魔術師、魔法剣士 、剣士
今回は魔法乱発。よくわからない設定も多発。さりげなくリアがひどいです。
新年度が始まってしまいましたので、これから投稿速度が亀並みになる予感です。できるだけ3日に一本は投稿したいと思っています。頑張ります。
リアノーラは燃え盛る炎を眺めていた。その炎は魔法で作られたもので、屋敷全体に燃え広がっていた。
「……なあ、リア。なんか不気味な声がする気がするんだけど」
「気のせいじゃないのぉ?」
エドワードにささやかれ、リアノーラは燃える屋敷を見上げたままそう答えた。ちなみに、気のせいではなく、屋敷の中から悲鳴のようなものが聞こえている。おそらく、人間の一部と合成されてしまった動物たちの悲鳴だ。かわいそうな気もしないではないが、穢れたものはこうして炎で浄化して灰にしてしまうのが一番。
ちなみに、この炎を作り出した魔術師はリアノーラではなく、彼女の友人のアレクシアだった。周囲に燃え広がらないように結界を張っているのはリアノーラだが、炎を作り出す能力はリアノーラにはない。
この王都のはずれにある屋敷は、昨日、ユーフェミアと祥子が捕まっていた屋敷だ。犯人はただの人だったが、彼が保管していたものはシャレにならなかった。人体の一部を切り離して持っていただけでも十分異常なのに、その人体の一部と動物が合成され、似非キメラのようになっていたのだ。魔力はさほど高くないが、斬り殺すのは難しく、さらに正規の手続きを踏まなかったキメラはけがれていた。だから、こうして炎を出せるアレクシアに助力を頼んだのだ。
「リア。今度、【ブルー・ブルーム】のチョコレートケーキ、おごってね」
「もちろんよ」
アレクシアとリアノーラの中で、これで契約が成立していた。今回の事件はあまり公にはしたくないため、公的にアレクシアにバイト料を出せない。そのため、リアノーラがおいしいと評判のカフェのケーキをおごることでアレクシアに来てもらったのだ。
「祥子たちをさらった犯人は?」
あまりしゃべる方ではないアレクシアも、やはり自分の友人を誘拐した人物については気になるらしい。アレクシアの言葉を聞き、エドワードは顔を曇らせた。
捕まった犯人は、エドワードの幼馴染だった。彼の内心は複雑だろう。リアノーラはエドワードの手を握った。大きな手は一瞬びくっとしたが、すぐにリアノーラのほっそりした手を包み込んだ。
「現在取り調べ中。一週間以内には結果が出ると思うわ」
「その時は教えてね」
「わかってるわ」
犯人であるカーティスの動機は何となくわかっているが、どうやって犯行に及んだのかはまだわかっていない。そして、カーティスが捕まっても説明がつかないことが多々ある。
まず、ユーフェミアを連れ出した使用人が見つかっていない。それに、これだけの犯行を一人で行うには無理がある。動機も弱いような気がした。
魔術が希薄化した現代、不発でも魔法陣を利用したということは、誰かが技術提供したと考えて間違いないだろう。そして、魔術は科学として体系化されていない。科学を至上とする現代、魔術を信じる者はいるだろうか。自分が魔術師であるリアノーラが言っても現実味がないことだが、たいていの人間は魔法を見なければ信じない。
結界で燃え広がらない炎で包まれた屋敷が崩れ落ちた。あとは灰になるだけ。しゃがんで燃える屋敷を見ていたアレクシアがピクリ、と反応した。
「なんだ……?」
気配に気が付いたらしいエドワードが剣に手をかけようとする。彼とリアノーラはナイツ・オブ・ラウンドの制服ではないが、2人とも帯剣していた。エドワードはアレクシアとリアノーラの護衛としてついてきたのだが、その護衛は相手が普通の人間である場合に限られる。何故なら、エドワードには魔力がないからだ。
リアノーラは剣を握ろうとしたエドワードの手を逆に握る。
