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目が覚めて、え?誰?

また短いですが宜しければどぞー

 

「ハゥアッ!?」


 そんな女性にあるまじき声を叫びながら私は目を覚ました。

 あんな大事故にあったというのに私の体は特に不自由を感じなく、手足も自在に動いた。少し違和感があるがまあ事故の影響だろう、てか事故にあう時滅茶苦茶不安を駆り立てる音をきしませていた気がするけど私の体どんだけ丈夫なんだよッ!

 と1人でツッ込んでみたけど、ここどこなのかな?天蓋付きのベッドに横になってるけど何処の病院に入れられたんだろうか?父よ母よどんだけお金かけてこんなとこに放り込んだんだ、家は一般家庭だぞ。個室なのにかなりの広さの部屋を見回しながら両親のお金の使い方に呆れかえる。

 そこに静かにドアを開けて一人の女性が入ってきた、歳は私より少し上くらいだろうか?そんな風に思っていたら女性の服を見て固まってしまった、メイド服だ、それもクラシックなロングスカートの。秋〇原で見かける様な偽物みたいなもんじゃあない、どことなく高級感溢れるもの。


「お嬢様お目覚めになられたのですね」


 高級メイド服を着た女性にそう言われた、お嬢様?誰やねん?と辺りを見回しメイド以外自分しかいないことに気づく。お嬢様って私のこと?はははっ何言ってんの、私お嬢様って柄じゃないですよ。うん、いや、マジで?いやいやそんな、マジで?ここの病院は患者に対してそう呼んでるってこと?どこの貴族階級よ!てか父よ母よ、ここに入院させようって言ったのどっちだ?さすがにこの病院はないだろ。もしかしてここの病院じゃないと治せないほど酷かったのか、調度品とかを見るとお金かかってますもんね。うわぁ、両親に感謝と同時に申し訳なさが心に広がる。そこまでして自分のことを助けてくれた両親にありがとうを言いたい、今どこにいるんだろう?


「お嬢様お身体の方はいかがですか?ご気分が優れなかったり等はございませんか?」


 おおう、めっちゃ親切に聞いてくる、さすがメイドこれぞメイドだよ!って感じ。いけない何か返事をしないと、どうすればいいんだ。

 考えても仕方ないので普通に返そう


「大丈夫です」

「・・・・」


 あれ?何か間違えたかな?メイドさん固まっちゃったよ。


「あの?もしもし?」

「・・・・・・・・・・ハッ!?も、申し訳ありません!」


 え?何故謝られてるのか、別に怒ったりしないよ、そっちこそ大丈夫ですか?そう訝しんでいたらメイドは気を取り直したようで先ほどの様な呆然とした仕草を止め元の凛とした佇まいになった。


「お嬢様が目を覚まされて良かったです、旦那様も奥様もとても心配されていましたので」


 おおう、両親はやはり自分を心配してくれていたのか、そしてやはり父と母も「旦那様、奥様」呼ばわりなのか。この病院なかなか徹底しているな、嫌いじゃないよそういうの。

 うんうんと頷いていたらまたしても不思議な顔を向けたメイドさんが私を見ていたけど私が顔を向けたらすぐさま元の顔に戻った。


「では旦那様方をお呼びしてまいります、しばしお待ちください」


 そう言ってメイドは部屋を出て行った。そして数分もしない内に部屋の扉が乱暴に開け放たれた。


「レレイヤッ!目を覚ましたんだね!」

「ああ、良かった。あなたにもしもの事があったらと気が気ではなかったのよ!」


 怒涛のようになだれ込んできたのは髭を蓄えた渋いながらも大人の色気を纏うおじ様と、紅い髪を腰まで伸ばしサイドに三つ編みにした髪を垂らしている絶世の美女と言っても過言ではない女性が私に詰め寄ってきた。

 え?え?誰よこの人たち?部屋を間違えたのかしら、あなたたちの様な美男美女を両親にもった覚えはありませんよ?おおいメイド、なにほほ笑みながら端に突っ立ってる!人違いですよ、うちの父はこんなダンディなおじ様ではないし母はこんな美女ではないですよ!私の容姿を見ればわかるでしょう!いや確かに平凡だけどさって自分の言葉に傷ついてる場合じゃねぇ、どうしよう・・・この人達私を凝視しているのに気づかないとかどんだけ眼が悪いんだよ。

 くっ、仕方ない、自分から指摘しないとダメみたいだ。


「あの、あなた方はどちら様ですか?というか部屋を間違えてませんか?」


 その瞬間部屋の中が静止した。

 え?え?どうしたの?ダンディおじ様と美女とメイドの三人が呆然としている、部屋を間違えたことようやく気づいたのかな?まぁ慌ててた様だからね、仕方ないよ。うんうんと心の中で納得していると三人が再起動した。


「レレイヤ、父さんの顔を忘れたのかい!?」

「レレイヤお母さんのこと忘れるフリなんて、ま、まさか、き、嫌いになったの!?」

「お嬢様やはり階段から落ちたときの後遺症が残っているのですね!?」


 再起動した途端に怒涛の追求がきて面食らう。あとメイド、やはりってなんだやはりって。

 てかこれでも気づかないってどんだけだよ、それにレレイヤって誰だよッ!私の名前は可奈子だよ、そんな外国人みたいな名前じゃないよ!・・・てそういえばレレイヤって名前どこかで聞いたことある名前だな、どこだっけ?最近だと思うんだけど事故のショックでちょっと思い出せない。あっれ~?

