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高校生活と遅れて来た春(4)

弥生が把握していないであろうAOのシステムを掻い摘んでコウは説明した。



元々頭の良い子なので、すんなり弥生は理解してくれた。


ゲームと言っても、最近のネトゲーは元のシステムが難しかったり、バージョンアップで仕様が変わったりするので情報の収集や情報に対する理解が必要になってくる。


ただ適当にプレイしているだけでは、取り残されたり、PvPで全く勝てないという事が発生してしまう。




少し疲れたのか弥生は、脚を伸ばして背伸びをする。



根を詰めて説明しても、相手側の吸収する効率が下がるだけだ。

そう思いコウは話題を変える。

「そう言えば、昨日はどうだった?」

「ヒカリさんと会えたんだろ」



弥生は、楽しそうに微笑むと

「うん、楽しかったよ!」

「ヒカリさんと直接話出来たし」

「それにナインピラーの人達とも会えたしね!」


そして興奮したように弥生は、

「それでね、びっくりしたのが、」

「実際に直で見ると凄く綺麗なんだよぅ、ヒカリさん!」

「ほんと、びっくりしちゃったよ!」



コウは苦笑しながら

「まぁそうだな、初対面の人間は皆びっくりするね」



弥生は、まだ語り足りないとばかりにコウに迫りながら

「だだ綺麗なだけじゃ無いんだよ!」

「凄く真っ白で、、髪の毛とか肌とかも」

「何て言うか、神秘的と言うか、、」


「近い近い!」とコウは弥生から下がりながら

「ヒカリさんはね、アルビノなんだよ」


不思議そうに弥生は、

「アルビノ、、?」


弥生は思い出すように

「確か、動物とかの突然変異だったっけ?」




コウは、頷くと

「原因はよく分からないけど、一応遺伝子疾患らしい」

「簡単に説明すると、生れつきメラニンの生成が少ないか、又は全く生成出来ないとかで黒の色素が欠如するんだ」

「だから体毛は白銀で、肌は真っ白なんだよ」



弥生は申し訳なさそうな表情で俯く。

「神秘的とか、、私何も知らないで勝手な事を、、、」



「フフフ、、」とコウは笑うと

「本人はアルビノって事、全然気にしてないみたいだよ」

「ただ紫外線に対する抵抗力が低いから、色々大変みたいだけどね」


そして続けて苦笑するようにコウは、

「ヒカリさん見た目があんなんだし、AOでは世界一のプロゲーマーだから、」

「外国人プレイヤーに白い魔女って怖がられてるんだよ」


弥生もつられて苦笑する。




そして沈黙が訪れる。



いつもは弥生が先に主導権を握って話し始めるし、基本コウは受け身なのでこんな事は珍しい。



間が持たないのが辛い訳ではないが、何となく弥生の様子がいつもと違うような気がした。



だからコウは以前から思っていた事を口にして様子を伺う。

「今更と言うか、、二学期になって何で俺に話しかけてきたの?」


唐突に話を振ったせいか弥生は、少し驚いた顔をする。

そして少し俯くと、

「実は以前から相川くんの事が好きで、、、」

「それで、、、」




コウは、弥生が何を言っているのかすぐに理解できなかった。

『えっ!?』



時間を少しおいて、弥生の言葉を脳内で反芻する。

「、、、、、」

そしてコウは、理解する。




慌てながらコウは、

「ちょっ! ちょっと待って!」

「俺と水樹さんって、今まで何も接点なかったよな?」



弥生は、しおらしく照れた様子で

「そんな事ないよ、、」

「相川くんが覚えていないだけ」

「私はずっと以前から君の事を慕っていたんだよ!」



物凄くびっくりするコウは固まってしまう。

『ええええっ!?』



そしてコウは唸るように考え込むと

『高校に入ってから空気のように装って来た俺が、』

『校内3大美少女に告白されるようなフラグを立てるはずが無い、、、』



申し訳なさそうに弥生を伺いつつコウは、

「俺が覚えてないだけとの事だけど、、」

「出来れば詳しく教えてくれないかな?」



弥生は少し不満そうに溜息をつくと

「いいわ、本当に何も覚えてないみたいだし、」

「説明してあげる」




弥生は高校入試の当日の出来事が発端だと言う。


当時、弥生は受験と家庭の事情で多くのストレスを抱えていたらしい。

常に体調が(かんば)しくなく、それが高校入試当日まで及んでしまう。



とても試験に出られるような精神状態と体調ではなく、それでも弥生は無理を押して入試会場に向かう。

だが入試会場である高校の傍まで来て、弥生は力尽きてその場にへたり込んでしまった。



その時弥生は何故こんなに無理をして頑張っているのだろう、、と思ったそうだ。



入試試験時間が迫って半ばあきらめかけた時に、弥生は一人の同い年くらいの少年に声をかけられる。

「どうしたの? 大丈夫?」

「体調が悪いの?」


弥生はすがる思いで、その少年に事情を説明した。


するとその少年も同じ高校の受験に来ていた受験生であると言う。

彼は、弥生に肩を貸して歩き出すと、

「諦めるには早いよ、まだ手はある」



時間はかかったが入試会場である校内に入る事ができた。

そしてこの少年は、弥生に寄り添ったまま職員を見つけ出して説明しだす。



弥生が体調を崩して、ここに来る途上で倒れてしまったこと。

自分はそれを偶然見つけて同行したこと。


そして何より弥生が驚いたのは、

「入試会場には来ているので、保健室受験を検討してあげてほしい」

と赤の他人の、下手をすれば受験上のライバルにもなる相手なのに、この少年は弥生に代わって直訴したのだ。



とても有難かった、、。

名前も知らないこの少年の優しさが、とても温かく感じて弥生は泣いてしまった。



弥生の事情を職員と、”保健室受験”の判断が下せる校長が理解してくれた為、弥生は無事高校入試試験を受けることが出来た。


そして頑張る事が出来た。

いや、、今を頑張る理由を見つけたのだ。

体調は良くは無かったが、助けてくれた”彼”がくれたチャンスを無駄には出来ないと思ったからだ。



助けてくれた彼も、弥生のせいで遅刻状態であったが、状況を鑑みて通常通り試験を受ける許可が出たらしい。

弥生は、ホッとした。






弥生は何故か床に正座しており、コウを見つめて

「あの時、君に助けてもらわなければ、今の私は無かったよ」

「覚えてない?」


コウは考えに考え込むが、、。

「う~ん、、そんな感じの事あったような、、、」




コウのそんな様子に呆れかえって、言葉も無い弥生であった。




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