「手を離さないで。空間の狭間に落とされるわよ」
「なんだ、それ?」
「死にたくなければ私の手を離すなってことよ」
空間のはざまに落ちる、というのは死ぬこととはちょっと違う。リアノーラたちが生きる世界には少しずれた空間というものが存在する。つまり、元の空間から隔離された空間ということだが、実は魔術師にこの能力者は多い。さほど難しくない能力だからだ。術式を組み立てるタイプの魔術師であるリアノーラも、もともとの自分の能力を放出するタイプの魔術師であるアレクシアも、この力はある。しかし、作れる空間に差があった。
完璧に攻撃系の魔術師であるアレクシアは、この隔離された空間を狭い範囲でしか展開できない。逆に、術式展開を主な魔術とするリアノーラは、この手の魔術は得意だった。むしろ、この空間がリアノーラの領域だといってもいい。しかし、今展開されている隔離空間はリアノーラのものではなかった。
ゆえに、魔力のないエドワードは隔離空間に入り込めず、だからと言って元の空間にとどまれるという保証もない。つまり、現実空間と隔離空間の間に落ちてしまう可能性がある。そうなれば、いくら空間を作る能力にたけたリアノーラといえども、助けることは不可能となる。だからこその「手を離すな」発言だ。
「……閉じ込められた」
歩み寄ってきたアレクシアが言った。端的だが、正確に今の状況を表現している。誰かの空間に、リアノーラたちは閉じ込められていた。
「悪いわね。巻き込んだわ」
「今更よ。……でも、リアが気付かないなんて珍しいわね」
ちらっとリアノーラとエドワードのつないだ手を見ながらアレクシアは言った。リアノーラは気にせずに言った。
「言い訳するつもりはないわ。ボーっとしてたのよ。私のミスだわ」
全面的にリアノーラは自分の非を認めた。この魔術はリアノーラの領分だ。初期段階で気づけば、その時点で反対魔法を使って相殺することもできたはずだ。
「不思議な空間だな。景色は同じなのに、気配が全然違う」
「ここは現実世界と似て非なる空間だからね。ちょっと違うけど、鏡に映った世界みたいなもんよ。エドは魔力が少ないし、うっかりしたら精神的に抹消されるから、意識はしっかり持つのよ」
「了解」
すでに、エドワードの中では魔術=リアノーラという図式が出来上がっているらしい。間髪入れずに返答が来た。
「それで、どうするの?」
アレクシアがリアノーラを見上げて尋ねた。
「私がやるしかないでしょ。アレク、エドを見ててね」
アレクシアがこっくりとうなずいたのを見てから、リアノーラはエドワードから手を放した。しばらく様子を見たが、大丈夫そうなので傍を離れた。ぐるりとあたりを見渡す。
リアノーラが同じタイプの魔術師だからわかるが、この手の魔術師は自分の空間に溶け込むことができる。つまり、どこかに隠れている可能性が高い。
リアノーラは右手の人差し指を立てた。目に見える形で魔法陣が形成されていく。魔術師の手によって作られた空間は、魔法要素が強い。だから、魔法陣の術式が目に見える。魔力の低いエドワードにも、リアノーラが展開した魔法陣が見えているはずだ。金色の文字の形をした魔法陣は渦を巻くように展開されていく。
人差し指を、ある一点に向けた。魔術が発動し、リアノーラの指が向けられたところが爆発する。リアノーラはこういった攻撃性の魔法の能力は低いのだが、この魔法力の濃い空間ではリアノーラの弱い攻撃性魔法でも十分な威力を発揮した。爆発したあたりからむくり、と何かが起き上がった。
「さすが、といえばいいんですかね? 私の領域で私を見つけることができるとは、さすがはお嬢様……あ、さすがって言ってますね」
リアノーラはふざけたような発言をする相手を見た。20代半ばほどに見える、中肉中背の男だ。顔立ちは良くも悪くも普通。印象に残らない、というのが正しい。今の発言からして、この男がこの空間の主なのだろうと思う。それに、気になることがあった。
