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第332話 記録の重み
京の記録所には、今日も新しい木札が積まれていく。
数字は増える。
人は減らない。
戦は起きない。
それでも記録は続く。
それは監視ではない。
支配でもない。
ただ現実を保持するための積層だった。
久世の役目は単純だ。
壊れないことを確認すること。
誰も英雄ではない。
誰も救世主ではない。
それでも世界は維持されている。
その事実だけが、静かに重さを持っている。
外では子供が走っている。
市場で笑い声がある。
その全てが数字に変換され、また世界へ戻る。
循環は止まらない。
止める理由が存在しない。
それが、この時代の完成形だった。