 それに階段から落ちた?私はトラックに轢かれたはずだよね?どういうことだろう。

 そんな風に思案に耽っていると


「旦那様、奥様落ち着きましょう。おそらくお嬢様は階段から落ちたショックで混乱しておいでなのでしょう、直ぐにヘルバ先生を呼んで参ります。」

「あ、ああ、そうだね。エミル頼む」

「かしこまりました」


 そう言ってメイドさんは部屋を出て行った。それから五分も経たずにヘルバ先生とやらを連れてメイドさんが戻ってきた。

 ヘルバという医師は恰幅が良く白髪で頭頂部が禿げた優しげなおじいさんだった。良かった、どいつもこいつも美形ばかりじゃなかったよ。どんだけ美形揃いなんだよってツッコミしなくて、なんせこの夫婦はもちろんメイドさん、名前エミルさんかな?の三人とも美形揃いなんだぜ。私の場違い感は半端ないったら・・・・悲しくなってきたよ。

 それからは診察に質問による現状把握で忙しくなった。


「身体に異常はない、ただ記憶の方がスッポリ抜け落ちているね、いわゆる記憶喪失だろう」

「そ、そんな・・・レレイヤが・・・レレイヤが私たちのことを忘れるなんて・・・」

「ヘルバなんとかならないかい!君の治療術で記憶を呼び起こすことはできないのかい!」

「すまない、治療術では記憶の様に複雑なものはどうしようもない。彼女自身が思い出すしか方法はないだろう」


 ヘルバ先生がそう告げると美女が大泣きしてしまった、メイドのエミルさんに連れられて部屋を後にしていく。ヘルバ先生も部屋を出ていき残ったダンディおじ様が私の手を掴み優しく言葉をかけてくれた


「レレイヤ、君は今すごく混乱しているだろう。すぐに思い出せとは言わないし、無理に思い出す必要もない。けど僕らが君の家族だってことだけは心に留めてほしいんだ。何かあったらエミルに言うといい、今は疲れているだろうからゆっくりお休み。」


 そう言って他の人と同じように部屋を出て行く。ようやく1人になって落ち着けた、もう訳が分からない、なんだよ記憶喪失って記憶ならあるよ、自分の名前もわかるよ!と言いつつも問診の時自分の名前は分からないって答えた。何故って、そりゃ怖かったからだ。自分の姿を見ているのに自分だと気づかれず娘だと思い込んでいる人たちに本名名乗ったらどうなるか・・・怖いわ!?まず間違いなく発狂してたんじゃないかな、主にあの美女さんが。

 それにしても一体何なんだろうか今の状態は、誰かのイタズラかそれともドッキリか?まぁいいや一人になれたのは丁度いい、どんな病院か知らないがナースステーションくらいあるだろう。そこで電話でも借りて両親(本物)に迎えに来てもらおう、あとついでに文句いってやる。

 そう息巻いて扉に向かった時ふと目についてしまった、あの美女と同じ紅い髪をした可愛らしい少女だった。

 うわっほい、まだ誰かいたのかよ!やっべぇどうしよう、うわぁ、ど、どこか隠れる所ないだろうかって何故隠れる必要がある!それにすでに見つかっていたら隠れたって無駄だろ!ここは叫ばれる前に気絶させてロッカーに押し込めておけばって、私はどこぞの蛇かッ!落ち着け~落ち着け~。

 もう一度少女に向き直る、と向こうもこっちに向き直ったような仕草だ、どうやら向こうも混乱している?訝しげな表情をすると向こうも同じ表情をする、試しに小さく手を振ると向こうも同じタイミングで手を振る、緊張しつつも彼女に近づいていくと彼女も同じように近づいてきた。喉を鳴らして息を呑む、ゆっくりと彼女に手を伸ばす同じように向こうも手を伸ばしてくる、そして触れる、がその感触は硬く冷たい感触だ、彼女と私の間には見えない壁が存在していた、顔を動かしそれらを見るそして悟る、それは大きな鏡、姿見であることを。そして理解する目の前にいる少女が自分の写し身であることを。

 私は誰かがいないことに安堵して心を落ち着けた、そしてもう一度姿見を見て大きく息を吸い叫んだ。





「なんじゃこりゃーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーッ!?!?!?!?!?」







 それから数日エミルに色々と教えてもらいようやく気づいた、自分が異世界に転生したことを、そしてここが乙女ゲーム『夢幻のラプソディー』の世界で自身が憧れた悪役令嬢レレイヤ=アースヴァルグになったことを。

 もちろん狂喜乱舞したよ、おかげで両親(現在)とエミルに哀れみの視線を向けられたのは言うまでもないよ。あとエミルが「やはり頭が・・・」と呟いたのが聞こえたよ、泣くぞこんちくしょう!

一月経ってしまい申し訳ありません、次の投稿はもっと早くします。

ここまで読んでいただきありがとうございます。

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