「その服、うちの使用人の服よね? あんたがユフィを連れ出したのね」
見覚えのある、というか、毎日のように見ているフェアファンクス公爵家の使用人の制服を、彼は着ていた。だとしたら、答えはひとつしかなかった。
「でも、私、あんたの顔に見覚えないんだけど」
リアノーラは左足を後ろに引きながら小首をかしげた。右手は剣の柄を握っている。顔覚えのいい方であるリアノーラだが、男の顔に見覚えはなかった。
「お嬢様には合わないようにしていましたからね。ほかの人をだませても、お嬢様はだませない。だって同タイプの魔術師ですからね」
「どうやら、そのようね」
リアノーラは探査能力が低かった。自分に敵意があるもの、明らかに異質なもの、そして自分に近しいものは半径5キロ圏内までなら何とか探査魔法で探すことができる。しかし、それ以外となるとだめだった。同じ屋敷にいて、魔力を持っていたとしても、それはリアノーラの目の前に来ないとわからない。逆に言えば目の前に来ればわかるということだが、同タイプの魔術師なら魔力の波長が似ているはずで、つまり、リアノーラ自身の魔力に埋もれてしまう可能性が高かった。それくらいに、リアノーラは魔力が多い。
「じゃあお訊ねするけど、魔術の技術提供をしたのも、あんたなのかしら?」
確実に、魔術の技術提供を行った人物がいるはずだ。そして、それは間違いなく魔術師で、自称という組織の彼らに他ならないと思う。
「そのとおりです。と言ったらお嬢様は、おおっと」
リアノーラがいきなり斬りかかったので、男は言葉を切った。短剣でリアノーラの斬撃をいなし、鋭く短剣を突き出した。リアノーラは後退することでそれを避けた。
「いきなり攻撃するとは、噂にたがわぬサディストっぷり……」
「どちらかというと、うわさが独り歩きしている気がするのだけどね。ユフィをさらった、魔術提供を行った、《暗黒のカネレ》の魔術師。これだけで私の攻撃対象になるわよ」
「私が《カネレ》の構成員だといいましたか?」
男が首をかしげると、リアノーラはシニカルに笑って見せた。
「普通、《カネレ》は《暗黒のカネレ》と呼ばれるのよ。《カネレ》と呼ぶのは彼の組織の魔術師だけ」
暗黒の、というのは正式名称ではない。正式には彼らは《カネレ》を自称している。しかし、ふつう、そんなことは知らない。だから暗黒の、とつけないものは《暗黒のカネレ》の魔術師である可能性が高い。
「おや、誘導尋問ですか」
「自分から引っかかったように見えるけど?」
男はにこりと笑った。
「レヤードです」
「は?」
本気で何を言われたかはからず、リアノーラは剣を構えたまま口をぽかんと開けた。男は笑う。
「私の名前ですよ。いつか仲間になるのですから、名乗っておこうと思いまして」
「どうせ偽名でしょ。墓にはそう刻んであげるけどね」
リアノーラは表情を引き締めると、右手を通じて剣に向かって魔術を流し込む。リアノーラは普通の魔術っぽい魔術より、こういった補助系の魔術のほうが得意だ。一般的な放出系の魔術に対する適応能力が低いともいう。
先ほどの魔法陣と同じように、今度は刀身を魔法陣を構成する文字列がらせん状に上っていく。金色に光る文字から放出される魔力で、リアノーラの髪がふわりと揺蕩う。
左足を踏み込むと、一気にレヤードを名乗る魔術師に肉薄する。初撃スピードといえばユーフェミアの十八番だが、彼女に劣るだけでリアノーラもかなりの速度を誇る。しかし、やはり簡単にいなされる。
……戦いなれてるわね。
こういった魔術と白兵の複合戦闘は、どれだけ戦いなれているかが勝敗を分かつ。いくらリアノーラが人並み外れた魔力を持っていようと、一度に多量に魔力を放出できない接近戦において、魔力の多さは役に立たない。
