する。
神格化された超難敵の朱雀は、あっさりと打ち落とされ地面に倒れ伏した。
だがボスエネミー群の進撃は止まない。
消え失せる朱雀のエフェクトを踏みつけるように、続々とボスエネミーがシウスに向かって来る。
シウスの表情が険しくなった。




