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コネクトと剣聖シウス(1) ※加筆修正しました

AOで待ちに待った新たなエンドコンテンツが追加されて早一カ月。


一般的なオンラインゲームでは、廃人たちが挙(こぞ)ってクリアを目指し一週間足らずでそれが達成されてしまう事もしばしばである。


しかし、ことAOに関しては違っていた。


その余りもの難易度に攻略は停滞し、コンテンツ攻略専門のクランでさえ良い結果が出せず行き詰った状態であった。




そのエンドコンテンツの名は、”逆上の塔”


アヴァロンの大地で最も危険な場所とされる”混沌エリア”に存在する地下ダンジョンである。


地下ダンジョンなのに何故、塔なのか?


1階層から100階層まで存在するといわれており、ダンジョンの形状が塔を模しているからだとの公式発表だからだ。



その逆上の塔50階層のとあるセーフエリアで、2人のプレイヤーキャラクターが佇んでいた。

一人はAO最強のプレイヤーキャラクターである剣聖シウス。


そしてもう一人は、Lv85の女性キャラクターだ。

その姿は、まるでライダースーツのような体にフィットした深紅のレザースーツに包まれている。

さらに上に羽織っているのは、純白の美しい毛皮をあしらったコート。


妙にゴージャスな出で立ちだが、腰に差している武骨な黒いレイピアのせいで、違和感が半端ない。


キャラクター名は、”コネクト”でクラスは魔法剣士。

そしてこのプレイヤーは、コウの妹である結であった。



コネクトとシウスが居るセーフエリアは、10m四方の石造りの部屋になっている。

正面の奥を見据えると、そこには鉄格子で出来た扉があった。

そしてその扉の対面にあたる後方には、2人が入ってきた同じ鉄格子の扉が無造作に開いている。



コネクトは少し不満そうに、

「ほんとに1時間待たされたし、、」

「担当のサーバー巡回って必要なの?」

「基本フレンドとか許可したプレイヤーしか入れないんでしょ?」


シウスは、やれやれとジェスチャーをして、

「確かにそうだが、フレンドのフレンドや知り合いは私の許可無しにサーバーに入れるんだよ」

「つまり許可した人を入り口に来るプレイヤーは確認出来ない」

「だからチーターも入り込む可能性が有るって事だ」



コネクトも「やれやれ」と諦めたように正面の扉に向かいながら、

「ここって結構進んだ場所の安全地帯(セーフエリア)だから、そろそろボスフロアーかな?」



シウスはアイテム整理をしていたのか、不要なアイテムが周囲に散乱し始める。

メニューを操作しているのだろうシウスは、虚空を見つめながら、

「そうだな、ここを出てゲートキーパーが居たら間違いないだろう」



コネクトが嬉しそうに鉄格子の扉を開け放って部屋から出て行く。



メニューを閉じてシウスはコネクトを見やり

「1人で勝手に進んだら危ないぞ」


「大丈夫大丈夫」

「ゲートキーパーが見えたら反応しない所でとまるから!」

と、呑気にスキップしながらコネクトは石造りの通路を先行して行く。



やれやれと、諦めた様子でセーフエリアから出てコネクトの後をシウスは追う。



するとすぐにコネクトの悲鳴が通路に響く。



突然天井から落下するように現れたそれは、コネクトの目前に迫る。



コネクトは慌てながら後方に飛び退く。

「え? トラップ?」



天井から落下して来たそれは、体が石で構成されたような見た目で少しだけ空中に浮いている。

そして爛々と赤く輝く大きな目を持ち、例えるなら大きなフクロウの石像だ。


それが10体、コネクトに迫っていた。



シウスは刀を抜くと

「魔法障壁(フォースシールド)を張って、私より後ろに下がれ!」



フクロウ型の石像はかなり大きく、二体並ぶと通路が塞がりそうなくらいだ。



コネクトは、フクロウ型の石像を尻目にシウスに向かって走り出す。


コネクトをターゲットにしたのかフクロウ型の石像は執拗に追いすがる。

そして一番前の一体が、赤い目に光を収束させた。


"ゲートキーパーの闇光線(ダークネスレイ)が発動"

その赤い目から放たれた闇のレーザーがコネクトを背後から襲う。



シウスは静かにそして素早く刀を振るう。

「Lv99 壱の太刀 閃 」


シウスが放った無色透明の小さな斬撃が、ダークネスレイに当たり両方とも四散する。



コネクトはシウスの背後まで逃げ切るとショートカットでフォースシールドを発動させる。

そして驚いたようにシウスを見やると、

「魔法をウェポンスキルで撃ち落とすって、、」

「あり得ないでしょ!」



シウスはニヤリとしてコネクトへ、

「そうか?」

「全ての攻撃には中心核が存在するからな、それへ正確に同威力相当の攻撃を当てれば相殺出来る」



「それが、あり得ないって言ってるの!」

と、半ば怒りながらシウスに訴えるコネクト。



そんなコネクトを他所にシウスは、フクロウ型の石像もといゲートキーパー達の元にゆっくりと歩んで行く。



前列二体のゲートキーパーが再びダークネスレイを放とうとする。

シウスに狙いを定めているのは明らかだ。


ゲートキーパーとの距離は10m程で至近に迫る。

しかしシウスは警戒する様子もなく、刀を水平に掲げて呟く。

「Lv99 陸(ろく)の太刀 繊月(せんげつ)」


シウスの刀が横に薙ぐように振るわれた。

すると薙いだ刀の軌道上に薄く白い斬撃が発生する。

それは通路横幅一杯に渡る刃を有し、凄まじい速度でゲートキーパーに迫った。


そしてその白く美しい三日月の刃は、あっさりと先頭にいたゲートキーパー2体を上下に両断してしまう。



残りのゲートキーパー8体を目前に、悠々と歩いて行くシウスの姿を見てコネクトは思う、

『人に対して最強は、エネミーに対しても最強なのね、、』




自分の出る幕が無く、コンテンツが楽に進む事に嬉しくもあり、悲しくもあるコネクトであった。



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