16年しか生きていないリアノーラが、戦いなれているレヤードに勝てるとは思えない。
だが、どうにかこの空間をリアノーラの空間領域に持ち込むことができれば、勝機はある。リアノーラは空いている左手で印を切った。印を切る動作は、魔法陣を簡略化した動作だ。ゆえに消費魔力量は多く、複雑な魔術は使用できない。ただし、リアノーラのようにあらかじめ魔法陣を展開していれば別だ。
「残念でした」
突然、目の前に剣の切っ先が現れた。目の前に来たそれを、リアノーラはのけぞって避ける。その拍子にせっかく展開した魔法陣が消えてしまったが、転んでもただで起きるリアノーラではなかった。左手を地につくと、その手を軸にして右足を蹴り上げた。よけられた。
「リア!」
エドワードとアレクシアの声がリアノーラを呼んだ。リアノーラはすぐには立ち上がらず、地面にしゃがみ込んだままでいた。結果的に、判断は正しかったといえる。出なければ、アレクシアの火炎魔法に巻き込まれて丸焦げになっていた可能性がある。アレクシアの炎の魔術は威力が強い。
レヤードは丸焦げを避けたようだが、服の裾が燃えていた。一瞬で来た隙にリアノーラは切り込もうとするが、エドワードのほうが早かった。がん、と剣と剣がぶつかりあう金属音がした。
「ちょ……何してるのよ!」
すぐさまツッコミを入れるが、エドワードはしれっと返した。
「お前の腕ではこいつに勝てないだろ。せっかく俺たちもいるんだから、もっと利用しろ、よっ!」
エドワードがレヤードに押し勝った。右手に短剣、左手に長剣を持つレヤードは左利きなのかもしれない。何故かわからないが、魔術師には左利きが多かった。リアノーラも左利きだ。
確かに、戦いなれていないリアノーラではレヤードに勝てない。しかし、魔力のないエドワードがこの敵の空間で戦うことは、大きなリスクを伴う。この空間は精神空間と言い換えてもいい。リアノーラたち魔術師は魔術で己の存在を保てるが、一般人であるエドワードは少しでも気を抜くとその存在が精神から崩壊する。それは現実世界にも影響し、この世界で精神崩壊を起こせば、現実世界でも精神崩壊を起こし、最悪、死んでしまう。
リアノーラはエドワードに剣を向けた。
「力を持つものよ、彼に祝福を与えよ!」
リアノーラの魔術は他人に貸し与えることもできる。魔力のないエドワードに貸せる魔術はたかがしてれているが、ないよりましだ。精神崩壊のリスクも少しは下がる。エドワードは突然自分の剣の刃にらせんを描いた魔法陣の文字列に驚いたようだが、剣をふるう腕を緩めることはなかった。
上から振りかぶるエドワードに対し、リアノーラは下から斬りつけた。エドワードの剣は長剣で、リアノーラの剣は短剣で防がれる。しかし、うまく連携が取れれば、1人でやるより戦いやすいのは確かだ。リアノーラがアシストに回ることになるが、もともと彼女の能力は支援型だ。何となく腹が立つが、アシストする方が戦いやすい。
「っ。さすがに2人になると厄介ですねぇ。エドワード卿、見事な精神力……」
そう。レヤードに賛同するわけではないが、魔力ほぼなしのエドワードは、この空間で精神力のみで存在を保っていることになる。そばに魔術師であるリアノーラやアレクシアがいるといっても、人1人の存在を保つには限界がある。
唐突に背後から火炎魔法が照射された。リアノーラはとっさに前に出かけた体を止め、後ろに大きく飛んだ。エドワードも同じように火炎魔法にさらされるのを避けた。言うまでもないが、味方を巻き込まんばかりの魔法を放ったのはアレクシアである。
「……あたしもいること、忘れないでほしいんだけど」
どうやら、存在を無視されていたことにご立腹らしい。レヤードは笑みを浮かべた。というか、こいつ、ずっと笑ってる気がするのは気のせいか?
