表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
84/127

四面楚歌と道程

水春に弥生と顔見知りなのを看破された。



慌てていたとは言え、下手な立ち回りだったと反省するヒカリ。

知り合いなのを別に隠すつもりも無かったが、コウとしての立場はバレる訳にはいかない。


だからコウの事は伏せて、後は正直に話す事にした。

「水春さんの言う通り、顔見知りというか、、」

「仲良くさせてもらってます」

「偶然の出会いでしたけどね」



「なるほど」と呟く水春。

そして悲壮な声に変わった。

「黒瀬さん、、娘を頼む、、、」



ヒカリは静かに頷く。

「はい」







水春との電話を終えた頃には、夜の11時を半ば回っていた。


ヒカリは出掛ける為の準備を急いで始める。

その間、結に事の顛末を話す事にした。


心配そうな顔をする結だが、何も言わずにヒカリの支度を手伝ってくれた。



結が用意してくれた服は、黒いレース地のチュニックだ。

全体的なシルエットはAラインで、裾は膝丈よりほんの少し上にある。

そして袖は、肘の辺りから広がるマンダリンスリーブ。


背中が少しとデコルテが露わになるデザインで、ヒカリの白い肌が際立ち艶やかだ。

中はチュニックのデザインからしてブラジャーのみにした。


下は黒のショートパンツして、黒いニーハイタイツを履く。



姿見に写る自分を見つめるヒカリ。

自分で思うのも何だが、綺麗だと感じた。


結が選んでくれた服。

結がしてくれた化粧。

その完成された美は、黒瀬ヒカリと言う自我を生み出した。


そして何故今まで自分は、黒瀬ヒカリを演じ続けてきたのか?

勿論、自分の心を救ってくれた恩人に再び巡り会う為でもある。


でも今日この時の為に、黒瀬ヒカリが存在して来たように思えてならない。

大切な人を救う。

その為なら、"この自我"を失ってもいい。

そうヒカリは決意して姿見を見据えた。



結が心配そうにヒカリへ問いかける。

「大丈夫? お兄ちゃん、、」



ヒカリは結に振り向き笑顔を見せた。

「うん、、大丈夫だよ」



結はヒカリの頬にそっと片手で触れると、

「もう完全武装、、」

「黒瀬ヒカリ状態だね」


少しはにかむ様にヒカリは結を見つめる。

「結のお陰でこんな形だけど、自分に自信が持てるようになったよ」


結の手がヒカリの頬から離れた。

「そっか、、、」

「でも私はお兄ちゃんが心配」


そして泣きそうな結は、ヒカリの胸に顔を埋める。

「もしお兄ちゃんに何かあったら、、」

「私、、狂っちゃうよ、、、」



ヒカリは結を優しく抱きしめた。

「私は大丈夫だから、、」

「そんな怖い事言わないで」


ヒカリの胸で愚図る結。

「誘拐なんて尋常じゃないよ!」

「犯罪だよ、、そっちの方が怖いよ!」



「怖いというより、、」

「私は当事者になれて良かったと思っているの」

と、静かに話すヒカリ。


結は驚いた様子でヒカリを見上げた。

「え?! どうして?」



ヒカリは結を離すと、

「だって自分の大切な人が大変な時、」

「自分の行動1つで、その人を助ける事が出来るかもしれないでしょ」



結は不満そうだが反論出来ずに俯いてしまう。

「お兄ちゃん、、」



ヒカリは小さめのショルダーポーチを手に取る。

「水春さんもきっと黙ってはいないだろうし、」

「上手く何か手を打ってくれるはず」



そして部屋から出ようして、結へ振り返った。

「だから、、行ってくるよ」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