「魔術師、魔法剣士、剣士ですか。面白いですが、バランスに長けた組み合わせですね」
3人は無言だった。魔術師はアレクシアを、魔法剣士はリアノーラを、剣士はエドワードを指している。今まで考えたこともなかったが、そうだ。魔術師であり剣士でもあるリアノーラは魔法剣士なのだ。
「奮闘したお三方にヒントを差し上げましょうか。今までの魔法陣事件はながーい前振りなのですよ」
いきなりそんなことを言われて、頭がついて行かなかった。彼は、一連の連続魔法陣殺人事件――と呼ばれている――が収束していないのだといいたいらしい。
なぜ突然、こんなことを言い出したのだろうか。
「エドワード卿のご友人1人で、あれだけの犯行は可能だと思いますか? 否、ですよ」
エドワードが動揺するのがわかった。この空間では、そういった心理現象がわかりやすくなる。少なくとも、リアノーラには。
「エド。意識をしっかり」
「……ああ」
簡潔に注意を促すと、エドワードがうなずいた。少し離れたところにいたアレクシアが近づいてきて、リアノーラの隣に並んだ。
「……なるほど。さすがに3人相手に私も勝てるとは思えません。失礼させていただきましょうか」
レヤードが首を傾けた瞬間、足元から崩れ落ちるような衝撃が体を駆け抜けた。リアノーラは剣を手放すと、アレクシアとエドワードの手首をつかんだ。
「しっかりしなさい! 幻覚魔法よ! 本物の足場は崩れてないから、だまされないで!」
リアノーラの言葉でアレクシアは持ち直した。魔力耐性の低いエドワードにリアノーラは抱きついた。
「元いた場所をイメージして! 帰るわよ! 意識をしっかり持ってくれないと、私でも連れ帰ることができないわ!」
その言葉を聞いてアレクシアがリアノーラにしがみついた。リアノーラは頭の中だけで魔法陣を展開する。がたん、という音が聞こえそうな勢いで地面に足がついた。周囲を見渡すと、現実世界に戻ってきたことが分かった。例の屋敷はすでに灰になっている。周囲に燃え広がっていなくて何より。
「……2人とも、無事?」
「あたしは平気」
アレクシアからはすぐに返答があった。リアノーラはエドワードから離れると、顔を覗き込んだ。彼は意識はあったが蒼白な顔をしている。
「……気持ち悪ぃ。酔ったみたいだ……」
「ああ、魔法酔いね。エドは魔法耐性が低いから酔いやすいの。乗り物酔いと同じで一過性のものだから、しばらく休めば治るわ」
ただの酔いだと判明し、リアノーラはほっとしながらもさらりとそういった。あまりにもさらりとした言葉に「ひでぇ」という声が聞こえた気がしたが、気にしない。代わりにアレクシアのほうを見た。
「アレク。巻き込んで悪かったわ」
「……ん。ベリーのフロマージュケーキも追加」
「了解したわ……」
巻き込んでしまったのはこちらなので、リアノーラに拒否権はない。とりあえず、とリアノーラは立ち上がった。
「エド、立てる? 一度宮殿に行くわよ」
「ちょ、待ってくれ……今馬に乗るのはちょっと」
リアノーラに引っ張られて立ち上がったエドワードだが、馬に揺られるのはいやらしい。リアノーラはのんきに「じゃあ歩いて帰るー?」といったが、アレクシアに拒否される。
「私、そんなに体力ない」
「じゃあ、アレクは馬に乗ればいいわ。手綱を引いてあげる。あ、それとも私の転移魔法陣で帰る?」
転移魔法は難しいが、できないわけではない。これだけ近しい人間と一緒に、よく知った場所に帰るくらいはできるはずだ。座標を間違えると全く違う場所に出るのが難点だが、歩くより早いし一瞬で目的地に着く。たとえるならば、先ほど閉じ込められた隔離空間を通過して別の場所に出るようなものだ。
確かにこちらの方が早いのだが、連れ2人に同時に言われた。
「却下」
善意で言ったのに。さしものリアノーラもちょっと落ち込んだのは内緒だ。
ここまで読んで下さり、ありがとうございます。
リアで始まり、リアで終わりました。アレクの魔術はただの火炎系の魔法なんですけど、リアの魔術はいろいろと変な設定がついております。そのうちまとめようかなぁと思っています。まとめることがいっぱいです……。まず、300年前の魔法大戦についてまとめようかな!




